20代の指名買いも増加、コロナ後のミラーレスカメラの売れ筋 - 古田雄介の家電トレンド通信
今回は、ビックカメラ有楽町店にミラーレス一眼カメラの売れ筋を尋ねました。
売り場全体で見ると、ここ数年は順調な右肩上がりを続けているそうです。その理由について、カメラコーナー担当の石毛志弥氏は「コロナが明けたことと、免税で購入する動きが加速したこと、この2つが大きいと思います」と言います。さらに「コロナ禍で手放した人が再びカメラを手に入れようと上位機を買われたり、スマホよりもはっきりと良い写真を撮りたいということで、入門機としてもハイスペックなモデルが人気を集めたりと、全体的に単価が上がっている感もあります」といった動きもあるようです。
性別で見ると、入門機は7対3の割合で女性ユーザーが多く、ハイエンドクラスは男性が中心という構図になっており、売り場に集まるユーザーは明らかに広がっているそうです。
新たな風が吹いているこのジャンルで、とりわけ売れているのはどんな機種なのでしょうか。石毛さんにいただいた「初めてのミラーレス一眼選びの3ポイント」を踏まえて、売れ筋ランキングを順に追っていきましょう。
○<初めてのミラーレス一眼選びの3ポイント>
写真のきれいさで比べるべきは、画素数よりもセンサーサイズ。ただ、センサーサイズが大きくなるほど高価でボディも大きくなりやすい。
次に重視すべきは見た目。長く付き合って趣味として育てていける外観のものを選びたい。
そのうえで持ちやすさを確かめるのがベター。実機なら、重量や形状だけではつかめないものも見えてくる。
※本文と写真で掲載している価格は、2024年8月27日14:30時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。
第1位:フルサイズでコンパクトな「α7C II」
一番人気に挙げられたのは、ソニーのフルサイズモデル「α7C II」でした。ソニーEマウントのレンズに対応しており、ズームレンズキットの価格は361,900円。高価でハイスペックなフルサイズモデルながら、入門機として購入する人もいるそうです。
「フルサイズ機としてはコンパクトで、重量もボディのみで約429gと軽量です。スマホでは撮れないきれいな写真を求める方が、『それならコレを』と選ばれることがありますね。もちろんスペックはハイエンドに近いので、ステップアップして入手される人もいて、少し珍しい売れ方をしていると思います」
第2位:動画に強くて割安な「VLOGCAM ZV-E10 II」
2位も、ソニーEマウントの機種になります。APS-CサイズのCMOSセンサーを搭載した「VLOGCAM ZV-E10 II」で、ダブルズームレンズキットの価格は185,900円でした。
「コロナ禍では動画撮影の需要が顕著に伸びまして、そこで定番の人気を誇ったのが前作『ZV-E10』でした。そのコンセプトを引き継いでいる、動画に強くて割安なミラーレスです。前作も隣にありますが、大容量化したバッテリーやタッチパネル操作の使いやすさから、現在はコチラを選ばれる方が優勢になっていますね」
第3位:紙焼き写真風の味が楽しめる「X-T50」
続く3位に挙げられたのは、富士フイルムのXマウントに対応する「X-T50」です。フィルムカメラ時代を意識した外観に仕上げたAPS-Cモデルで、XC15-45mmレンズキットの価格は253,330円でした。入門機としては高級路線ながら、20代からの指名買いが多いという特徴があります。
「フィルム時代から培ってきた紙焼きの仕上がりを再現したモードが往年のカメラ好きに高く評価されているのですが、そこには少し前に再流行した『写ルンです』を経験した人も含まれるのです。当時10代だった人が大学生や社会人になって購入するというパターンがよくありまして。デザインも含めて若い人にも好まれていますね」
第4位:免税人気も好調な入門モデル「EOS R50」
4位は、キヤノンRFマウントを採用した「EOS R50」です。APS-CサイズのCMOSセンサーを搭載したモデルで、ダブルズームキットの価格は156,200円でした。
