Google広告は不適切なサイトや制裁対象の企業にも表示されていると指摘する調査結果、Googleは誤ったレポートだと反論

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Googleのリスティング広告は、ユーザーが検索したワードに応じてブランドや商品・サービスを優先的に検索結果として表示させ、サイトへの誘導やアピールを行うことができます。この広告は、Googleで検索した時以外にも配信されることがあり、アダルトサイトや海賊版サイトなど不適切な場所に配信されている多数の事例や、制裁対象の国や企業に対してGoogleが広告収入を共有している可能性を指摘する調査結果が示されています。
Does a lack of transparency create brand safety concerns for search advertisers?
https://adalytics.io/blog/search-partners-transparency

Google広告は不適切なサイトや制裁対象の企業にも表示されていると指摘する調査結果、Googleは誤ったレポートだと反論 - 画像


Google search ads spotted in compromising placements | TechCrunch
https://techcrunch.com/2023/11/28/google-gsp-risks-adalytics-report/
Government Google ads show up on adult websites and in Iran • The Register
https://www.theregister.com/2023/11/29/government_google_ads/
広告調査企業のAdalyticsは2023年11月28日に、「広告の透明性が欠如していたら、広告主にブランドの安全性について懸念を引き起こしませんか?」と題した調査レポートを発表しました。レポートによると、Googleに独占配信されているはずのリスティング広告が、Google以外の多くのウェブサイトにも配信していることが確認されたとのこと。
以下の画像は、Adalyticsが2023年11月にBreitbartというサイトで撮影したスクリーンショットです。Breitbartは極右の見解を指示するニュースサイトであるため、BMWはBreitbartを広告のブラックリストに指定していることが判明していますが、実際にはBreitbart内にGoogleのリスティング広告としてBMWへのリンクが表示されていたと報告されています。

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さらに、以下の画像は、イタリアのアダルトサイトにおけるサイト内検索で、アメリカの連邦捜査局(FBI)の求人がリスティング広告として表示されているもの。

このようなGoogleのリスティング広告の表示は、その他にも違法なポルノサイトや海賊版コンテンツサイト、あるいはアメリカ財務省外国資産管理室(OFAC)が制裁対象としている可能性の高いイランやロシアのサイトなどを含む、数百の事例が確認されているそうです。
Googleは「検索パートナーネットワーク」というサービスを展開しており、これによりウェブサイトはサイト内検索としてGoogle検索ウィジェットを使用でき、広告を出稿するユーザーはGoogle以外のウェブサイトへGoogleリスティング広告のリーチを拡大しています。しかし、Googleのヘルプには「Google広告では、検索ネットワーク上で広告が表示されたウェブサイトの詳細情報は提供されません」と記載されており、この不透明性が大きな問題点となっているとAdalyticsは指摘しています。また、Googleの検索パートナーが義務づけられているポリシーには、「著作権を侵害するコンテンツや性的な描写を含むコンテンツと並行して広告を配信することはNG」「GoogleはOFACの制裁と輸出規制に従う必要がある」と記載されていますが、実際にはこのポリシーに違反した広告が多数確認されているとAdalyticsは指摘しています。
テクノロジー系メディアのThe RegisterがAdalyticsの調査結果に関して民主党のマーク・ワーナー上院議員に尋ねたところ、「私は8年以上にわたり、詐欺がはびこる集中的なエコシステムをデジタル広告仲介業者が維持している状況について、連邦取引委員会と司法省に重大な懸念を提起してきました。今回の調査結果は、制裁対象となるウェブサイトの収益化にGoogleが寄与していることが明らかに示されているため、政府がこの市場を一掃するために行動を起こす最後の手段となるはずです」と回答しました。また、オランダの欧州議会で議員を務めるポール・タン氏はThe Registerに対し「Googleの広告アルゴリズムには精査が必要です。欧州委員会は監査権限を行使して、秘密に関する透明性と説明責任を要求しなければなりません」と語りました。
Adalyticsの調査結果に対し、Googleのグローバル広告部門で副代表を務めるダン・テイラー氏は「あくまでウェブサイトがGoogleの検索を利用できるウィジェットにリスティング広告が表示されている例であり、制裁対象のサイトが広告収入を得ることはできません」と問題を否定しています。テイラー氏は声明文の中で、「Adalyticsは、当社の製品の調査に関して、偽りを含む非常に誇張した主張を行う不正確なレポートを発行してきた実績があります。もちろん私たちは報告書を精査するつもりですが、すでに問題として挙げられているサイトや一部の情報を分析したところ、制裁対象となる事業体に広告収入が共有されていることは確認されていません」と述べています。

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