カナダがNetflixやSpotifyなどのストリーミングサービスに収益の5%を支払うよう命じる
カナダ政府がSpotifyやNetflixといった大手ストリーミングサービスに対して、カナダ国内での収益の5%を政府に納めるよう命じました。これはカナダの地元メディアや国産コンテンツを支援するための施策で、年間2億カナダドル(約230億円)程度を調達し、地元メディアに還元するそうです。
CRTC requires online streaming services to contribute to Canada’s broadcasting system - Canada.ca
https://www.canada.ca/en/radio-television-telecommunications/news/2024/06/crtc-requires-online-streaming-services-to-contribute-to-canadas-broadcasting-system.html
Canada demands 5% of revenue from Netflix, Spotify, and other streamers | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2024/06/canada-demands-5-of-revenue-from-netflix-spotify-and-other-streamers/
カナダにおける放送・通信事業者を規制する政府機関のカナダ・ラジオテレビ通信委員会(CRTC)が、大手ストリーミングサービスに対してカナダ国内の収益の5%を政府に納めることを義務付けるオンラインストリーミング法を発表しました。
CRTCはオンラインストリーミング法について、「公開記録に基づき、CRTCはオンラインストリーミングサービスに対して、カナダの放送システムを支えるためにカナダ国内の収益の5%を拠出することを義務付けます。この義務は2024~2025年の放送年度から開始され、推定で年間2億カナダドルの新しい資金が生まれることになります」と説明しています。
オンラインストリーミング法は映像ストリーミングサービスと音楽ストリーミングサービスの両方に適用されます。CRTCのオンラインストリーミング法に対しては、AmazonやApple、ディズニー、Google、Netflix、パラマウント、Spotifyといった大手ストリーミングサービスの運営元から反対の声が上がっていました。
オンラインストリーミング法に対する支払い義務が発生するのは2024年9月で、カナダ国内で年間2500万カナダドル(約28億円)以上の収益を上げているストリーミングサービスに対してのみ適用されます。なお、オンラインストリーミング法ではオーディオブック、ポッドキャスト、ゲームストリーミングサービス、ユーザー生成コンテンツ(YouTubeなど)は除外されます。
オンラインストリーミング法による支払い義務が発生することになれば、ストリーミングサービスがカナダでの利用料金を値上げする可能性があるとCBCは指摘。なお、Netflixは2023年10月に値上げを実施しており、Spotifyは2024年6月に値上げを実施したばかりです。
ストリーミングサービスのサブスクはなぜ値上げが止まらないのか? - GIGAZINE
CRTCによると、オンラインストリーミング法により集められた資金は地元ラジオやテレビ、フランス語コンテンツ、先住民コンテンツ、公用語の少数派コミュニティなどに提供され、コンテンツ制作を支援するために利用されるそうです。なお、これらのコミュニティは「カナダの放送システムにおいて緊急に必要とされている分野」であるとCRTCは言及しています。
CRTCのヴィッキー・イートライズ委員長はオンラインストリーミング法について、「オンラインストリーミングサービスがカナダと先住民のコンテンツに有意義な貢献をすることを保証するのに役立つこととなるでしょう。寄付金の一部をカナダのテレビコンテンツを直接支援するために振り分ける柔軟性を持つことになります」と語りました。
一方で、映画業界団体のカナダ映画協会は、オンラインストリーミング法について「ケーブル会社向けに設計された何十年前の規制アプローチを強化さるもの」であり「差別的」であり「世界中のストリーミングサービスがカナダのクリエイターと直接協力し、カナダ国内および世界中の視聴者に向けてカナダで制作された世界クラスのコンテンツに投資することが難しくなります」と批判。
さらに、カナダ映画協会は「世界的なスタジオやストリーミングサービスは、カナダ国内および海外の視聴者向けに質の高いコンテンツを制作するため、年間67億カナダドル(約7600億円)以上を費やしており、2023年にカナダの制作会社が制作したコンテンツへの投資額を上回ります」と述べました。
また、Amazon MusicやApple Music、Spotifyといった音楽ストリーミングサービスを代表するデジタルメディア協会も、「音楽ストリーミングサービスに対する差別的な課税は、事実上ラジオに対する保護主義的な補助金であり、カナダにおける手頃な価格でサービスを提供することが危機にさらされています」と述べました。
一方で、カナダメディアプロデューサー協会は、オンラインストリーミング法を「我々の業界をより公平な競争の場へと導いてくれます」と称賛しています。
06/06 10:39
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