Metaが詐欺広告や偽情報の拡散防止に尽力していないとしてECがデジタルサービス法違反の疑いで正式な手続きを開始

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Metaが欺瞞(ぎまん)的な広告や政治的コンテンツへ適切に対処しておらず、欧州連合(EU)がオンライン上のユーザーを守るために定めたデジタルサービス法(DSA)に違反している疑いがあるとして、欧州委員会(EC)がMetaに対して対応を求めました。
Commission opens formal proceedings under DSA
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/IP_24_2373

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DSAはEU加盟国内でサービスを展開するSNS等に適用される法律で、特に大規模プラットフォームは違法コンテンツへの適切な対応措置や広告の透明性の確保、公共の安全を守るメカニズムの構築などが求められています。
ECは、Metaのサービス上における欺瞞的な広告や政治的コンテンツ、違法コンテンツにフラグを立てる仕組み、ユーザーからの苦情を受け付けるメカニズム等がDSAの要件に準拠していない可能性があることを問題視し、2024年4月30日からMetaに対応を求めることを明らかにしました。
特に欺瞞的な広告と偽情報キャンペーン、不正行為への拡散への対処について、ECは「このようなコンテンツの拡散は、消費者保護の観点だけでなく、言論の保護や選挙プロセスの保護、基本的な市民の権利の保護にもリスクをもたらす可能性がある」と指摘。政治的コンテンツについては、InstagramとFacebookで展開されている政治的コンテンツの可視性を下げるMetaの取り組みがDSAの要件に準拠していない可能性をECは指摘しています。
さらに、来るべき欧州議会選挙を始め、その他の国の選挙が控えている中、第三者によるリアルタイムの言論・選挙情報監視ツールがMetaのプラットフォームで利用できないことをEUは問題視し、偽情報が拡散してしまう可能性を懸念しています。この件に関しては、リアルタイムでコンテンツを分析・検出して誤情報や陰謀論の拡散を防止するためのツール「CrowdTangle」の利用をMetaが廃止すると発表したことも背景に、ECは「選挙時にはこのようなツールへのアクセスを拡大すべきであるが、廃止すると発表したMetaは、言論や選挙に及ぼす影響を真摯に評価し、適切に軽減することを怠っているのではないか」と述べています。

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このほか、「ユーザーが違法コンテンツを通報する仕組みは使いやすいものでなければならない」と定めるDSAの要件にMetaが準拠していない可能性や、コンテンツに苦情を申し立てるための効果的な仕組みをMetaが導入し切れていない可能性などがECから指摘されていて、ECは「これらの措置を速やかに講じることを期待しており、どのような改善措置を執ったのかを報告することを求める」と告知しています。
もしMetaの措置が不十分であった場合、DSAの複数の項目に違反する可能性があり、これをもってECは「当方には措置を講じる権利がある」と警告しました。
なお、Metaの関係者は「ECの手続きは、ロシアが展開している偽情報拡散活動をターゲットにしている」と話しているそうです。

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