テスラを抜かしてEV販売数1位に躍り出た中国企業「BYD」躍進の理由とは?

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中国を拠点とする電気自動車メーカー「BYD」は日本を含む世界中で電気自動車を販売しており、2023年第4四半期(10~12月)にはテスラを抜いて世界で最も多くの電気自動車を販売したメーカーとなりました。そんなBYDの躍進の理由についてニューヨーク・タイムズがまとめています。
How China Built BYD, Its Tesla Killer - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/02/12/business/byd-china-electric-vehicle.html
BYDは1995年に創業された企業で、当初は電池事業を主軸としていました。BYDは2005年にガソリン車「BYD F3」を発売し、2008年にはプラグインハイブリッド車「BYD F3DM」の販売を開始しました。しかし、ニューヨーク・タイムズによるとBYDが自動車を販売し始めた当初は「塗装が不均一」「ドアの立て付けが悪い」といった工作精度の問題を抱えており、自動車業界からは脅威とはみなされていませんでした。
それでもBYDは自動車の販売台数を増やし続け、2023年第4四半期にはテスラを抜いて世界で最も多くの電気自動車を販売したメーカーとなりました。
テスラがEVの販売台数でついにトップの座を中国のBYDに譲る - GIGAZINE

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BYD(黒)とテスラ(青)の電気自動車販売台数の推移を示したグラフが以下。BYDは2021年第1四半期以降に販売台数を急速に増やし続け、2023年第3四半期にはテスラと同等の販売台数に到達しています。

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BYDは日本でも勢力を拡大しており、2024年2月10日には香川県に「BYD AUTO 高松」をオープンし、2024年2月22日には岐阜県に「BYD AUTO 岐阜」をオープンしています。以下のリンク先にはBYDの日本国内のディーラー一覧が掲載されており、北海道から沖縄まで日本全国にディーラーを展開していることが分かります。
BYD正規ディーラー | BYD Auto Japan株式会社
https://byd.co.jp/e-life/dealer/

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BYDの王伝福会長は2008年に「アメリカへの電気自動車輸出を2年以内に開始する」と宣言していましたが、電気自動車の製造コストの高さや航続距離の短さなどの問題が影響してアメリカ市場への参入を断念。さらに2011年には王会長が「自動車業界はガソリン車やハイブリッド車に専念するべき」と発言するなど、中国国外への電気自動車の輸出には消極的な状態が続いていました。
一方でBYDは中国市場における電気自動車の普及に力を入れ続け、アウディやランボルギーニのデザインに携わってきた著名デザイナーのヴォルフガング・エッガーを2016年に雇用したり、電気自動車の航続距離を改善する新型バッテリーの開発に取り組んだりとラインナップの補強に取り組んできました。
長年の研究開発の結果、BYDは他のメーカーと比べて低いコストで電気自動車を生産できるようになりました。例えばスイスの大手銀行「UBS」はBYDの電気自動車の製造コストがフォルクスワーゲンの同価格帯モデルと比べて35%低いという分析結果を発表しています。ニューヨーク・タイムズはBYDの製造コストの低さが価格競争での優位性を生み出し、販売台数増加につながっていると指摘しています。
また、ニューヨーク・タイムズは、BYDの非常に高速な雇用ペースにも着目しています。ゼネラルモーターズからBYDに入社した技術者のチャンチャン・リュウ氏によるとリュウ氏の入社から15カ月で自動車開発チームの人員は3倍にまで増えたとのこと。
なお、BYDは2023年4月に「自動運転技術は実現不可能である」という姿勢を示して話題になっていましたが、2024年1月には自動運転技術の研究人員4000人の雇用と140億ドル(約2兆1000億円)の投資を発表しています。
中国の大手EVメーカー・BYDは「自動運転技術は基本的に不可能」と考えている - GIGAZINE

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