中国がイギリス国防総省の給与システムをハッキングし軍人の名前や銀行口座などの情報に不正アクセスした可能性


現地時間の2024年5月6日、イギリスの国防総省は給与計算システムに保存されている個人情報の一部が攻撃を受け不正アクセスの被害に遭ったことを報告しました。この攻撃によって、イギリス軍の現役および一部の元隊員や銀行口座などの情報が漏えいしたとのことで、複数メディアが今回の攻撃について「中国政府が関与している」と推測しています。
China hacked Ministry of Defence, Sky News learns | Politics News | Sky News
https://news.sky.com/story/china-hacked-ministry-of-defence-sky-news-learns-13130757


UK military personnel's data accessed in hack, BBC reports | Reuters
https://www.reuters.com/technology/cybersecurity/uk-military-personnels-data-accessed-hack-bbc-reports-2024-05-06/
UK armed forces’ personal data hacked in MoD breach | Hacking | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/article/2024/may/06/uk-military-personnels-data-hacked-in-mod-payroll-breach
British military personnel targeted in cyber attack
https://www.ft.com/content/a2ca5644-094d-45a3-b34a-d2b86f203c52
イギリス国防総省を標的とした2024年5月6日のサイバー攻撃では、国防総省から委託を受けた外部の請負業者が管理する給与計算システムに不正アクセスがあり、正規軍と予備役兵、および数千人の退役軍人の名前と銀行口座の詳細、一部の個人の住所が漏えいしました。
国防総省による初期調査では、攻撃を受けたシステムから情報が削除されたという証拠は見つかっていません。しかし、国防総省は万が一の場合に備えて、セキュリティ専門家がアドバイスを提供するなどの予防措置を講じています。また、国防総省の運用データへの不正アクセスは確認されておらず、該当のシステムはただちにオフラインにされたとのこと。


イギリス国防長官のジョン・ヒーリー氏は「情報漏えいの被害を受けた軍人を中心に、今回の件に関して数多くの質問を受けています。このような敵対的行為は断じて容認できません」と述べています。一方で記事作成時点でイギリス政府は今回のハッキングに関与した国家について明らかにしていません。
しかし、複数のメディアが今回のハッキングに関して「中国政府が関与している可能性が高い」と推測しています。これまでにもイギリス政府は中国政府の支援を受けたハッカー集団による選挙や政治活動へのサイバー攻撃を受けており、2024年3月にはアメリカ政府とイギリス政府が共同で中国政府に抗議しています。
アメリカとイギリスが選挙に関するサイバー攻撃で中国を非難、中国人7人を起訴 - GIGAZINE

中国がイギリス国防総省の給与システムをハッキングし軍人の名前や銀行口座などの情報に不正アクセスした可能性 - 画像


イギリス保守党の元党首であるイアン・ダンカン・スミス氏は「今回の一件は、中国政府がイギリスに組織的な脅威をもたらしていることを認め、それに応じた対応を求められる事例の一つです。中国はロシアを資金面や軍事面で支援し、全体主義国家の枢軸としてイランや北朝鮮と協力している悪意ある国家です」と厳しく批判しました。
今回の件を受けてイギリス国防総省は現地時間2024年5月7日にも攻撃に関する詳細を軍のメンバーに通知する予定とのこと。また、専門家によるアドバイスや福祉支援を提供するとともに、質問に対応するコールセンターを設置する方針であることを明かしています。また、内閣府や諜報機関、民間の警備専門家が国防総省の調査を支援するために召集されました。
加えて、2024年5月7日の午後にはグラント・シャップス国防長官が声明を発表する予定であることが報告されています。

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