安くてもこれで十分。TCLの最新スマートテレビは画質も機能も合格点
安かろう悪かろうなんてこともあれば、お値段以上なこともあります。
TCLの新型テレビ「QM7」の場合は後者。日本ではまだ発売になっていませんが、米Gizmodo編集部がレビューしました。
高いガジェットを買う時に一番嫌なのは、妥協する気持ち。高い買い物なのに、これでいいや、これしか無理だし…と思うのがツラいんです。
テレビ購入ではこの気持ちになることがあります。IPS液晶パネルよりいいやつを見出すと、多くの人にとっては予算オーバー。OLEDの最新ハイエンドモデルなんて夢の話です。結果として、予算的にこれしか無理、これでいいや…で購入することに。
限られた予算の中でも、できるだけ妥協の気持ちを減らしたい。TCLのような低・中価格帯テレビは庶民の味方です。最新モデルのTCL QM7は、過剰なものがないミニマルなデザインでお財布に優しい1台です。
価格とのバランス
昨今、お値打ちテレビ枠であるHisense(ハイセンス)、TCL、そして米Amazon(アマゾン)までがmini-LEDを採用しています。もちろん、中・高価格帯のSamsung(サムスン)やPanasonic(パナソニック)でも採用されており、斜めから見たときの見やすさ、画質の美しさは、やはり同じmini-LEDでも上を行きます。とはいえ、これは見る人の目がそれなりで、違いを見分けられればの話ですけれど。
QM7はQD-Mini LED。これはTCL独自技術で、Mini LEDとQLED(量子ドット)を組み合わせたもの。深い黒、高い輝度、コントラストが特徴です。
TCLのQM7は、55インチのメーカー希望小売価格は1,100ドル(約17万円)。ただ、一部量販店やウェブサイトでは、800ドル(約12万円)で売っているところも。
65インチは1,500ドル(約23万円)、安いところだと1,100ドル(約17万円)。比較として、SamsungのQLEDがメーカー希望小売価格2,700ドル(約42万円)ほど。どのモデルも年末商戦でさらに下がる可能性あり。
価格を考えると、QM7の画質は素晴らしいといっていいでしょう。これ、テレビレビューする仕事じゃなければ、高いテレビとの差に気づかないと思います。
ただし安いモノには安い理由があるのもまた事実。QM7を何人で見るのか次第。その理由はアングルに弱いから。正面から見るには美画質、ただし斜めから見ると画質が落ちます。また、反射も結構あるので、窓の位置によってはブラインドは閉める必要あり。
弱点はあるものの、限られた予算でmini-LEDテレビが欲しいと思えば、QM7は正解と言えます。この価格で、4K HDMI(リフレッシュレート120 Hz対応は1つだけ)、USB(3.0と2.0)が付いているのは良心的。スピーカーやサウンドバーを後付けする日が来ても、対応できるカバー力です。
QM7はGoogle TV対応なのですが、このUIが個人的には好きではありません。ですが、価格とそのほかの要素を考えると、それも我慢できる範囲内。
とにかく正面から見るべし
まず最初にいうべきは画質の良さ。QM7で4K映像を見ましたが、どの設定で見ても明るくシャープ。HDR10+とDolby Vision対応なので、エンタメ満足度も高いです。『デッドプール&ウルヴァリン』を見ましたが、色味含めて満足。音も基本的には十分な音量がありました。が、個人的にはやっぱりサウンドバーとか入れたくなりますね。
…ただし、これも正面から見た場合。斜めから見ると、とたんに画質が下がります。3m離れて20度角度を付けると、全体にモヤがかかる印象。これはmini-LEDのあるある問題で、SONY(ソニー)のBravia 7(XR70シリーズ)でも似た問題を感じました。
設定が豊富で、モーションブラーを低減する「Motion Clarity」、自動でうまいことやってくれる「Dolby Vision Bright」、TCLのプロモ映像に近い「Local Dimming」、「Smart HDR」に「Vivid Mode」などいろいろあるので、自分好みの最適解を見つけてみてください。デフォルトの「Low Power」では、色が若干褪せて見えるのでおすすめしません。
画像の設定にもよりますが、一部設定での黒の黒さには驚き。非常に深い黒できれいです。むしろ設定放置してデフォルトのままだと、QM7のポテンシャルを最大限引き出せないかも…。
うっとうしいのは、画質設定を全体に適応させるには、事前にアプリや出力先の設定の適応をオンにしておかないといけないこと。小さいことだけど、使っているとイライラします。
正面に座ってプレイしている上では、『STAR WARS ジェダイ:サバイバー』も『Mortal Kombat 1』も、画質には満足でした。
Googleユーザーなら設定はラクかも
設置は1人でしないように! L字のスタンドに乗せて固定するのは、家族や友達と一緒にやるのが絶対安全です。
設定ではGoogle TVで少々イライラします。が、これはChromecastユーザーならうまくクリアできるかも。
Google Homeとの連携も自動化もあるものの、かなり直打ちしないといけないところがありました。個人的好みにはなりますが、どうもGoogle TVのUIが好きじゃないんですよね。HDMIで接続している端末が何かもメインメニューで表示されないし。UI自体はシンプルですが、シンプルすぎて便利ではない印象です。
リモコンは特に変わったところもなく、いわゆる普通のリモコン。NetflixやPrime Video、YouTube、Apple TVなどのボタンあり。また、音声認識でGoogle Assistantを使用できます。
ゲームバーというものがありまして、これは最近のスマートテレビを使ったことある人ならすでにおなじみかと。画質や影の濃さなど、あれこれゲーマーが助かる系設定をここからアクセスできます。高フレームレートモードだと最大120GPSでプレイ可能(すべてのゲームに対応しているわけではない)。PS5 ProやPCゲーマーで、大きなスクリーンでプレイしたい人には重宝する設定です。
これで十分よ
TCL QM7は日常において十分なテレビ。完全完璧最高とはいえないけれど、何も困ることはありません。というか、TCLのお手ごろテレビが完璧になっちゃったら、他のテレビメーカーは死んじゃうので。価格に見合った差があって当然です。その差を鑑みても、これで十分なテレビです。
いいところ:シャープで明るく画質が素晴らしい、HDRオプションで適切な設定の美しい色、HDMI/ USBポートの数が最低限ある、この画質でこの値段!
残念なところ:角度によっては見づらい、反射とグレアが気になる、Google TV対応でも切り替えが面倒
11/21 12:30
GIZMODO