Intelが14Aプロセスノードの実現に向けて業界初の商用「高NA EUVリソグラフィ」の組み立てを完了

Intelが14Aプロセスノードの実現に向けて業界初の商用「高NA EUVリソグラフィ」の組み立てを完了 - 画像


Intelが2024年4月18日、アメリカ・オレゴン州ヒルズボロの研究開発拠点で、業界初となる商用高開口数(NA)極端紫外線(EUV)リソグラフィの組み立てを完了したと発表しました。このEUVリソグラフィはオランダの半導体装置大手・ASML製であり、1.4nmプロセスに相当する「14A」プロセスノードの半導体製造に向けた重要な一歩と位置づけられています。
With High NA EUV, Intel Foundry Opens New Frontier in Chipmaking
https://www.intel.com/content/www/us/en/newsroom/news/intel-foundry-opens-new-frontier-chipmaking.html

Intelが14Aプロセスノードの実現に向けて業界初の商用「高NA EUVリソグラフィ」の組み立てを完了 - 画像


Intel completes assembly of first commercial High-NA EUV chipmaking tool — addresses cost concerns, preps for 14A process development in 2025 | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/pc-components/cpus/intel-completes-assembly-of-first-commercial-high-na-euv-chipmaking-tool-as-it-preps-for-14a-process
Intelは先進的なチップ製造でTSMCとSamsungに後れを取っていますが、2021年にCEOへ就任したパトリック・ゲルシンガー氏は半導体製造事業を拡大する新戦略「IDM 2.0」を打ち出し、半導体製造分野での巻き返しを図っています。
2024年2月には、AI時代に向けた持続可能なファウンドリビジネスとして「Intel Foundry」を立ち上げ、2030年までに世界2位のファウンドリになるという計画を発表しました。この中でIntelは、2024年後半の採用が予定されている「18A」(1.8nmプロセスノードに相当)の後継として、1.4nmプロセスノードに相当する「14A」を打ち出しています。
IntelがAI時代に適応した拡張プロセスロードマップやエコシステムパートナーの拡大を発表、2030年までに世界2位のファウンドリを目指す - GIGAZINE

Intelが14Aプロセスノードの実現に向けて業界初の商用「高NA EUVリソグラフィ」の組み立てを完了 - 画像


Intelの14Aをはじめとする最先端半導体製造において欠かせない装置となっているのが、ASMLが唯一のサプライヤーとなっている高NA EUVリソグラフィです。EUVリソグラフィはチップ上の非常に細かい配線パターンをEUV光源を用いて形成する装置であり、高NAのEUVリソグラフィは2nmプロセスノード以降の微細化に欠かせないといわれています。
Intelは2018年にASMLへ高NA EUVリソグラフィを注文しており、2023年12月には従来のEUVリソグラフィを超える「TWINSCAN EXE:5000 High NA EUV」が出荷されました。
A decade of groundbreaking science and systems engineering deserves a bow! 🎀 We're excited and proud to ship our first High NA EUV system to @intel. 🌎 pic.twitter.com/wtVn4fmq9D— ASML (@ASMLcompany) December 21, 2023
TWINSCAN EXE:5000 High NA EUVは250個以上の木箱に入った状態で輸送され、貨物機がシアトルに到着した後はトラックでオレゴン州の研究開発拠点に運び込まれ、Intelのチームによる組み立てが進められていました。
そしてIntelは4月18日に、世界で初めて商用の高NA EUVリソグラフィであるTWINSCAN EXE:5000 High NA EUVの組み立てを完了したと報告しました。TWINSCAN EXE:5000 High NA EUVは、光を集めて集束する能力の尺度であるNAが従来の「0.33」から「0.55」に向上しており、同様の形状に対してより高いイメージングコントラストを提供可能で、露光あたりの光量が少なくなるとのこと。
これにより、TWINSCAN EXE:5000 High NA EUVは既存EUVリソグラフィ1.7倍小さい形状をプリントでき、1回の露光で最大2.9倍のトランジスタ密度向上を実現するとされています。Intelは将来的なロードプロセスマップに備え、TWINSCAN EXE:5000 High NA EUVのキャリブレーションを行っていると述べました。

Intelが14Aプロセスノードの実現に向けて業界初の商用「高NA EUVリソグラフィ」の組み立てを完了 - 画像


Intelのリソグラフィ・ハードウェアおよびIntel Foundryロジック技術ソリューション担当ディレクターのマーク・フィリップス氏は、「高NA EUVが加わったことで、Intelは業界で最も充実したリソグラフィ・ツールボックスを手に入れました。これによりIntelは、Intel 18Aを超える将来のプロセス能力を推進することができます」とコメントしました。
IntelはTWINSCAN EXE:5000 High NA EUVだけでなく、毎時200枚以上のウェーハを生産できる次世代の「TWINSCAN EXE:5200B」の導入も計画しているとのことです。
なお、ASMLは4月17日に高NA EUVリソグラフィをIntelではない「2番目の顧客」に出荷したと報告しましたが、この顧客がどこのメーカーなのかは明かされませんでした。
Semiconductor equipment maker ASML ships second 'High NA' EUV machine | Reuters
https://www.reuters.com/technology/semiconductor-equipment-maker-asml-ships-second-high-na-euv-machine-2024-04-17/

Intelが14Aプロセスノードの実現に向けて業界初の商用「高NA EUVリソグラフィ」の組み立てを完了 - 画像


ジャンルで探す