iPhone 16先行レビュー 新装備「カメラコントロール」で“映え写真”が手軽に!

アップルのiPhone 16シリーズが9月20日に発売を迎えます。今回は、シリーズの4モデルすべてが搭載する新機能「カメラコントロール」を中心に、新しいiPhoneの実機でその使い勝手をレビューします。

カメラコントロールも完備、AI対応の「iPhone 16」シリーズがお買い得

最新のiPhone 16シリーズは、アップル独自の生成AIモデルによるプラットフォーム「Apple Intelligence」に最適化されています。サービスは、年内に米国からベータ版として先行リリースを予定していますが、2025年には日本語でも使えるようになることをアップルが発表しました。

当初、Apple Intelligenceに対応するiPhoneは2023年秋に発売されたiPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Maxの2機種でした。今年は上位のProシリーズだけでなく、スタンダードなiPhone 16とiPhone 16 PlusもApple Intelligenceに対応するラインナップに仲間入りしました。

iPhone 16 ProシリーズにはAppleシリコンの「A18 Pro」チップが、iPhone 16 シリーズには「A18」チップが搭載されています。どちらも16コアのNeural Engineを載せて、Apple Intelligenceに関わる高度なAI処理がこなせます。

加えて、iPhone 16とiPhone 16 Plusはカメラ機能の充実ぶりがiPhone 16 Proシリーズに肉薄しました。超広角カメラによる近接マクロ撮影、空間ビデオ撮影に対応したことなどにも要注目ですが、一段と「映える写真」を撮るために設けられた新しいユーザーインターフェースの「カメラコントロール」がiPhone 16シリーズには載っています。今シーズンのiPhone 16とiPhone 16 Plusは納得の高いコスパを備えたiPhoneだと言えそうです。

カメラコントロールをマスターして映える写真を撮ろう

新装備のカメラコントロールは、iPhoneのディスプレイを正面に向けた際、本体の右下側に電源ボタンから少し間隔を空けて配置されています。クリックしたり、指を当てて左右にスライドする操作に対応します。

このボタンは、単にカメラアプリを起動したり、カメラのシャッターとして機能するだけではありません。カメラコントロールの真骨頂は、一度クリックしてカメラアプリを立ち上げてから、カメラアプリの機能を素速く設定して“映える”写真が撮れるところにあります。

感圧センサーと静電容量センサーを内蔵するボタンは「軽いクリック操作」を認識します。あえて順番を逆にして説明しますが、「2度軽いクリック」をすると露出や被写界深度、ズームなど6つのコントロールオプションが選べます。例えば、「ズーム」にカーソルを移してからカメラコントロールを「1度軽くクリック」すると、ズーミングの倍率がスライド操作で調節できます。カメラコントロールの操作はiPhoneの画面プレビューに反映されるので、ズーミングや被写界深度の状態を確認しながら、映える写真を探求できます。

iPhoneのカメラアプリは、シャッターを押すだけで撮影シーンや被写体に合わせたベストな写真やビデオが撮れるシンプルなユーザーインターフェースを特徴としています。スマホカメラのエントリーユーザーにとても評判が良く、筆者も好感を持っています。

一方で、写真やビデオをクオリティにもこだわりながら“もっとキレイ”に撮れる機能も、iPhoneのカメラアプリにはあります。ただ、それらこだわりのオプションは「設定」アプリからカメラアプリの詳細に入るか、またはカメラアプリの階層を深く掘ったところにあるため、活用できていなかったユーザーが少なくなかったのでしょう。

カメラコントロールをダブルクリックしてから、オプションに並ぶ「トーン」、または「スタイル」を選択すると、写真の色合いやトーンを細かく追い込むことができます。

カメラコントロールは、iPhoneをタテとヨコのどちら向きに構えた状態でも、ボタンをクリックすると起動して、文字の向きなどを最適に表示します。オプションを設定してから、すぐにシャッターを切るまでの所作をiPhoneを片手で持ちながら素速く手軽にできるので、カメラコントロールはぜひ使いこなせるようになるべきです。
新機能の「スタイル」パレットなど、カメラの機能が充実

iPhone 16/16 Proシリーズでは「フォトグラフスタイル」にプリセットされているスタイルの種類が充実します。画面のプレビューを見ながら、ユーザーが直感的に「スタイル」パレットを操作して、撮影前に写真の色合いとトーンを好みに近づけられる機能も加わりました。iPhone 16シリーズのカメラを使い込むほど、自然と「良い写真」へのこだわりが深まるはずです。

カメラコントロールは、場面に応じて「オフ」にもできます。誤操作でカメラコントロールに触れて、カメラアプリが気付かぬうちに立ち上がっていることも防げます。

カメラアプリの設定を開くと、カメラコントロールをクリックした時に開くアプリを、カメラ以外に変更できます。アップルは、外部のアプリデベロッパが今後カメラコントロールを活用できるように開発ツールを公開しました。クリック・スライドによる操作を意外な方法で活かしたアプリが現れることを期待しましょう。

iPhoneケースを付けたらカメラコントロールはどうなるの?

カメラコントロールは、アクションボタンやボリュームボタンよりも繊細な操作が求められるユーザーインターフェースです。筆者は、軽くクリックする操作が最初は苦手でした。クリックした指に返ってくる触覚フィードバックの手応えがつかめたことで、ようやく慣れてきました。

iPhoneにケースを装着しても、カメラコントロールは正確に操作できるのでしょうか? アップル純正品の「MagSafe対応クリアケース」をiPhone 16 Pro Maxに装着してみました。

ケースのカメラコントロールの箇所は「穴が開いている」わけではなく、より丁寧にカメラコントロールとシームレスに連係できるように設計されています。ボタンの箇所は、ケースのサイドフレームの面に対してフラットな形になっています。導電層を備えたサファイアキャップが、ケース上に添えられた指の動きを感知して、iPhone本体のカメラコントロールに“軽いクリック”の操作も正確に伝えます。もちろん、触覚フィードバックの手応えも感じられました。

サードパーティーのiPhoneケースの場合、ボタンの箇所が単にくり抜かれているだけだと、指を当ててスライドさせる操作がうまくできない可能性があります。初めてのケースを購入する場合は、カメラコントロールを正確に動作させることができるケースを吟味するべきです。ネット通販などで現物を見ずに購入し、満足のいかない商品をつかんでしまわないように要注意です。

iPhone 16 Proシリーズ、iPhone 16シリーズの進化したカメラ機能を、さらにマスターするとどんな写真が撮れるのでしょうか。次回のレポートは、デジタルフォトグラフを得意とする編集部の磯記者にバトンタッチしたいと思います。お楽しみに!

著者 : 山本敦 やまもとあつし ジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。独ベルリンで開催されるエレクトロニクスショー「IFA」を毎年取材してきたことから、特に欧州のスマート家電やIoT関連の最新事情に精通。オーディオ・ビジュアル分野にも造詣が深く、ハイレゾから音楽配信、4KやVODまで幅広くカバー。堪能な英語と仏語を生かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。 この著者の記事一覧はこちら

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