Googleがカリフォルニア州でのニュース配信をブロック、ニュースへのリンクに税金を課す「リンク税法案」に反対するため

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Googleがアメリカのカリフォルニア州議会で検討中の法案「カリフォルニアジャーナリズム保護法(CJPA)」に反対するため、カリフォルニア州でのニュース配信を終了すると発表しました。
Why the California Journalism Preservation Act is putting support of the news ecosystem at risk
https://blog.google/products/news/california-journalism-preservation-act-puts-news-ecosystem-at-risk/


Google blocks California news outlets as new law looms : NPR
https://www.npr.org/2024/04/12/1244416887/google-blocks-california-news-payments-bill
CJPAはカリフォルニア州におけるジャーナリズムを支援するための新しい法案で、法律として成立すればニュースアグリゲーターサービスを提供するGoogleなどに対して、「リンク税」の支払いが義務付けられることとなります。しかし、Googleはこの種のリンク税は間違ったアプローチであると長らく主張しており、CJPAが成立すればカリフォルニア州のニュースパブリッシャーに提供できるトラフィックが大幅に変わってしまう可能性があると指摘しています。
Googleはユーザーが手軽にニュース記事を見つけられるように支援することで、あらゆる規模のニュースパブリッシャーに対して無料でユーザーを増やす機会を提供しています。しかし、CJPAが成立してしまえば、このモデルを覆さざるを得なくなるとGoogleは危惧しているわけです。
さらに、Googleは「CJPAは法案成立に向けてロビー活動を行っているメディア企業やヘッジファンドにとって有利なものです。CJPAからの資金を目当てにカリフォルニアの地元メディアを買収し、ジャーナリストを解雇し、幽霊スタッフで運営するゴースト新聞をさらに増やす可能性すらあります。ゴースト新聞は低コストで低品質なコンテンツを作成するのみです。また、CJPAは小規模なパブリッシャーを不利な立場に置き、多様なローカルメディアエコシステムへの消費者アクセスを制限することにもなるでしょう」と指摘しています。

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現状のCJPAにはリンク税に支払いの上限が設定されておらず、このままでは財政的に不可能な支払いを求められる可能性があるため「どの企業も受け入れられないレベルのビジネスにおける不確実性が生じる」とGoogleは指摘。GoogleはCJPAへの影響に備えてカリフォルニア州の少数ユーザーを対象に短期的なテストを開始しており、このテストではリンク税が発生するカリフォルニア州メディアの運営するニュースサイトへのリンクを削除しています。加えて、カリフォルニア州の規制環境が明確になるまで、Googleニュースを通じて新たなパートナーシップ、報道機関向けの製品およびライセンスプログラム、Googleニュースイニシアチブの拡大計画など、カリフォルニア州ニュースエコシステムへのさらなる投資も一時停止すると説明しました。
GoogleはCJPAについて「CJPAがカリフォルニア州のニュースを弱体化させると信じています。私たちはこれらの決定を軽々しく受け止めず、カリフォルニア州の出版社、議員、ユーザーに対して透明性を保ちたいと考えています。カリフォルニアの報道業界がさらに悪化するという結果を避けるために、私たちは議員たちに別のアプローチを取ることを強く求めます」と言及。今後もカリフォルニア州のニュースエコシステムをサポートできるように、CJPAに代わる手段の検討を議員と協力して進めると述べました。

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一方で、CJPAを提案した民主党議員のバフィー・ウィックス氏は、過去10年間でカリフォルニア州内で少なくとも100の報道機関が閉鎖に追い込まれたことを指摘し、「これは基本的な公平性に関する法案であり、プラットフォームが再利用するコンテンツの対価を確実に支払うことを目的としています」と語りました。ウィックス氏はCJPAが「広告収入の激減により経済的な危機に直面しているメディア企業を支援するために必要な法案である」と説明しています。
雇用統計を調査しているChallenger, Gray&Christmasによると、アメリカのニュースメディア業界では2023年だけで2万人以上が解雇されている模様。この数字はパンデミック中にニュースメディア業界が約3万人を解雇して以来、最大のものです。
また、Business Insiderが制作・発行しているアナリストレポートのInsider Intelligenceによると、デジタル広告収益の少なくとも70%がGoogleとMetaにより徴収されているそうです。なお、2023年のGoogleのデジタル広告収益は3070億ドル(約47兆円)でした。
CJPAのようなリンク税の徴収を行う法案に反対しているのはGoogleやMetaといった大企業だけではありません。ソフトウェアエンジニアのクリスティーナ・ウォーレン氏は、リンク税の支払いを求めることはオープンウェブとそれが象徴するすべてのものに反する行為であり、「不道徳である」と指摘。他にも、リンク税は現状のインターネットを支える「オープンウェブ」の思想を崩壊させることにつながるという意見もあります。
A rare time I’m in full agreement with Meta. Trying to blackmail companies into paying a tax for hyperlinks is antithetical to the open web and everything it stands for. I support media and journalism to the max. But trying to strongarm payments for hyperlinks is obscene. https://t.co/U9eB3Onj0h— Christina Warren (@film_girl) August 2, 2023

なお、CJPAと同様の法案がカナダでも検討されており、すでに成立間近となっています。カナダの法案を受け、MetaはFacebookおよびInstagramにおいてカナダでのニュース配信を停止。一方で、Googleはカナダ政府と協定を結び、カナダのニュースメディア業界に年間7400万ドル(約110億円)を支払うことに合意しています。
FacebookとInstagramがカナダでのニュース配信を停止、「ニュースを掲載したら収益を分けろ」とする法案に反発 - GIGAZINE


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