未成年をインターネットの危険から守る「子どもオンライン安全法」に対して多くの人権団体が反対を表明

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ソーシャルメディアの普及とともに、未成年者が犯罪に巻き込まれたり誹謗(ひぼう)中傷を受けたりするケースが増加しています。アメリカではソーシャルメディアプラットフォーム上で未成年者を保護することを目的とした「子どもオンライン安全法(KOSA)」の制定が進められていますが、50以上の人権団体がこのKOSAの制定に反対しています。
Stop KOSA
https://www.stopkosa.com/

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近年はInstagramやTikTokなど、若い世代に人気のソーシャルメディアプラットフォームでいじめや誹謗(ひぼう)中傷、性的搾取や詐欺などが問題となっており、アメリカではMetaのマーク・ザッカーバーグCEOやX(旧Twitter)のリンダ・ヤッカリーノCEOなどを召喚した公聴会が複数回開催されています。
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KOSAは16歳以下の利用者に対するソーシャルメディアへのアクセス制限や表示されるコンテンツの管理、プラットフォーム上のプライバシー保護や保護者による監督機能の強化を目的とした法律で、民主党のリチャード・ブルーメンソル上院議員や共和党のマーシャ・ブラックバーン上院議員が法案を作成し、2022年2月に議会へ提出しました。
S.1409 - 118th Congress (2023-2024): Kids Online Safety Act | Congress.gov | Library of Congress
https://www.congress.gov/bill/118th-congress/senate-bill/1409
この法案では、ソーシャルメディアプラットフォームやゲームサイト、メッセージアプリなどのオンラインサービスの運営者は、プラットフォームを利用した未成年者に対するいじめや嫌がらせ、性的搾取、略奪的マーケティングなどの危害を防ぐための「合理的な措置」を講じることが義務付けられています。
また、18歳未満のユーザーに対してはデフォルトで最高レベルのプライバシーと安全性の設定をオンにすることが義務付けられるほか、おすすめのフィードやスマートフォンへの通知、動画の自動再生などといった「強制的な機能」を制限したりオプトアウトしたりできるようにすることも義務として課されます。
しかし、アメリカの人権団体の多くが言論の自由を理由に、KOSAへの反対を表明しています。
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電子フロンティア財団は、KOSAが「政府は直接規制できない言論を間接的に規制できない」というアメリカ合衆国憲法修正第1条の基本原則を無視しており、過剰な検閲をまねく恐れがあると主張。また、法案の中で言及されている「危害」の定義がはっきりしていないことにも問題があるとしています。
くわえて、プラットフォーム側がユーザーの年齢を把握してコンテンツを合理的に管理することは不可能だと述べ、オンラインの匿名性とプライバシーを尊重すべきだと訴えました。
さらにアメリカの非営利団体「Fight for the Future」は、KOSAに反対する「Stop KOSA」という運動を立ち上げており、記事作成時点で58の団体が賛同を表明しています。
Fight for the Futureは、「KOSAはプラットフォームに対し、未成年者にとって『不適切』と判断されるものをネット上から排除するフィルターを設置するよう圧力をかけます。これは単純明快に言えば、プラットフォームに検閲を行うように指示するものです。すでにコンテンツフィルターを使用している場所では、自殺予防やLGBTQ+支援団体に関する重要な情報が制限されており、KOSAはこのような検閲をインターネットの隅々にまで広げようとしています。人種やジェンダー、セクシュアリティなどのトピックを扱うウェブサイトを閉鎖することができてしまいます」と主張しました。

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また、「KOSAは年齢認証や保護者監視ツールの使用を拡大することで、すべてのインターネットユーザーのオンライン監視を強化します。これらのツールは不必要に侵略的であるだけでなく、家庭内暴力や虐待から逃れようとしている若者にとって、安全上の大きなリスクとなります」とも主張しており、反対の声を連邦議会に届けるべきだとしています。

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