離陸直後にドア落下事故を起こしたボーイング737MAX9は外注部品製造の品質保証がずさんであるという告発

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by airbus777
大型飛行機のボーイング737MAX9が離陸直後に壁面の一部が吹き飛ぶという事故が発生し、アメリカ連邦航空局やボーイングは原因究明に乗り出しています。このボーイング737MAX9の事故が発生した原因は、ボーイングがコストダウンのために部品生産を外注にしたものの、その品質保証がずさんだったからだといわれています。
Boeing Whistleblower: Production Line Has "Enormous Volume Of Defects" Bolts On MAX 9 Weren't Installed - View from the Wing
https://viewfromthewing.com/boeing-whistleblower-production-line-has-enormous-volume-of-defects-bolts-on-max-9-werent-installed/
At United and Alaska airlines, frustration with Boeing's manufacturing problems is boiling over | AP News
https://apnews.com/article/united-airlines-ceo-boeing-manufacturing-problems-4090ea6176ef59e382dd18e9522596bc
現地時間2024年1月6日17時7分にオレゴン州ポートランドを離陸した、カリフォルニア州オンタリオ行きのアラスカ航空1282便で、離陸直後に機体左側後方の壁面パネルがまるごと吹き飛ぶ事故が発生しました。乗客は全員無事でしたが、この事故を受けてアメリカ連邦航空局(FAA)はアメリカの航空会社が保有する機体およびアメリカ領空を運航するすべてのボーイング737MAX9について点検を行うまで一時運航停止を命じました。
ボーイング737MAX9の運航停止を連邦航空局が命令、アラスカ航空の壁面パネル剥離事故の影響 - GIGAZINE

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製造されているボーイング737MAX9の多くはアラスカ航空とユナイテッド航空が所有しています。このうち、ユナイテッド航空は「1月6日から予備検査を行ったところ、一部のボルトがもっとしっかりと締めなければならない状態だったことがわかった」と報告しています。140機以上の運航停止につながったユナイテッド航空とアラスカ航空はボーイングを非難しており、ユナイテッド航空のスコット・カービーCEOは「将来的にボーイング737MAXの購入代替案を検討する」と述べています。
ボーイングのデイビッド・カルフーンCEOは1月9日に開かれた安全対策会議で、「私たちはまず第一に自分たちのミスを認めて対応にあたります」と語り、アラスカ航空1282便のボーイング737MAX9でドアパネルが吹き飛んだのは自社のミスであることを認めています。
航空業界関連のニュースを扱うサイト・Leeham Newsのフォーラムでは、ボーイングの現役従業員を名乗るユーザーが「ボーイング737MAX9は、外部委託された航空機部品の生産ラインで多くの問題を抱えており、品質管理が十分機能していない」と告発しています。
..unvetted (every other synonym for that as well,) commenter here:https://t.co/R3KdqDHION
And now I'm seeing a couple other usually credible, usually careful folks positing same idea.
As always-- more so than usual-- no idea myself.— ???????? JonNYC ???????? (@xJonNYC) January 22, 2024
ボーイング737MAX9の部品生産の多くは、コストを抑えるために外部委託されています。主要なサプライヤーであるスピリット・エアロシステムズはもともとボーイングの一部でしたが、2005年に分離され、未公開株投資会社に売却されました。
今回問題となっているボーイング737MAX9の部品もスピリット・エアロシステムズが生産し、保証作業をボーイングと共に行っています。しかし上記の告発者によれば、この保証作業が非常にずさんだったそうで、品質検証の現場ではチェック中のボーイング737MAX9でリベットの打ち間違いがあったのを「上からペンキを塗った」ことで問題なしと報告し、ボーイングの品質保証班もそれでOKとしてしまったとのこと。告発者は、安全性よりもコストを重視したことが今回の事故の遠因になっている可能性を示唆しました。
同様の指摘は、前世代機のボーイング737MAX8が5カ月の間に2度の墜落事故を起こした際にも指摘されていました。
ボーイング 737 MAX墜落事故の原因は安全性向上より納期・コストを重視する社風にあるという内部告発 - GIGAZINE

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なお、大手オンライン旅行代理店のカヤックは航空券の予約の際に特定のモデルの飛行機を追加および除外するフィルターを導入しているそうですが、アラスカ航空の事件後はフィルターの使用率が約15倍に増加。そのため、検索ページを再設計し、ボーイング737MAX8と737MAX9を検索結果から区別できるフィルターを強調したと報じられています。

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