Razerのゲーミングクッション「Razer Freyja」レビュー:没入感サイコーだけど限界も感じた

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Photo: Adriano Contreras / Gizmodo US

没入感。ここ数年、非常によく耳にするようになったワードの1つです。ゲームでも音楽でも、ここにはない世界にどれだけ入り込めるかに人々は価値を感じるのでしょう。ゲーム業界において没入感は今やキー要素であり、映像や音のリアルさ以外で世界観を高める術が求められています。

そう、たとえば振動するクッションとかね。

米Gizmodo編集部が、Razerのゲーミングクッション「Razer Freyja」を使ってみました。使った瞬間、感動するらしいです。


2週間前のこと、いつもと同じように椅子に座って、ヘッドホン着けて、『サイバーパンク2077』をプレイしていました。でも、いつもの感覚とは全く違う…。ナイト・シティの街を飛び回り、ジャッキーのバイクが速度を上げるのを肌で感じる空気感。雨が顔を打つのがわかった気すらしました。

そう、いつもと同じゲーム環境でしたが、1つだけ違ったことがあったのです。それは、いつもの椅子の上にゲーミングクッション「Razer Freyja」を置いていたこと。

クッションを使ったゲーム体験による興奮は大きくて、ゲームを止めてソッコー編集部にいた同僚に話しかけました。

今まで使ったなかで、多分一番クールなやつきた!

同僚の返答は味気なくて「なんで? そんなにそのヘッドホンいいの?」でしたけど。

300ドル(約4万6500円)のRazer Freyja(日本の価格未発表、発売日未定)は、使った瞬間夢中になると言っても過言ではないはず。ゴツいガジェットを装着することなく、シューティング系やレース系ゲームの世界観を、あの胸に響くような振動とともに味わうことができるのですから。ハプティック仕様のゲーミングチェア、ゲーミングクッションは、特定のゲームが好きな人には本気でおすすめしたいですね。

みんなにおすすめしたくなるゲーム体験なのはさておき、すべてが完璧とはいいません。感動のゲーム体験と比較すると小さいことではありますが、気になるところも。一番のネガティブポイントは、クッションをコンセントに繋ぐ必要があること。しかも、クッションのコードが短いこと。これ、延長コード必須です。

あとは、ソフトウェアの設定が面倒くさいこと。300ドルという価格も気軽に導入できるものではありませんが、これは、今後対応ゲームが増えてハプティック仕様が安定すればありになる気がします。

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Photo: Adriano Contreras / Gizmodo US

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Photo: Adriano Contreras / Gizmodo US

単なるギミックでは終わらない

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Photo: Adriano Contreras / Gizmodo US

振動や圧によって、ユーザーに触覚を生み出すハプティック系ガジェット。今回のRazer Freyja以外にも、今までレビューであれこれ試してきました。bHapticsのボディスーツやグローブも体験したし、 回転するゲーミングチェアRoto VR Explorerも試してみました。正直、ゲームのハプティックガジェットは、ギミック止まりになることが多々。動きは感じるものの、それがゲームの世界への没入感かと言われると疑問を感じていました。

Razer Freyjaはそこが今までと違います。ゲーム世界への没入感を最大限実現しているからです。ゲーム中の音に応じて、クッション(背もたれと座面)に仕込まれた14のパッドが動きを伝えます。今まで体験したハプティック系では、間違いなく一番ハマります。

ヘッドホンはなんでもいいかも

Razer Freyjaは音をもとに振動を生み出すクッションです。そこで、クッションと一緒に数種類のヘッドホン・イヤホンを取り替えっこして使ってみました。

同じくハプティック機能がある400ドル(約6万2000円)ほどのヘッドフォンKraken V4 Proと一緒に使ってみましたが、うーん、ハプティック体験はクッションだけで十分かも。正直、Kraken V4 Proと一緒に使うとハプティックが供給過多に感じましたね。

SteelSeries Arctis GameBudsでも、Alienware Proワイヤレスゲーミングヘッドホンでも、もちろんRazerのヘッドホンでも、ゲーム体験という点においては大きな差は感じませんでした

