Nokiaが空間オーディオを利用する世界初の「没入型ビデオ通話」を実現
フィンランドの通信機器・技術メーカーであるNokiaのペッカ・ルンドマルクCEOが、フィンランド政府のデジタル化・テクノロジー大使を務めるステファン・リンドストロム氏との通話で、公衆の携帯電話回線網を利用して世界初の「没入型ビデオ通話」を行いました。
Nokia makes world’s first immersive voice and audio call | Nokia
https://www.nokia.com/about-us/news/releases/2024/06/10/nokia-makes-worlds-first-immersive-voice-and-audio-call/
Nokia makes world’s first cellular call using new Immersive Voice and Audio Services (IVAS) codec. With the codec you can hear calls in 3D spatial sound in real-time instead of today’s monophonic experience.
Find out more here: https://t.co/O4rmuQ2a9I pic.twitter.com/HbcrmTKsPf— Nokia (@nokia) June 10, 2024
Nokia CEO makes world's first 'immersive' phone call | Reuters
https://www.reuters.com/technology/nokia-ceo-makes-worlds-first-immersive-phone-call-2024-06-10/
Nokia makes first phone call with 3D spatial audio - The Verge
https://www.theverge.com/2024/6/10/24175231/nokia-3d-spatial-audio-5g-phone-call-advanced
携帯電話の通信規格は、2006年から導入されている「4G(第4世代移動通信システム)」に続いて、2018年ごろから「5G(第5世代移動通信システム)」の導入が進んでいます。移動通信システムはおよそ10年ごとに大きく進化・発展していて、5Gの次世代の規格である「6G」は仕様策定に向けた取り組みが行われています。そし5G自体も来るべき6G時代に向けた進化が続いており、機能拡張や性能改善によって、新仕様が「5G-Advanced」と定義されています。
その中でも音声通話は、長らくオーディオを単一チャンネルにまとめて圧縮する仕組みとなっており、音は単一の方向から聞こえるものでした。しかし5G-Advancedでは、低遅延の「IVAS(Immersive Voice and Audio Services:没入型音声・音響サービス)」のためのコーデックが導入され、空間的に広がりのある音声体験が得られることになっています。
IVAS Codec for the NG 3GPP Voice and Audio Services
https://www.3gpp.org/technologies/ivas-2023
今回、Nokiaが実証したのは、このIVAS技術を用いたビデオ通話です。ルンドマルクCEOは「私たちは音声通話の未来を実証しました。画期的なオーディオ技術によって通話相手の環境に入り込むことができ、音声通話とビデオ通話のリスニング体験を空間的にした上で大幅に向上させ、企業や産業用アプリケーションに大きなメリットをもたらします」と語りました。
また、ルンドマルクCEOと通話したリンドストロム大使は「IVASで実現する没入型の音声・音響体験は通話の豊かさと質を向上させ、3次元音響が対話をよりリアルで魅力的なものにすることで、個人的・職業的コミュニケーションに多くの新たなメリットをもたらします。没入型コミュニケーション技術は、クロスリアリティとメタバースの相互作用を次のレベルに引き上げることでしょう」と述べています。
Nokia Technologiesのジェニー・ルカンデール社長も、「私はNokiaの研究者とエンジニアが、革新的な没入型音声・音響技術の開発において主導的な役割を果たしたことを誇りに思います。標準化により、全世界がこの技術革新の恩恵を受けられます」と語りました。
06/11 12:35
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