ボディのみの重量が約328g(ホワイトモデルは約329g)と軽くてコンパクトで、エントリーモデルとして安定した人気があるとのこと。「フルタッチパネルで、各機能の説明メニューも盛り込んでいるので、ビギナーの方が手を出しやすいカメラといえます。中国を中心とした外国人の方にも人気があり、免税でよく売れる機種でもあります」
第5位:ボディ単体で9万円切りの「LUMIX DC-G100D」
5位も、入門機としてよく選ばれるというパナソニックの「LUMIX DC-G100D」が選ばれました。4/3型Live MOSセンサー採用のマイクロフォーサーズモデルで、ダブルズームレンズキットの価格は106,920円となります。
「しっかりレンズ交換が楽しめて品質も高いうえで、お求めやすい価格が人気につながっていると思います。ボディのみでは9万円以下(取材当時89,100円)で、レンズ2本付きのダブルズームレンズキットでも11万円いかないのは大きいですね」
はみ出し情報・・・受注再開した高級コンパクト「GR III」の存在が際立つ
ミラーレス一眼以外のデジタルカメラでも目立って売れている機種を紹介してもらいました。石毛氏が挙げたのは、リコーのコンパクトカメラ「GR III」です。APS-CサイズのCMOSセンサーを搭載した単焦点モデルで、取材時の価格は133,750円でした。
しばらく市場から払底して受注もできない状態が続いていましたが、取材時には再開しており、売り場でも再び注目が集まっているとのことです。
「センサーサイズがAPS-Cと大きく、レンズの質も良いので、かなりきれいな写真が撮れます。『レンズ交換はいらないから、小さくてきれいに撮れるものを』ということで、学生さんや20代の方によく売れていますね。お子さんが生まれたのをきっかけに購入するというケースもよくあります」
著者 : 古田雄介 ふるたゆうすけ フリーランスライター。『アキバPick UP!』(ITmedia PC USER/2004年~)や『売り場直送! トレンド便』(日経トレンディネット/2007~2019年)などのレポート記事を手がける。デジタルと生老病死のつながりにも詳しい。著書に『スマホの中身も「遺品」です』(中公新書ラクレ)、『ここが知りたい!デジタル遺品』(技術評論社)、『故人サイト』(社会評論社)など。 この著者の記事一覧はこちら
売り場全体で見ると、ここ数年は順調な右肩上がりを続けているそうです。その理由について、カメラコーナー担当の石毛志弥氏は「コロナが明けたことと、免税で購入する動きが加速したこと、この2つが大きいと思います」と言います。さらに「コロナ禍で手放した人が再びカメラを手に入れようと上位機を買われたり、スマホよりもはっきりと良い写真を撮りたいということで、入門機としてもハイスペックなモデルが人気を集めたりと、全体的に単価が上がっている感もあります」といった動きもあるようです。
性別で見ると、入門機は7対3の割合で女性ユーザーが多く、ハイエンドクラスは男性が中心という構図になっており、売り場に集まるユーザーは明らかに広がっているそうです。
新たな風が吹いているこのジャンルで、とりわけ売れているのはどんな機種なのでしょうか。石毛さんにいただいた「初めてのミラーレス一眼選びの3ポイント」を踏まえて、売れ筋ランキングを順に追っていきましょう。
○<初めてのミラーレス一眼選びの3ポイント>
写真のきれいさで比べるべきは、画素数よりもセンサーサイズ。ただ、センサーサイズが大きくなるほど高価でボディも大きくなりやすい。
次に重視すべきは見た目。長く付き合って趣味として育てていける外観のものを選びたい。
そのうえで持ちやすさを確かめるのがベター。実機なら、重量や形状だけではつかめないものも見えてくる。
※本文と写真で掲載している価格は、2024年8月27日14:30時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。
第1位:フルサイズでコンパクトな「α7C II」
一番人気に挙げられたのは、ソニーのフルサイズモデル「α7C II」でした。ソニーEマウントのレンズに対応しており、ズームレンズキットの価格は361,900円。高価でハイスペックなフルサイズモデルながら、入門機として購入する人もいるそうです。
