世界の新車販売の5台に1台がEVとなり石油需要が抑制されていたことが判明、バッテリー価格もどんどん下落中

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電気自動車(EV)の需要が増加した影響で、石油の需要が抑えられ、環境に良い変化が訪れていたことが国際エネルギー機関(IEA)の発表により明らかになりました。
1 in 5 new car sales globally were EVs in 2023, and that's curbed oil demand – IEA
https://electrek.co/2024/03/02/1-in-5-new-car-sales-globally-in-were-evs-in-2023-oil-demand-iea/
EV LFP Battery Price War at Less Than $56 per kWh Within Six Months | NextBigFuture.com
https://www.nextbigfuture.com/2024/01/ev-lfp-battery-price-war-w-55-in-six-months.html
IEAが2024年3月に発行した「2023年の二酸化炭素(CO2)排出量」および「クリーンエネルギー市場調査」のレポートによると、2023年のCO2排出量は前年から1.1%増加し、全世界で374億トンという記録的なレベルに達したとのこと。
この増加は、アメリカや中国などいくつかの経済圏において異常な干ばつが見られ、水力発電の発電量が不足したことが原因だと考えられているそうです。

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一方で、先進国の排出量は記録的な減少を果たし、50年前の水準にまで低下しているとのこと。加えて、世界的に総エネルギーの需要が加速しているにもかかわらず、CO2排出量の増加レベルが昨年よりも抑えられていたことが判明しています。
先進国の排出量減少の原動力となったのは、強力な自然エネルギーの導入、石炭からガスへの転換、エネルギー効率の改善、工業生産の軟化だったとIEAは報告。また、2023年の世界の新車販売台数の5台に1台を占めるEVの普及も、石油需要を抑える上で重要な役割を果たしたとも伝えられています。
EVの価格に大きく影響する「バッテリー」の価格もどんどん下落しており、2023年初頭にはkWhあたり124ドル(約1万9000円)前後だったEV用LFPバッテリーの価格は、2024年内に56ドル(約8000円)を下回るだろうと予測されているとのこと。こうした状況から、今後もEVの供給は増加し続ける傾向にあるとみられています。

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先進国での石炭需要は1900年代初頭以来の水準にまで後退し、2023年は自然エネルギーや原子力といった低排出ガス源による発電が先進国で半数を超えた初めての年となりました。このほか、EV、太陽光発電、風力発電、原子力発電がなければ、過去5年間の世界的な排出量増加は3倍になっていたであろうことがわかっています。
2019年から2023年にかけて、クリーンエネルギーの成長率は化石燃料の成長率の2倍に達しており、IEAの分析によると、過去5年間のクリーンエネルギーの導入で化石燃料の需要増加が大幅に抑制され、この10年で化石燃料からの脱却を加速させる下地ができているとのこと。

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IEAのファティ・ビロル事務局長は、「クリーンエネルギーへの移行は、過去5年間に一連のストレステストを受けてきました。パンデミック、エネルギー危機、地政学的不安定はすべて、よりクリーンで安全なエネルギーシステムを構築する努力を頓挫させる可能性がありました。ところが、多くの経済圏でその逆の現象が起きています」と述べ、クリーンエネルギーが今後ますます増加していくことへの期待をあらわにしました。

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