AppleがiOS 17.5のベータ版でEUのユーザー向けにウェブサイトからのアプリダウンロードを認める

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2024年4月16日にiOS 17.5 beta 2が公開され、このバージョンから、要件に従ったアプリ開発者がウェブサイトからアプリを直接配布できるようになったことがわかりました。AppleはEUのデジタル市場法(DMA)に従うためiOSアプリ配布の条件を見直していたのですが、これまでは独自のアプリストアを運営することでしか配布を認めていませんでした。
Distributing your app from your website | Apple Developer Documentation
https://developer.apple.com/documentation/appdistribution/distributing-your-app-from-your-website
Apple will now let users in the EU download apps through web sites, not just the App Store | TechCrunch
https://techcrunch.com/2024/04/16/apple-web-distribution-ios/
iOS 17.5 beta 2 coming today with new Web Distribution sideloading feature in the EU - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2024/04/16/ios-17-5-beta-2-web-distribution/
Appleは、これまで自社アプリストア以外からアプリを配布する行為を認めていませんでしたが、テクノロジー企業を規制するDMAがEUで施行されたことを受け、同行為を一部認める方針を示しました。
ところが、当初Appleが提示した条件は「Appleが承認する代替アプリストアを通じてのみ、配布を認める」という規制で塗り固められたものであり、さらにこれまでと同じように代替アプリストアからも手数料を取るという有様だったため、多くのアプリ開発者から反発を受けました。
その後Appleは方針を転換し、開発者がウェブサイトからアプリを配布できるようにするための仕組みを構築することを明らかにしました。
Appleが「iPhone向けアプリをウェブサイトから直接インストールする仕組み」を発表、ただしもちろんEU限定 - GIGAZINE

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2024年4月16日、iOS 17.5 beta 2が公開され、開発者がアプリ配布のための仕組みを利用できるようになりました。これにより、App Store、代替アプリストアに次ぐ3番目のアプリ配布手段がEU限定で利用可能になります。
開発者が独自にアプリを配布するには、EUのApple Developer Programに登録し、同プログラムで2年以上継続して良好な地位を維持し、EU圏内の前年の年間インストール数が100万回を超えるアプリを所有している必要があるなど、多くの要件が課せられています。
さらに、開発者はAppleに手数料を支払う必要があります。価格は、過去12ヶ月間に年間100万インストールを超えた場合「1インストールごとに0.5ユーロ(約80円)」であり、例えば150万回ダウンロードされた場合は100万回を差し引いた50万回分の手数料を支払う必要があります。なお、Apple公式の試算ツールでは各種手数料を含めた詳細な計算ができるようになっています。
この「コアテクノロジー料(CTF)」と呼ばれる手数料は、開発者がこれまで通りApp Storeでアプリを配布した場合の手数料の100倍近く高くなることもあり、相当のメリットがないと開発者がCTF付きの配布手段を選ぶことはないため、実質的にApp Storeの利用を強制させるものだと開発者らから指摘されています。こうしたAppleの施策を大手テクノロジー企業も認識し、MetaやMicrosoft、Spotifyなどが非難声明を出しています。
「App Store以外のアプリストア設立」を巡るAppleの厳しすぎる条件を緩和するべくMicrosoftとMetaがロビー活動を展開している - GIGAZINE

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iOS 17.5 beta 2の要件では、ユーザーが開発者のウェブサイトから初めてアプリをダウンロードする際は、Face IDで認証するなどして3段階のインストールプロセスを実行する必要があると定めています。複数のステップが用意されているのは最初だけで、ユーザーが一度承認した開発者からアプリを入手する際はその後のダウンロードステップが少なくなるそうです。
Appleはこのプロセスを「合理的なセキュリティ対策であり、DMAでも認められている」と主張していますが、Appleのアプローチを非難する人は「ユーザーに恐怖を抱かせるもので、摩擦を誘発し、App Store以外からのアプリダウンロードを思いとどまらせることを意図している」と主張し、健全な認可プロセスではないと指摘しました。

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