「Apple IntelligenceはなぜiPhone 15 Pro以降が要件なのか」をApple幹部が説明
「Apple Intelligence」はiOS 18・iPadOS 18・macOS Sequoiaで導入される、大規模言語モデルを使用してユーザーエクスペリエンスを向上させる新しいAIシステムです。このApple Intelligenceはハードウェア要件として「A17 Proチップ搭載のiPhone 15 Pro以降」とされており、その理由をApple幹部がイベントで説明したことが報じられています。
Apple Explains iPhone 15 Pro Requirement for Apple Intelligence - MacRumors
https://www.macrumors.com/2024/06/19/apple-iphone-15-pro-requirement-apple-intelligence/
説明がされたのは、開発者向けブログ「Daring Fireball」を運営する開発者のジョン・グルーバー氏が主催した「The Talk Show Live From WWDC 2024」というイベントにおいてです。
The Talk Show Live From WWDC 2024 - YouTube
このイベントには、AppleのAI・機械学習部門ヴァイスプレジデントであるジョン・ジンアンドレア氏、マーケティング部門ヴァイスプレジデントのグレッグ・ジョスウィアック氏、ソフトウェアエンジニアリング部門ヴァイスプレジデントのクレイグ・フェデリギ氏が登場しました。
WWDC24の基調講演で、AppleはApple Inteligenceのハードウェア要件として、A17 ProチップとMシリーズを挙げています。
そのため、記事作成時点で販売されているiPhoneの中でApple Intelligenceに対応しているモデルはiPhone 15 Pro/15 Pro Maxのみで、iPhoneユーザーのほとんどは体験できないことが指摘されています。
AppleのパーソナルAI「Apple Intelligence」はiPhone 15/15 Plusに対応しておらず90%以上のiPhoneユーザーは使えないという指摘 - GIGAZINE
これについて、グルーバー氏はイベントで「要件を満たさないiPhoneやMacではApple Intelligenceが動作しませんが、なぜ切り捨てたのですか?」という質問を、ジンアンドレア氏・ジョスウィアック氏・フェデリギ氏にぶつけました。
ジンアンドレア氏は「言語モデルを実行することを『推論』と呼びますが、大規模な言語モデルの推論は信じられないほど計算コストがかかります。そのため、デバイスの帯域幅、Apple Neural Engineのサイズ、デバイスのパワーの組み合わせによって、これらのモデルを実用可能なレベルで高速に実行できるのです。理論的には古いデバイスでもモデルを実行できますが、あまりに遅すぎて役に立ちません」と語っています。
これにグルーバー氏は「そういって新しいiPhoneを売ろうという計画ではないですか?」と冗談っぽく言うと、ジョスウィアック氏は笑いながら「そうではありません」と否定。フェデリギ氏は「Appleが新機能を搭載する時はまず、可能な限り旧型のデバイスに対応させることを検討します。しかし、Apple Intelligeneについては、必要とするハードウェアが肝心です。iPhoneでこのパワーを持つモデルを動かすのは、かなり並外れたことです」と語りました。
iPhone 15/15 PlusはA16 Bionicチップを搭載しているのに対し、iPhone 15 Pro/15 Pro MaxはA17 Proチップを搭載しています。このA17 Proチップは、A16 Bionicチップと比較して最大2倍高速な16コアのNeural Engineを搭載しており、1秒当たり35兆回の演算を実行可能です。また、iPhone 15/15 PlusはRAM容量が6GBであるのに対し、iPhone 15 Pro/15 Pro MaxのRAM容量は8GBです。グルーバー氏がRAMについても質問を投げかけたところ、ジンアンドレア氏は「もちろんです。Neural EngineもRAMも全体の一部です」と回答。
さらにグルーバー氏が「Apple Intelligenceを実際にユーザーが正しく使用できるように準備できているのでしょうか?」と質問すると、ジンアンドレア氏は「ピザにチーズを貼り付けるために接着剤を使用することをおすすめするつもりはありません」と会場の笑いを誘いながら、「言語モデル特有のハルシネーション(幻覚)や安全性の懸念は当然ある」と述べ、「ユーザーは自分の目的や創造的な理由でAppleのデバイスを使っていると考えているので、より慎重に対応する必要があります」と、そのバランスの難しさを語りました。
Apple Intelligenceの精度と安全性についてはティム・クックCEOもコメントしており、その内容は以下の記事でチェックできます。
Appleのティム・クックCEOが「Apple Intelligenceが虚偽や誤解を招く情報を生み出す可能性はゼロではない」と発言 - GIGAZINE
06/20 12:08
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