「フルサイズ機としてはコンパクトで、重量もボディのみで約429gと軽量です。スマホでは撮れないきれいな写真を求める方が、『それならコレを』と選ばれることがありますね。もちろんスペックはハイエンドに近いので、ステップアップして入手される人もいて、少し珍しい売れ方をしていると思います」
第2位:動画に強くて割安な「VLOGCAM ZV-E10 II」
2位も、ソニーEマウントの機種になります。APS-CサイズのCMOSセンサーを搭載した「VLOGCAM ZV-E10 II」で、ダブルズームレンズキットの価格は185,900円でした。
「コロナ禍では動画撮影の需要が顕著に伸びまして、そこで定番の人気を誇ったのが前作『ZV-E10』でした。そのコンセプトを引き継いでいる、動画に強くて割安なミラーレスです。前作も隣にありますが、大容量化したバッテリーやタッチパネル操作の使いやすさから、現在はコチラを選ばれる方が優勢になっていますね」
第3位:紙焼き写真風の味が楽しめる「X-T50」
続く3位に挙げられたのは、富士フイルムのXマウントに対応する「X-T50」です。フィルムカメラ時代を意識した外観に仕上げたAPS-Cモデルで、XC15-45mmレンズキットの価格は253,330円でした。入門機としては高級路線ながら、20代からの指名買いが多いという特徴があります。
「フィルム時代から培ってきた紙焼きの仕上がりを再現したモードが往年のカメラ好きに高く評価されているのですが、そこには少し前に再流行した『写ルンです』を経験した人も含まれるのです。当時10代だった人が大学生や社会人になって購入するというパターンがよくありまして。デザインも含めて若い人にも好まれていますね」
第4位:免税人気も好調な入門モデル「EOS R50」
4位は、キヤノンRFマウントを採用した「EOS R50」です。APS-CサイズのCMOSセンサーを搭載したモデルで、ダブルズームキットの価格は156,200円でした。
ボディのみの重量が約328g(ホワイトモデルは約329g)と軽くてコンパクトで、エントリーモデルとして安定した人気があるとのこと。「フルタッチパネルで、各機能の説明メニューも盛り込んでいるので、ビギナーの方が手を出しやすいカメラといえます。中国を中心とした外国人の方にも人気があり、免税でよく売れる機種でもあります」
第5位:ボディ単体で9万円切りの「LUMIX DC-G100D」
5位も、入門機としてよく選ばれるというパナソニックの「LUMIX DC-G100D」が選ばれました。4/3型Live MOSセンサー採用のマイクロフォーサーズモデルで、ダブルズームレンズキットの価格は106,920円となります。
「しっかりレンズ交換が楽しめて品質も高いうえで、お求めやすい価格が人気につながっていると思います。ボディのみでは9万円以下(取材当時89,100円)で、レンズ2本付きのダブルズームレンズキットでも11万円いかないのは大きいですね」
はみ出し情報・・・受注再開した高級コンパクト「GR III」の存在が際立つ
ミラーレス一眼以外のデジタルカメラでも目立って売れている機種を紹介してもらいました。石毛氏が挙げたのは、リコーのコンパクトカメラ「GR III」です。APS-CサイズのCMOSセンサーを搭載した単焦点モデルで、取材時の価格は133,750円でした。
しばらく市場から払底して受注もできない状態が続いていましたが、取材時には再開しており、売り場でも再び注目が集まっているとのことです。
「センサーサイズがAPS-Cと大きく、レンズの質も良いので、かなりきれいな写真が撮れます。『レンズ交換はいらないから、小さくてきれいに撮れるものを』ということで、学生さんや20代の方によく売れていますね。お子さんが生まれたのをきっかけに購入するというケースもよくあります」
著者 : 古田雄介 ふるたゆうすけ フリーランスライター。『アキバPick UP!』(ITmedia PC USER/2004年~)や『売り場直送! トレンド便』(日経トレンディネット/2007~2019年)などのレポート記事を手がける。デジタルと生老病死のつながりにも詳しい。著書に『スマホの中身も「遺品」です』(中公新書ラクレ)、『ここが知りたい!デジタル遺品』(技術評論社)、『故人サイト』(社会評論社)など。 この著者の記事一覧はこちら
10/04 17:00
マイナビニュース