Netflixが「無料で提供される海賊版サイトへの対抗は難しくなっている」と発言

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海賊版市場が拡大する中で、オンラインストリーミングサービスのNetflixも著作権侵害との戦いを激化させています。Netflixは当初、海賊版サイトよりも便利な合法のプラットフォームを構築することで「著作権侵害の競合他社」となることを目指していましたが、海賊版サイトの変化により「対抗は難しくなっている」と公式文書で述べています。
Netflix: Piracy is Difficult to Compete Against and Growing Rapidly * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/netflix-piracy-is-difficult-to-compete-against-and-growing-rapidly-240204/

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著作権侵害に関する追跡調査を行うMUSOが2024年1月に発表した調査結果では、2023年の映像コンテンツを扱う海賊版サイトへのアクセス数が、前年比で約10%増の1410億件超だったことが示されました。侵害されたコンテンツは、映画とテレビ番組が65%、25%がアニメ、約9%がスポーツ中継、残りがその他の生中継を含むコンテンツです。
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Netflixは「合法でより便利なストリーミングプラットフォームを提供することで、海賊版サイトから市場シェアを奪う」ことを掲げ、実際に数億人の加入者を集めました。結果として、海賊版サイトのユーザーを何割か減らすことに成功したと見られています。
しかし、近年Netflixを初めとする多くのストリーミングサービスが、値上げや広告の増加などを敢行しています。大きなシェアを獲得したストリーミングサービスが値上げなどを繰り返した結果、著作権侵害が再び増加しつつあると、著作権侵害に関するニュースを配信するTorrentFreakは指摘しています。
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Netflixは2024年2月5日ごろ、アメリカ証券取引委員会(SEC)に年次報告書である「Form 10-K」を提出しました。Form 10-Kには年次報告の概要として「競争」のセクションがあり、この欄で著作権侵害についても言及されています。
Form 10-Kの中でNetflixは「オンラインビデオ業界は、競争の激しいビジネスです。業界の経済モデルの基礎として、サブスクリプション、トランザクション、広告などが含まれており、これは競合他社だけではなく、違法な海賊版サイトも同様のモデルだと言えます。海賊版コンテンツは、エンターテイメントビデオ市場の重要なセグメントを獲得する可能性を秘めています」として、海賊版サイトが競争相手として脅威であることを強調しました。

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Netflixによると、消費者にとって「無料である」という点が最大の利点として海賊版サイトの魅力となっているため、有料のサブスクリプションを主なモデルとするサービスでは競争するのが非常に困難とのこと。
さらに、「Netflixがサービスを開始した当初は、ストリーミング形式がほとんどの海賊版サイトよりも便利である点で、Netflixに優位性がありました」とTorrentFreakは指摘しています。かつて海賊版サイトで主流だったトレントサイトは、ユーザー側がある程度の技術的知識を保有していることを前提とする他、コンテンツがダウンロードされるまで長時間の待機が必要だったため、有料であっても使いやすくすぐにアクセスできるNetflixを優先するユーザーも多く見られました。
しかし、記事作成時点でほとんどの海賊版サイトはストリーミング形式に対応しているため、Netflixの大きな優位性が奪われています。Netflixは「海賊版コンテンツの一番の問題は、それらが視聴者にとって『魅力的』であることです。無料かつ便利といった消費者にとっての魅力を考慮すると、著作権侵害サービスは世界的に急速な成長を遂げる可能性があり、その成長を阻止するための当社の取り組みは不十分である可能性があります」と語っています。
Netflixの共同創業者で2023年1月にCEOを退任したリード・ヘイスティングス氏は、Netflixのリリース当初に「トレントサイトで著作権侵害を行う人の存在を私たちは認識しています。しかし、これは悪いことばかりではなく、Netflixのコンテンツに対する需要も生み出しています」と発言しており、海賊版サイトによる著作権侵害を大きな問題とみなしていませんでした。記事作成時点ではNetflixは社内に著作権侵害対策部門を設置しており、著作権侵害や海賊版サイトの監視に数億円が費やされています。

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