Huawei関連の中国の半導体企業への追加制裁をアメリカが検討中、「Mate 60 Pro」に先進的な7nmチップが搭載されていたショックで


中国の大手通信機器メーカー・Huaweiは2023年に、技術的に不可能だと思われていた独自の最新鋭チップを搭載したフラッグシップスマートフォン「Mate 60 Pro」をリリースしました。これに危機感を覚えたアメリカ政府が、極秘の半導体供給ネットワークを構成している中国企業を複数ブラックリストに追加する検討を進めていることが報じられました。
US Weighs Sanctioning Huawei’s Secretive Chinese Chip Network - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-03-20/us-weighs-sanctioning-huawei-s-secretive-chinese-chip-network
Tech war: US said to weigh sanctions against Huawei’s secretive Chinese semiconductor supply network | South China Morning Post
https://www.scmp.com/tech/tech-war/article/3256083/tech-war-us-said-weigh-sanctions-against-huaweis-secretive-chinese-semiconductor-supply-network
Huaweiは2023年8月に、アメリカによる輸出規制をかいくぐって調達された7nmプロセスの5Gチップや、規制破りとの指摘がある韓国製メモリを搭載したスマートフォン・Mate 60 Proをリリースしており、業界は「Huaweiは既に一流のスマートフォンOEMと競合できることを証明した」と受け止めています。
Huaweiの「Mate 60 Pro」は一流スマートフォンOEMと競合できるクオリティであることを証明しつつある - GIGAZINE


報道によると、バイデン政権はHuaweiが2023年に技術的な進歩を遂げたことを受けて、Huaweiと関係している多数の中国の半導体企業を輸出規制の対象となるエンティティーリストに掲載することを検討しているとのこと。
新しく規制対象になる可能性がある中国企業には、Qingdao Si'En(芯恩・青島集成電路)、SwaySure(昇維旭技術)、Shenzhen Pensun Technology(深圳市鵬新旭技術)、ChangXin Memory Technologies(長鑫存儲技術)などが含まれていますが、まだ最終的には決定していません。
これらの企業のほとんどは、Huaweiが買収したか、あるいは建設を進めているチップ製造施設として、アメリカの業界団体・半導体産業協会の2023年8月のプレゼンテーションで名前が挙がった企業だと、匿名の情報提供者は指摘しています。
関係者のひとりの話によると、白羽の矢が立てられているのはチップ製造企業だけでなく、半導体製造装置メーカーのShenzhen Pengjin High-Tech(深圳市鵬進高科技)やSiCarrier(新凱来)も制裁対象になる可能性があるとのこと。SiCarrierは以前からオランダの半導体製造装置メーカー・ASMLの代わりにするためにHuaweiが関係を構築した企業として名前が挙がっており、アメリカ政府は両社がHuaweiの代理人となって規制下の半導体製造装置の入手に加担しているのではないかと懸念しています。
Huaweiはアメリカによる経済制裁を乗り越えて自給自足のチップネットワークを構築している - GIGAZINE


アメリカ当局がいつ最終決定を下すかは不透明で、そのタイミングは今後の米中関係次第であると、関係者らは話しています。両国は2024年に入ってから関係改善の道を模索しており、ジャネット・イエレン財務長官が2024年内に再び訪中することを予定しているほか、政府高官らは2024年春のジョー・バイデン大統領と習近平国家主席の電話会談に向けて調整を進めています。
ホワイトハウス国家安全保障会議や商務省産業安全保障局(BIS)、中国各社や商務省はメディアの問い合わせに応じませんでした。
アメリカの投資会社・Jefferiesのアナリストであるエジソン・リー氏は「アメリカのエンティティーリストにこれらの中国企業が追加される可能性は高いでしょう。追加の正当化は簡単で、これにより特定の主要な中国企業が輸出規制の抜け穴を悪用するのを阻止することができます」とコメントしました。

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