テスラ元従業員が「自動運転はハード・ソフトともに準備不足」で公道での使用は実験同然だと告発

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テスラから数千件の事故報告書などをリークした元従業員がBBCのインタビューに答え、テスラの自動運転システム「オートパイロット」の安全性に改めて疑問を呈しました。
Tesla whistleblower calls cars with Autopilot “experiments in public roads” | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2023/12/tesla-whistleblower-calls-cars-with-autopilot-experiments-in-public-roads/
2023年5月25日、ドイツの新聞社・Handelsblattが、テスラの内部資料および元従業員の証言を根拠とする批判記事を公開しました。
匿名を条件にテスラの元技術者から内部資料の提供を受けたHandelsblattは、約5000件にも上るテスラの事故報告書の詳細や、顧客の苦情がカスタマーサービスからいかにないがしろにされていたかといった問題を報じています。
匿名の人物がテスラのオートパイロットに関する問題を告発、ドイツの報道機関に100GB分の資料を提供 - GIGAZINE

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上記告発の半年後、内部資料をリークした当人が実名でBBCのインタビューに答えました。身元を明かした元従業員のLukasz Krupski氏は、自身が一介のサービス技術者にすぎないにもかかわらずテスラ内部の「驚くほど広範な」データにアクセスできることに気づき、資料の収集を開始したとのこと。
そこには、ほとんど制御ができていないように思われる「オートパイロット」に関する情報、テスラの顧客や一般の人々を危険にさらす深刻な欠陥などについての記載があり、Krupski氏は「安全上の問題を記録するため」に資料の写真を撮影したそうです。
その後、Krupski氏はテスラに対する不満を抱いてHandelsblattに資料を提供。後にこの行動が発覚してテスラを解雇され、機密情報漏えいを理由にテスラから法的措置を執られています。

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Krupski氏は「オートパイロットについては、ハードウェアの準備もソフトウェアの準備もできていないと思います。公道で実験をしているといっても過言ではありません」とコメントし、頻繁に事故を起こしている自動運転テスラ車について懸念を示しました。
テスラは事故をめぐる訴訟に何度か直面していますが、基本的にはテスラに有利な判決が下されています。一方で、同社の宣伝文句ほどテスラ車は安全ではない可能性があるとして、高速道路交通安全局やカリフォルニア州司法長官事務所などがオートパイロットについて調査していることも伝えられています。
テスラのオートパイロットや完全自動運転機能について司法長官事務所が調査を開始 - GIGAZINE

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従業員が機密情報を漏らしたとして法的措置をとっているテスラですが、そもそもただの技術者が機密情報にアクセスできていた社内体制にも問題があるとして、オランダのデータ保護局がテスラを調査中です。さらに、別のテスラ元従業員も、不正アクセスを防止するためのセキュリティ手続きを怠ったとしてテスラを訴えています。
また、Krupski氏は解雇されたことに対する補償を求めてテスラを提訴する意向だとも報じられています。しかし、Krupski氏いわく「貯蓄を使い果たした」とのことで、訴訟は先延ばしになっているそうです。

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