Apple対Epic Games訴訟の審理を連邦最高裁が拒否、Appleのほぼ勝訴が確定も「App Store外の決済システム」を認める必要あり

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AppleとEpic Gamesが長年にわたって争ってきたApp Storeの反競争的規約に関する訴訟で、アメリカの連邦最高裁判所が、両社からの個別の上告請求に対する審理を2024年1月16日付けで拒否しました。これによってAppleに有利な控訴審判決が確定しました。
Order List (01/16/2024) - 011624zor_e1pf.pdf
(PDFファイル)https://www.supremecourt.gov/orders/courtorders/011624zor_e1pf.pdf

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US Supreme Court Declines to Hear Apple vs. Epic Games Case - MacRumors
https://www.macrumors.com/2024/01/16/supreme-court-declines-to-hear-apple-vs-epic-case/
Apple to Allow Outside Payments for Apps After US Decision (4)
https://news.bloomberglaw.com/antitrust/supreme-court-rejects-apples-request-for-epic-app-store-review
iOSアプリストアであるApp Storeでは、「アプリ内課金などの売上の30%が手数料として徴収される」というルールになっており、開発者からは手数料が高すぎると指摘されていました。そこで、人気ゲーム「フォートナイト」を開発するEpic Gamesは、2020年8月にEpic Games独自の支払方式を用意してアプリ内でリンク誘導をかけることで、Appleへの手数料を回避しようとしました。
しかし、AppleはApp Store外のアプリ内課金を認めていなかったため、Epic Gamesが規約に違反したと主張し、App Storeから「フォートナイト」を削除。これを受けて、Epic GamesはAppleへの訴訟を提起しました。
「フォートナイト」開発元のEpic GamesがAppleを提訴 - GIGAZINE

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2021年9月に下された第一審の判決では、「Epic GamesがAppleの規約に違反して『フォートナイト』に独自の支払い方式を実装した点は、Epic Games側に非がある」として、Epic Gamesに本来払うべき売上の30%の手数料をAppleに支払うよう命じました。同時に、Appleに対しては、App Store以外の課金方式の実装を開発者に認めるように命じています。
AppleとEpic Gamesの訴訟で「App StoreはApple以外の支払い方式も認めるように」との判決が下る、一方でAppleの勝利という声も - GIGAZINE

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この判決を不服としたEpic Gamesはすぐに控訴。およそ1年半にわたる法廷闘争の末、2023年4月25日に下された控訴審の判決では10件の請求のうち9件でAppleの主張が認められ、AppleがApp Storeにおいて独占禁止法に違反しているというEpic Gamesの主張は認められませんでした。ただし、Appleは第一審の判決と同様に、「App Storeで配信するアプリがサードパーティーの外部決済システムへのリンクを提供することを認めるように」と命じられています。
Apple対Epic Gamesの控訴審で「App Storeで外部決済システムへのリンクを禁止してはいけない」という判決、しかし大部分でAppleが勝利 - GIGAZINE

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そして、連邦最高裁判所は2024年1月16日付けで、控訴審の判決に対する上訴を求めるAppleとEpic Games双方の請求を却下しました。これにより控訴審の判決は依然として有効となり、Appleはこれまでの規約通りに「アプリ内におけるサードパーティーの決済処理」を禁止することができます。ただし、「App Store以外の外部決済システムをアプリ外に用意し、アプリ内でウェブリンク誘導をかけ、アプリ外で決済処理を行う」という方法についてはアプリ開発者に認める必要があります。
Epic Gamesのティム・スウィーニーCEOは「最高裁がEpic Games対Appleの反トラスト法(独占禁止法)違反訴訟で双方の上告を棄却しました。iOSと競合するアプリストアや決済をオープンなものとするための法廷闘争は、アメリカで敗北しました。すべての開発者にとって悲しい結果です」とコメントしました。
The Supreme Court denied both sides’ appeals of the Epic v. Apple antitrust case. The court battle to open iOS to competing stores and payments is lost in the United States. A sad outcome for all developers.— Tim Sweeney (@TimSweeneyEpic) January 16, 2024
AppleはすでにアメリカにおけるApp Storeポリシーを変更しており、開発者がApp Store以外の外部決済システムを用意し、アプリ内でユーザーをリンク誘導することを認めています。ただし、Appleは外部決済システムの売上に対し、12~27%の手数料を徴収するとしています。
具体的には、外部決済システムでの売上に対して、買い切りあるいは1年間のサブスクリプションの場合は27%、2年目以降のサブスクリプションの場合は12%の手数料がかかります。この手数料は、ユーザーがアプリ内で外部購入リンクをタップして外部決済システムのサイトにアクセスしてから7日以内に実行されるデジタル取引に適用されるとのこと。他にも、アプリ内で購入用の外部リンクに誘導する場合の表示方式や、App Storeから離れることを示すアプリ内警告など、細かい表示についてのルールが定められています。
ついにAppleがiPhone向けアプリへの「外部課金システムへのリンク挿入」を許可、ただし手数料は発生 - GIGAZINE

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