Armから「ライセンス違反の製品を破棄せよ」と求められたQualcommが「Armの言い分は不当」と反訴


半導体設計大手のArmは2022年に同じく半導体メーカーのQualcommに対し、「2021年にQualcommが買収したNuviaとArmのライセンス提携のもとで開発された設計を破棄すべき」と主張し訴訟を起こしています。一方のQualcommも「Armの主張は不当である」との反訴を提起しました。
Arm, Qualcomm legal battle seen disrupting AI-powered PC wave | Reuters
https://www.reuters.com/technology/arm-qualcomm-legal-battle-seen-disrupting-ai-powered-pc-wave-2024-06-10/


ARM torpedoes Windows on ARM: Demands destruction of all PCs with Snapdragon X | heise online
https://www.heise.de/en/news/ARM-torpedoes-Windows-on-ARM-Demands-destruction-of-all-PCs-with-Snapdragon-X-9758434.html
Could Arm's legal battle with Qualcomm over technology licences stop Copilot+ PCs from really taking off? | PC Gamer
https://www.pcgamer.com/hardware/processors/could-arms-legal-battle-with-qualcomm-over-technology-licences-stop-copilot-pcs-from-really-taking-off/
騒動の発端となったのは、2021年にQualcommが独自のArmコアを開発するスタートアップのNuviaを買収したことです。QualcommはNuviaが開発したArmコアをWindows PC向けSoC「Snapdragon X Elite」ならびに「Snapdragon X Plus」に利用しています。
しかし、Armは「NuviaがArmと結んだライセンス契約では、他社製品への独自Armコアの使用は認められない」と主張。2022年8月にArmは「QualcommはNuviaにArmライセンスの違反を引き起こさせました。これに伴い、ArmはNuviaと結んだライセンス契約を終了します。したがって、QualcommとNuviaはArmとのライセンス契約の下で開発されたArmベースのテクノロジーの使用を停止し、ただちに破棄するよう要求しました」と述べています。
Armはロイター通信に対し「QualcommとNuviaに対する我々の主張は、Armエコシステムと、当社のIPと革新的な設計に依存しているパートナーを保護することです。したがって、Armテクノロジーから派生したNuviaの設計を破棄し、使用を停止するという義務がQualcommには生じます」と主張しました。


これについて海外メディアのHeise Onlineは「簡単に言えば、ArmがAcerやASUSなどのPCメーカーに対して、Snapdragon X Eliteを搭載する製品の出荷を停止するよう求めるものです」と説明。
一方でQualcommは2024年4月18日に、「ArmはQualcommとNuviaが持つライセンスを終了すると脅すことで、CPU設計におけるQualcommの技術的飛躍を抑圧しようとしています。ArmはQualcommに対し、Nuviaベースのテクノロジーをサポートする権利を与えていないという口実で、Qualcommが権利を有する製品を意図的に規制しようとしています。Armの言い訳は不当です」との反訴を提起しています。
また「結果としてArmは納品の失敗を修正できず、Qualcommは訴訟によって製品の設計と検証に不必要なリソースを追加で費やすことになりました」とQualcommは批判しました。


海外メディアのPC Gamerは「この訴訟の最終的な結果として最も可能性が高いのは、ArmとQualcommが法定外で和解し、QualcommがArmに対して一定の金額を支払うか、Snapdragon Xシリーズが生み出した利益の大部分を支払うことでしょう」と推測しています。

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