ボーイングの飛行機ドア脱落事故の調査で「監視カメラ映像が上書きされて重要情報が消えていた」ことが判明&社員が「安全より納期を優先する社内体制」を告発

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アメリカの国家運輸安全委員会(NTSB)は、2024年1月6日に発生したボーイング737MAX9の壁面パネル脱落事故に関する調査を続けています。新たに、NTSBが提出した報告書によって「事故機のメンテナンス作業を記録した監視カメラの映像が上書きされている」ことが明らかになりました。さらに、ボーイングの現役従業員を名乗る人物が匿名掲示板Redditに登場し、ボーイングの内部事情を告発しています。
Senate Committee on Commerce, Science and Transportation on Boeing 737-9MAX Door Plug Blowout - Letter to Senate Committee on Commerce, Science & Transportation on Boeing 737-9 MAX Door Plug Blowout.pdf
(PDFファイル)https://www.ntsb.gov/news/Documents/Letter to Senate Committee on Commerce, Science & Transportation on Boeing 737-9 MAX Door Plug Blowout.pdf
In-flight structural failure, Alaska Airlines flight 1282
https://www.ntsb.gov/investigations/Pages/DCA24MA063.aspx
ボーイング737MAX9の壁面パネル脱落事故は2024年1月6日に発生した事故です。事故機は現地時間の2024年1月6日17時7分にオレゴン州ポートランドを離陸したものの、離陸直後に壁面パネルが吹き飛び、17時27分に緊急着陸しました。この事故の影響を受けて事故機を運航していたアラスカ航空はボーイング737MAX9の運航を停止。さらに、アメリカ連邦航空局(FAA)がアメリカ国内の航空会社に対して「保有する機体およびアメリカ領空を運航するすべてのボーイング737MAX9について点検を行うまでの一時運航停止」を命じています。
ボーイング737MAX9の運航停止を連邦航空局が命令、アラスカ航空の壁面パネル剥離事故の影響 - GIGAZINE

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着陸後の事故機を外から撮影した写真が以下。ドアがあった部分が丸ごとなくなっています。

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NTSBが実施した調査では、壁面パネルを固定するためのボルトが正しく取り付けられていなかったことが判明しています。

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2024年3月13日に公開された報告書によると、NTSBは詳細な原因を明らかにするためにボーイングに対して「作業場に設置された監視カメラの映像」を要求したとのこと。しかし、監視カメラの映像はすでに上書きされており、作業当時の映像は残っていませんでした。このためNTSBは事故機のメンテナンスを実施した人物を特定できておらず調査が難航しています。
なお、ボーイング737MAX9のパネル脱落事故を巡っては、事故発生と同じ月にボーイングの現役従業員を名乗る人物から「ボーイング737MAX9は、外部委託された航空機部品の生産ラインで多くの問題を抱えており、品質管理が十分機能していない」と告発が寄せられています。さらに、2024年3月14日にはボーイングの従業員を名乗る人物がオンライン掲示板のRedditに「ボーイングでは航空機の安全確保は実績として認められず、株価の上昇にもとづいて昇給や賞与が判断される」「経営陣は研究開発や工場の増強ではなく株価の上昇のために資金を費やしている」「安全性の確保よりも納期が優先される」といったボーイングの問題点を指摘する長文を投稿しています。
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