Appleが「iPhone向けアプリをウェブサイトから直接インストールする仕組み」を発表、ただしもちろんEU限定


AppleはEUのデジタル市場法に準拠するため、iOS 17.4からEU限定でApp Store以外の代替アプリストアやApp Store外の決済手段を認めるという大きな変更を加えています。そして、iPhone向けにウェブサイトから直接アプリを配布する新しい方法を導入したと2024年3月12日付けで発表しました。
More options for apps distributed in the European Union - Latest News - Apple Developer
https://developer.apple.com/news/?id=8c1m8hqt


Getting ready for Web Distribution in the EU - Support - Apple Developer
https://developer.apple.com/support/web-distribution-eu/


EU圏内限定で2024年春後半から、開発者は自分で用意したウェブサイトで自分で開発したアプリを直接配布することができます。ウェブサイトからアプリを直接インストールする場合、ユーザーはiPhoneの設定から「ウェブサイトからのアプリの直接インストール」を承認する必要があります。
ウェブサイトで直接配布されるアプリはAppleの公証ガイドラインを満たす必要があり、Appleに審査されなければなりません。ユーザーがウェブサイトからアプリをインストールすると、アプリ名や開発者名、アプリの説明、スクリーンショット、システム経過時間評価など、開発者がAppleに提出した情報がシステムシートに表示されます。加えて、配布するウェブサイトは、開発者向けのアプリ管理ツール「App Store Connect」にドメインを登録する必要があります。


開発者がウェブサイトでのアプリ配布を行うためには、以下の資格要件を満たす必要があります。
・EU内に設立されて本拠地を置いている、または登録されている組織としてApple Developer Programに登録していること。もしくはEU内に設立されて本拠地を置いている、または登録されている子会社の法人を有していること
・Apple Developer Programを2年以上継続して契約しており、前年にEU圏内で年間インストール数が100万件を超えたアプリを所有していること
・「開発者アカウントからのみアプリを提供すること」「セキュリティやプライバシーの問題があるとAppleが判断した際は連絡に応じること」「データ収集ポリシーを公開してユーザーがアプリによるデータ収集や取扱方法を制御できるようにすること」「国や地域の法律を順守すること」「アプリのリストを削除せよという政府やその他の要求に対する責任を負うこと」に同意すること
Appleは、過去12カ月間におけるアプリインストール数が100万回を超えた場合、1インストール当たり0.50ユーロ(約80円)の「コアテクノロジー料」を支払うことを開発者に義務付けています。ただし、EUに拠点を置く非営利団体や認定教育機関、政府機関はApple Developer Programの年会費とコア テクノロジー料金が免除されるとのこと。このコアテクノロジー料は代替アプリストアに対しても課されている手数料で、無料アプリやフリーミアムアプリの開発者を破産させる可能性があると以前から批判を受けています。
AppleがiOSアプリに課す1インストール当たり約80円の「コアテクノロジー料」が無料アプリやフリーミアムアプリの開発者を破産させる可能性 - GIGAZINE


また、これまでAppleは「代替アプリストアの運営者は他の開発者からのアプリ登録を許可する必要がある」としていましたが、今回の発表で「代替アプリストアの運営者は、自前のアプリのみを提供する」ことができるようになりました。たとえば、MetaがEU圏内でMeta運営のiOS向けアプリストアを運営し、Facebook・Instagram・Messengerといった自社アプリだけを配信するということが可能になります。
さらに、App Store外の決済手段へのリンクをアプリ内に埋め込む場合はリンク表示のデザインがかなり細かく指定されていましたが、このリンク表示のデザイン強制ではなくなり、開発者側の裁量により委ねられるようになっています。
ついにAppleがiPhone向けアプリへの「外部課金システムへのリンク挿入」を許可、ただし手数料は発生 - GIGAZINE

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