あの日見た花の名前…じゃなかった、匂いのメカニズムを僕達はまだ知らない。

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ショクダイオオコンニャク。数年に数日間しか咲かない世界最大級の花を持つとても珍しい植物です。さらに、その独特の匂いも有名。通称、死体花。花からは強烈な腐臭がします。

死体花がなぜ臭気を放つのか。ダートマス大学の研究チームが、その分子メカニズムを調査しました。

ショクダイオオコンニャクとは?

ショクダイオオコンニャクは世界最大級の花。ただし、1つの花ではありません。巨大な花に見えるのは実は花序の集まり。つまり、小さな個の花が密集して大きな花に見えているということ。花が咲くと、この密集したミニ花=肉穂花序(にくすいかじょ)とその先端が熱を発生、周辺気温よりも6度ほど高くなります。熱発生後から、死体花の由縁である腐乱臭を放出し、虫を引き寄せます。

研究を率いたG. Eric Schaller氏は、開花周期が非常に長いうえ、開花期間は短いので、匂いの現象について調べるチャンスも短かったとその難しさをプレスリリースで語っています。

腐臭成分「プトレシン」

今回の研究は、ショクダイオオコンニャクの発熱と匂いのメカニズムに焦点を当て、分子レベルで研究した初めての取り組み。その結果、ショクダイオオコンニャクにプロレシンという腐臭成分が含まれていることが、初めて明らかになりました。

研究では、ダートマス大学の温室で育てられているショクダイオオコンニャク(Morphyと命名)から、開花期間中に複数回細胞を収集。遺伝学と科学の観点から解析を行ないました。

遺伝学分析は、細胞からRNA(リボ核酸)を取り出し、花の発熱と匂いに関連する遺伝子を調査。結果、開花初期に収集されたサンプルからは、硫黄の移動と代謝作用、熱生成に関連する遺伝子の発現が高いことがわかりました。

さらに、ミズーリ大学の研究チームと協力し、ショクダイオオコンニャクのアミノ酸にも着目。質量分析法を用いて調べたところ、開花初期の細胞サンプルでは、硫黄を含むアミノ酸であるメチオニンの値が高いことがわかりました。メチオニンは、硫黄系物質の前駆体であり、温められると簡単に放出され硫黄臭を放ちます。また、硫黄系物質だけでなく、今回初めて明らかになったプロレシンの前駆体も発見されました。

腐った卵のような匂いと言われる硫黄物質と腐臭成分プロレシン。このダブルパンチによってショクダイオオコンニャクは激臭を放っているのです。

研究論文はPNAS Nexusに掲載されています。

Source: PhysOrg

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