偽情報拡散に悪用されているとしてEUがTelegramを調査する方針
EUには、巨大プラットフォームに偽情報拡散などを防ぐ義務を課した「デジタルサービス法(DSA)」があり、X(旧Twitter)やTikTokなどがDSAに基づく調査を受けています。メッセージングアプリ「Telegram」は、DSAの対象となるユーザー数を下回っていると主張していますが、対象外で取り締まりが緩いことを利用して親ロシア派が偽情報拡散に活用している実情があるとして、本当にDSAの対象外なのかEUが調査に乗り出しているそうです。
Telegram: Pro-Russian Groups Spread Disinformation and EU Is Powerless - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-05-28/telegram-pro-russian-groups-spread-disinformation-and-eu-is-powerless
EU probes Telegram, because size matters for regulators • The Register
https://www.theregister.com/2024/05/28/eu_probes_telegram/
EUの「デジタルサービス法(DSA)」は、IT企業が自社プラットフォームから偽情報・誤情報が拡散されることを防いだり、ターゲティング広告を排除したりすることを求める法律です。対象プラットフォームとしてGoogle検索やYouTube、Facebook、Instagram、Xなど19件が指定されています。
欧州委員会が「デジタルサービス法」対象の大規模プラットフォームを発表、YouTube・Google・Twitter・Instagram・Facebook・TikTok・Wikipediaなど全19件 - GIGAZINE
2023年10月、ガザ地区を実効支配しているハマスがイスラエルに武力を行使した件をめぐり、偽情報が多数投稿されたとしてEUはX(旧Twitter)に対する調査を開始しました。これはDSAに基づいて行われた初の調査です。
X(旧Twitter)に対しEUが初のデジタルサービス法に基づく捜査開始、ハマスのイスラエル攻撃に関連した偽情報のホスティングを巡り - GIGAZINE
2024年2月と4月には、TikTokがDSA違反の疑いで調査を受けています。
欧州委員会がDSA違反の疑いでTikTokに対する2度目の調査を開始 - GIGAZINE
一方でTelegramは、親ロシア勢力による偽情報拡散拠点として用いられていて、エストニアのカヤ・カッラス首相は「Telegramでは偽情報が公然と、チェックされることなく拡散されています」とBloombergに対して述べました。
Telegramが偽情報拡散に用いられているのは、公式ユーザー数がDSA対象を下回っており、DSA対象のプラットフォームに比べて制限が緩い点にあるとみられます。
2024年5月初頭時点でTelegramの公式サイトには「2024年2月までの半年間で、EU圏の月間アクティブユーザー数平均は4100万人と推定されます。これは(DSAで)『非常に大規模なプラットフォーム』に分類されるのに必要な4500万人を下回っています。また、DSAで定められた『オンラインプラットフォーム』とみなされるのはTelegramの機能のうち一部なので、閾値計算に用いられる月間ユーザー数はさらに少なくなる可能性が大です」との文言がありました。
しかし、EUはTelegramによる「ユーザー数は4100万人」という主張を疑問視し、調査を行っているとのこと。調査の影響なのか、ユーザー数を示した項目は記事作成時点ではなくなっていました。
もしユーザー数が4500万人以上であるとわかった場合、Telegramは「大規模プラットフォーム」と認定され、DSAの対象となります。
DSAに違反していて、TelegramがEUの調査に協力を拒否した場合、売上高の最大6%相当の罰金が科されるか、EUから追放される可能性があります。
05/29 21:00
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