AppleはiPhone上でAIを実行することを目指しておりiOS 18で「AIを搭載した次世代Siri」をリリースする可能性

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近年はMicrosoftやGoogleなどの大手テクノロジー企業が相次いでAIを搭載した製品をリリースしている中で、iPhoneやiPadなどを展開するAppleも独自のAI開発に向けて動き出しています。経済紙のフィナンシャル・タイムズが、AppleはAI製品に必要な独自の大規模言語モデルを開発しており、2024年にはiOS 18で「AIを搭載した次世代Siri」がリリースされる可能性があると報じました。
Apple boosts plans to bring generative AI to iPhones
https://www.ft.com/content/52839eb2-6641-42a6-acd7-5d41e809c97a

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Next generation Siri likely to be launched in iOS 18, ChatGPT style
https://9to5mac.com/2024/01/24/next-generation-siri-ios-18/
記事作成時点のAppleは、競合する大手テクノロジー企業と比較するとAI分野で目立っていません。しかし、AIについてAppleが無関心というわけではなく、「2016年~2020年にかけてAI関連企業を買収した数」でトップになっているほか、AI開発に必要な専用サーバーに2年間で最大50億ドル(約7500億円)を費やす可能性があることも報じられています。
Appleは2年で7500億円を投資してAI開発競争に追いつくことを計画している - GIGAZINE

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投資企業のWedbush Securitiesのアナリストであるダニエル・アイブ氏は、記事作成時点でもAppleはAI関連企業の大規模なM&Aを準備していると指摘。「もしもAppleが今年、大規模なAI企業の買収をしないのであれば、私はショックを受けるでしょう。なぜなら、AIの軍拡競争は進行中であり、Appleがそれを黙って見ているつもりはないからです」とコメントしました。
また、大手金融機関のモルガン・スタンレーによる調査では、AppleのAIに関連する求人の半数以上に「ディープラーニング」という用語が含まれているとのこと。ディープラーニングはテキストなどの生成AIに関連しており、Appleが生成AIの開発に取り組んでいることが示唆されています。
実際にAppleのティム・クックCEOは、Appleがすでに生成AIの開発に取り組んでいることを認めています。
Appleのティム・クックCEOが独自の生成AIを開発中であると認める、Appleの研究開発費は前年同期より約4400億円も増加 - GIGAZINE

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フィナンシャル・タイムズは、「Appleの目標は、モバイルデバイスを通じて生成AIを運用することのようです。これは、AIチャットボットやアプリをデータセンターのクラウドサービスではなく、スマートフォン自体のハードウェアとソフトウェアで実行します。この技術的な課題を克服するには、AIを動かす大規模言語モデルのサイズを縮小し、より高性能なプロセッサを実現する必要があります」と述べています。
すでにAppleは、デバイスに搭載するチップの設計やアーキテクチャにおいてAIを重視しています。2023年10月に発表されたMac用の次世代プロセッサ「M3」「M3 Pro」「M3 Max」では、数十億ものパラメータを扱うAI開発者がノートPCでワークフローを実行可能になるとアピールされています。
Appleが次世代Mシリーズの「M3」「M3 Pro」「M3 Max」を発表、Mac向けとしては初の3nmプロセスチップに - GIGAZINE

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また、「iPhone 15 Pro/15 Max」に搭載されているチップ「A17 Pro」では、AI関連タスクを処理するニューラルエンジンが前世代の2倍の速度に進化したとのこと。半導体コンサルティング企業・SemiAnalysisのアナリストであるディラン・パテル氏は、「デバイスに搭載するチップに関していえば、今後ますます設計やアーキテクチャがAIに向けたものになっていくことは間違いありません」と述べました。
すでにAppleは独自のチャットAI「Apple GPT」を社内業務に導入しているほか、2023年12月に発表した論文で「メモリが限られたデバイス上で大規模言語モデルの推論を効果的に行うための技術」について示しており、iPhoneを通じてChatGPTのような生成AIツールを提供する可能性が高まっています。
モルガン・スタンレーのアナリストは、2024年6月に開催されるAppleの年次開発者会議「WWDC」で発表されるiOS 18には、「大規模言語モデルを搭載したSiri」が含まれる可能性があると予想しています。
AppleのAI戦略はあくまで「デバイスを通じてAIツールを提供すること」であり、さまざまなAIアプリやAIツールの基盤となることを目指すMicrosoftやGoogleの姿勢とは異なります。この点について投資銀行のNeedham & Companyでアナリストを務めるローラ・マーティン氏は、Appleは自分たちのエコシステムへの利益と、インストールベースの保護を目的にしているからだと指摘。「AppleはGoogleやAmazonがやりたいこと、つまり、大規模言語モデルでアプリを構築するすべてのアメリカ企業のバックボーンになろうとしていないのです」と述べました。

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