凧(たこ)を空高く飛ばして発電する「空中風力発電システム」の導入が進められている

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気候変動の原因となる二酸化炭素排出量を減らすべく、世界中で太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入が進められています。オランダにあるエネルギー企業のKitepowerは、凧(たこ)を空に飛ばして発電する「空中風力発電システム」を市場に投入しようとしています。
The Hawk - Kitepower
https://thekitepower.com/the-hawk/
Flying Kites Deliver Container-Size Power Generation - IEEE Spectrum
https://spectrum.ieee.org/micro-wind-power-kitepower
Kitepowerが投入しようとしている空中風力発電システム「Hawk」は、以下のような構成。1は発電した電気を蓄えるリチウムイオンバッテリーで、容量は400kWh。そして、バッテリーに隣接する2が地上局で、凧のエネルギーを電力に変換して発電機に送ります。3が地上局と凧を結ぶひもで、長さは352m。ひもの先についている4は凧をコントロールするユニットが取り付けられています。そして、5の凧はグラスファイバー製で軽量かつ丈夫に作られています。

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小さくて少し見づらいですが、青空の中を飛んでいるのがHawkの凧。大きさはサイズ60m2で、最大で時速110kmで動くとのこと。平均的な風力発電用風車の高さはだいたい100mほどですが、Hawkの凧は高さ350mまであがるので、より強い風のエネルギーを受けることができます。

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草原の中に配置されているのがバッテリーを搭載したコンテナと地上局。Hawkの瞬間発電容量は40kWです。

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風に乗って凧が空高く飛ぶと、結び付けられたひもが引っ張られ、地上局の発電機で電気が発生します。ひもが最大まで引っ張られると、地上局がひもを巻き上げて、凧を巻き戻します。このひもを巻き戻すために消費するエネルギーは、発電するエネルギーよりも小さいため、問題ないとのこと。凧を飛ばして巻き戻すサイクル1回で100秒かかるそうです。
Hawkのメリットは、風力発電の巨大な風車や太陽光発電のパネルよりも設置面積がはるかに小さいこと。そのため、設置場所の周辺環境に与える影響が少ないこともさることながら、狭い場所でも設置できます。
KitepowerはHawkよりもさらに規模の大きい100kW発電システムの「Falcon」の概念実証も用意しており、2025年から2026年に市場に投入する予定だそうです。
なお、空中風力発電システムはKitepowerのHawkが初めてではなく、過去にはGoogleが推し進めていた「Makani」というプロジェクトが存在します。ただし、Makaniは2020年にGoogleの親会社であるAlphabetから離脱しています。
空飛ぶ風力発電機を開発していた「Makani」がGoogleの親会社Alphabetから独立すると発表 - GIGAZINE

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