ウェブ決済でのApple税は「裁判所の命令を台無しにするもの」としてEpic Gamesが異議を申し立てる方針

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iOSアプリストアであるApp Storeを運営するAppleと、人気ゲーム「フォートナイト」を開発するEpic Gamesは3年以上にわたる法廷闘争を繰り広げ、最終的にAppleのほぼ勝訴が確定しました。一方でAppleはアプリ開発者に外部決済システムの使用を認めることを命じられ、App Storeのガイドラインを更新しましたが、Epic Gamesは「Appleの導入した新しいガイドラインは、裁判の判決を無駄にするものだ」と強く批判しています。
Epic plans to contest Apple’s ‘bad-faith’ compliance with court ruling over App Store | TechCrunch
https://techcrunch.com/2024/01/17/epic-plans-to-contest-apples-bad-faith-compliance-with-court-ruling-over-app-store/
AppleとEpic Gamesは、App Storeの反競争的規約について2020年から法廷で争っていました。2023年4月25日に下された控訴審の判決では、10件の請求のうち9件でAppleの主張が認められ、さらに2024年1月17日に最高裁判所が両社の請求を棄却したため、控訴審判決が確定しています。
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この控訴審判決では、ほぼAppleの勝訴が確定しているものの、Appleは「アプリ外にあるサードパーティーの外部決済システムにアプリから誘導をかける」ことを開発者に認めるように命じられました。これに伴い、AppleはApp Storeのガイドラインを更新しています。
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Appleはアプリ内課金について年間収益100万ドル(約1億4800万円)未満でApple Small Business Programに登録している開発者は15%の手数料を、年間収益が100万ドルを超える場合は30%の手数料を設定しています。Epic Gamesをはじめとする一部の開発者からは、この手数料は高すぎるとして、「Apple税」と揶揄(やゆ)されていました。
そして、新たにガイドラインに追加された「アプリ外にあるサードパーティーの外部決済システム」については、27%、Apple Small Business Programに登録しているか自動更新サブスクリプション2年目以降の開発者は12%の手数料が課せられます。
しかし、Epic Gamesのティム・スウィーニーCEOは「サードパーティーの決済サービスを使うには3~6%の手数料を支払わなければなりません。さらにAppleに27%の手数料を支払った場合、デジタルアイテムを安く提供できません」と述べ、サードパーティーの外部決済システムを使うメリットがないと述べています。
Apple filed a bad-faith "compliance" plan for the District Court's injunction. It totally undermines the order allowing “buttons, external links, or other calls to action that direct customers to purchasing mechanisms, in addition to IAP”.https://t.co/ofbuMwe7SH— Tim Sweeney (@TimSweeneyEpic) January 16, 2024
また、App Storeのガイドラインには、外部決済システムにリンクする場合の表示方法が厳しく指定されています。スウィーニーCEOは「新しいガイドラインは開発者に許可を申請させるだけでなく、リンクをアプリの通常の支払いフローとは別のセクションに設置しなければなりません。また、アプリとは別にウェブブラウザを立ち上げ、開発者の用意したウェブサイトに再度ログインする必要があり、App Store以外で購入するための障害となっています」と述べています。
さらに、外部決済システムにアクセスする前に警告画面を出さなければいけないという規約については「競合する決済システムに不利になるように、ユーザーを怖がらせる画面を前面に出させています」とスウィーニーCEOは主張しました。
this is aggressive pic.twitter.com/Jd0eGxkH1t— jordan singer (@jsngr) January 16, 2024
スウィーニーCEOは、Appleの「悪意のあるコンプライアンス」は裁判の判決を台無しにするものであり、異議を唱える予定だとしています。
Epic Gamesと同様にAppleの手数料に対して反発しているSpotifyは、Appleの新しいガイドラインについて「AppleはまたしてもApp Storeを独占し、開発者と消費者を犠牲にして得た利益を守るためなら手段を選ばないことを証明しました。アメリカにおけるAppleの最新の動きは、開発者のウェブサイト上で行われる外部決済に対して27%の手数料を課すというものですが、これは言語道断であり、より大きな競争とユーザーの選択を可能にするという裁判所の努力に背くものです」と強く批判しています。
同時にSpotifyは、Appleの外部決済システムへの手数料がEUのデジタル市場法の取り締まり対象になると主張し、「私たちは欧州委員会に対し、Appleがデジタル市場法で禁止されているような手数料を導入することを阻止するため、迅速かつ断固とした行動をとるよう強く要請します」とコメントしました。

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