つまり、一定以上のサウンドクオリティがあるヘッドフォンであれば、どのメーカーのどのモデルを使ってもRazer Freyjaの魅力は最大限楽しめるということ。

使い始めるまでがちょっと面倒くさい

クッションを椅子に設置するのは(コードが短くてイラっとする以外は)簡単なんです。

ただ、このクッションを最大限楽しもうと思うとちょっと面倒。オーディオベースの他に、Razer独自のSensa HD Hapticsというハプティック仕様があり、これをコントロールするために専用のソフトウェアが必要だからです。まずこれのダウンロードから始めねばなりません。

設定終わったぞ!と思っても、最悪、プレイしたいゲームがSensa HD Haptics対象外の場合も。このレビュー執筆時点では、Sensa HD Hapticsに対応していたのは5タイトルだけでした(サイレントヒル2・ファイナルファンタジーXVI・フロストパンク2など)。持っているゲームだからよかったと思いきや問題発生。これらのゲームは、Epic Games経由で購入したもので、これがRazerのChromaアプリでどうしてもうまく連動してくれない。1週間以上あれこれ試したものの結局ダメでした。なんだよ…。

現在は、対応ゲームの数も増えており、今後もさらに増えるとのこと。が、少なくとも私が使ってみた時点では、使えない機能だったわけでとても残念。

RazerがけっこうアピールしているのでSensa HD Hapticsに期待はしつつ、オーディオベースのハプティックだけでも十分楽しくはあります。

音と連動した動き

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Photo: Adriano Contreras / Gizmodo US

単なるギミックではないと前述しましたが、それはハプティック感覚のクオリティが非常に高いから。最適と思われるゲームは、コックピットや車に座っている設定のレース系やFPS系ゲームです。ゲーム内容とハプティック振動の連携が神がかっていて没入感は非常に深い!

都市開発シミュレーションの『フロストパンク2』では、背中に風を受けるような街の振動を味わえましたし、『バルダーズ・ゲート3』では大きな衝撃を確かに感じました。

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Photo: Adriano Contreras / Gizmodo

Razer Chromaから、クッションのハプティックを調整可能。3つのベースモードは異なる音域でのハプティックを管理。低音でハプティック発動が多いですが、高音や中音で強めに発動させるなどユーザー好みにカスタマイズができます。

違和感を持ったのは、ナレーションでもたびたび発動してしまったところ。ナレーションもゲーム音の1つですが、そこの振動は期待していませんから。

『サイバーパンク2077』と『Ghost of Tsushima』では、常に微振動している感じ。ゴロウ・タケムラの声は確かに低いのですが、さすがにサブウーファーレベルではないと思うの! 喋るたびにハプティックくるのも鬱陶しくて、設定をOFFにしましたが、そうすると今度は走行中の低音による振動も切れちゃう。

ここに、シナリオではなく音ベースのハプティックの限界を感じました。

総評:期待しかない

今までにない没入感を得て大興奮できるRazer Freyja。

とはいえ、手放しでオススメできないのは、それなりの問題もあるからです。

クッションの設置自体は、3つのゴムバンドを巻き付けるだけで簡単。ただ、手持ちの椅子によってはクッションがはみ出すこともあります。で、必要なソフトをダウンロード。Razer Chromaはマストだけど、なぜRGBライトのコントロールソフトでハプティックをやらねばいかんのか?というわけのわからなさは感じます。Razerあるあるですが、ソフトによるハードの設定がとにかく複雑

使い始めると最高のゲーム体験ではあるものの、ゲーム内容(シナリオ)に特化したハプティックではなく、音ベースだけだと限界があります。

となると、総合的な判断は、ゲームにおけるハプティック活用の本当のイノベーションがはじまりそうだというところ。「はじまった」ではなくて、「はじまりそう」。使ってみたら間違いなく大興奮するものの、ゲームの推奨アイテムとなるにはもう1つ足りない。

今後のアップデートに大いに期待すべきプロダクトです!

いいところ:座り心地がいい、装着が楽、シーンによっては音ベースのハプティックが素晴らしく合う。

残念なところ:コンセントにさす必要があるところ、Sensa HD Hapticsがうまく作動しない場合も、ナレーションで振動が反応するのは萎える。

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