従来の技術だと2時間はかかるところわずか4分で高解像度の脳画像を撮影するMRI「イズールト」が開発される

従来の技術だと2時間はかかるところわずか4分で高解像度の脳画像を撮影するMRI「イズールト」が開発される - 画像


11.7T(テスラ)の磁場強度を持ち、わずか4分で高解像度の脳画像を撮影することが可能なMRI「イズールト(Iseult)」が開発され、初めて人間の脳がスキャンされました。
English Portal - A world premiere: the living brain imaged with unrivaled clarity thanks to the world’s most powerful MRI machine
https://www.cea.fr/english/Pages/News/world-premiere-living-brain-imaged-with-unrivaled-clarity-thanks-to-world-most-powerful-MRI-machine.aspx
World's most powerful MRI machine captures first stunning brain scans
https://newatlas.com/medical/powerful-mri-brain-scans-iseult/
🧠[Première mondiale] Le cerveau dévoilé comme jamais grâce à l’IRM le plus puissant au monde - YouTube

強力な磁場強度を持つイズールトを使用すると、わずか4分で脳組織を1mm単位で撮影することが可能になります。
記事作成時点で一般に使われているMRIの磁場強度は1.5T~3T程度ですが、こうしたMRIで1mm単位の画像を撮影するには2時間もかかってしまい、さらに患者が少しでも動くと画像がぼやけてしまいます。このような問題はイズールトを使うことで解決され、脳をより深く理解するのに役立つとされています。

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患者が頭を入れる部分(ボア)の直径は90cmで、既存の製品より平均20cm~30cm大きくなっているのも特徴です。これにより、閉所恐怖症を抱える患者の負担を軽減できる可能性があります。
イズールトはフランスの代替エネルギー・原子力委員会(CEA)により開発されたもので、数年前にカボチャでテストされていましたが、2024年の今回、初めて20人の健康な人間の脳をスキャンすることに成功しました。

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鮮明な画像を撮影できるイズールトですが、他のMRI装置よりもはるかに大きく、長さは5メートル、重さは132トンもあるとのこと。通常のMRIだとせいぜい2~3メートルで、10トンを超えることはほとんどありません。さらにイズールトは磁石を-271.35℃まで冷却する必要があり、そのために約7500リットルの液体ヘリウムを必要とします。この大きさ、複雑さ、コストを鑑みると、イズールトが使用できる病院は限られてきます。

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CEAは「イズールトはアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の理解、診断、治療に役立つはずです」と述べました。
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