macOSはネットワーク経由でファイルをコピーすると書き込み速度が不安定で遅くなるという検証結果


ネットワークを介してコンピューターのストレージにあるファイルシステムをマウントすることで、異なる端末からファイルを扱うことができるシステムがネットワークファイルシステム(NFS)です。YouTuberでエンジニアのジェフ・ギーリング氏が、macOSでNFSを使用した時のファイルの書き込み速度がなぜか遅くなるという問題を報告しています。
macOS Finder is still bad at network file copies | Jeff Geerling
https://www.jeffgeerling.com/blog/2024/macos-finder-still-bad-network-file-copies
ギーリング氏はRaspberry Piを使った小型NASのテストを行っていましたが、Raspberry Piの内部ストレージ速度や800MB/s以上のPCIeベースのストレージを使用しても、macOSからNFSやSambaを介してネットワーク経由でファイルを書き込む際、100MB/s以上の速度が出ないことにイライラしたとのこと。
NFSの場合、書き込み速度はおよそ82MB/sでした。


Sambaでは最大115MB/sに達することがあったものの非常に不安定で、平均書き込み速度は70MB/s程度でした。


ギーリング氏は設定を変更したりツールを使用したりして解決を目指したそうですが、macOS側のボトルネックがどこにあるのか特定できなかったとのこと。そこで、ギーリング氏はいくつかのテストを行いました。
まずネットワークの帯域幅を測定できるiperf3を使ってネットワーク接続を確認したところ、1Gbps接続の回線速度が940Mbps、2.5Gbps接続の回線速度が約2Gbpsであることが確認されました。
次にディスクの入出力をチェックするIOzoneでテストを行ったところ、raidz1構成のSDD(SATA接続)4台に対して、1Mチャンク・50GBのテストファイルを800MB/sの速度で書き込めることも確認されました。
macOS Sonomaには「/etc/nsmb.conf」ファイルがデフォルトで存在しませんでしたが、過去のmacOSでは、このファイルに「signing_required=no」を追加することで、Sambaパケット署名を無効にし、速度を向上させることができるとのこと。ギーリング氏は署名を強制的に無効にしましたが、書き込み速度が遅いという問題は解決されませんでした。
そして、cpとrsyncを使用して、この問題がFinder特有のものかどうかを確認しました。すると、両方とも共有への書き込み速度は安定していましたが、全体的には遅くなったとのこと。
続いて、SFTPクライアントであるTransmitを起動し、scpコマンドを使用してディレクトリコピーを行ったところ、112MB/sという安定した速度でコピーされました。
そこで、ギーリング氏はWindows 11 PCでも同様のテストを行いました。すると、1Gbps接続で約100MB/s、2.5Gbps接続で150MB/sの書き込み速度が出ることがわかりました。なお、読み込み速度はmacOSとWindowsで同じだったとのこと。



テストの結果、WindowsではmacOSよりも高速かつ一貫したネットワーク共有への書き込み速度が得られることがわかりました。ギーリング氏によると、アクティビティモニタやhtopでモニタリングしてもボトルネックを示すものは見当たらなかったとのこと。macOSには、Linuxのatopのような割り込みやその他のリソースをモニタリングできるツールがなく、macOS側のボトルネックがどこにあるのかを解決できないとギーリング氏は報告しました。
なお、ギーリング氏は「ネットワーク共有が機能しているだけでも喜ぶべきだと考えています」とコメントしています。

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