レイバンのスマートグラス。オタク趣味にまったく興味ない模様

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Image: Tada Images / Shutterstock.com

これまでさまざまなAIチャットボットに触れてきましたが、それらの共通点は1つ。みんな自信たっぷりに嘘をつくということ。

Ray-Ban Metaスマート グラス」には、AIによる画像認識機能が組み込まれているので、筆者の偏愛するオタク的な趣味についていくつか質問してみました。しかし、本やフィギュア、版画、おもちゃなどを見せてもまったく反応せず…。

しかも平気で知ったかぶりをするところが少し気に障ります。


先日行われたMeta Connectカンファレンスにて、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏はこのスマートグラスのアップデートを次々と発表しました。リマインダー機能やQRコードスキャン、WhatsAppやMessengerで簡単に返信できる機能などが使えるようになります。「クルマをどこに駐車した?」なんてスマートグラスに尋ねることもできるそうです。

さらに今後は、リアルタイム翻訳やビデオスキャンなどの機能が追加される予定。こういったリアルタイム機能により、今見ているものについてAIがコメントできるようになります。

レイバンのスマートグラス使ってみた

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Image: Kyle Barr - Gizmodo US

筆者はMetaから新しいレイバンのスマートグラスをプレゼントしてもらったので、実際に使ってみました。

このスマートグラスでは写真を撮ることもできますが、iPhone に比べると画質はぼちぼち。内蔵オーディオは満足なものでした。ヘッドホンや高品質のイヤホンには及びませんが、サブスクで音楽を聴く分には、ほとんどのノートPCスピーカーよりはるかに優れているかと。ビーチでくつろぐときには、このスマートグラスが最適な選択肢になると思います。

次にスマートグラスで自分の部屋の中を見渡してみることにしました。積み重なったボードゲームや壁に貼ったポスター、好きなマンガのキャラクターのフィギュア、『ウォーハンマー40000』コレクションの山について質問してみましたが、AIの反応は、ファンタジーやSFに興味がなく、「ただ関わっているふりをしているだけの人」という感じでした。まるで父親に自分の趣味について話しているときくらいぎこちない会話でした。ときどき話題に食いついてくれる父とは違い、Metaのメガネは嘘をつくのが下手で、関心のなさを隠すことがまったくできてません。

平気で嘘をつく

気を取り直して、PlayStation 5のセットアップを頼んでみました。しかし、AIは私の棚を見て、これは間違いなくPlayStation 4だと言いました。

他にも少しニッチなコミックのフィギュアなども見せてみましたが、ブライアン・K・ヴォーンとフィオナ・ステープルズ・サーガのコミックに登場するウィルのアクションフィギュアをドクター・ストレンジだと言ったり、シン・シティのコミックに登場するマーヴの像をハルクだと思う始末。

メトロイドシリーズのサムス・アランを描いたプリントを見たときは、アイアンマンのようだと言いました。両親と同様、このスマートグラスもオタクっぽいものは、すべてマーベルのキャラクターだと考えているようです。

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ルイージのことは知っていたよう
Image: Kyle Barr - Gizmodo US

メガネが正しい答えを出したときでも、具体的な回答や正確な答えを出すのに苦労しました。AIは『Deathmatch Island』や『Lacuna』といったいくつかのインディー RPGルールブックのタイトルを自信を持って読み上げました。 が、筆者が聞きたかったことにはまったく関係ありませんでした。

Metaのスマートグラスの回答は、詳細が乏しい代わりに推測が中心です。メガネがオタクの雑学を理解できないのを見るのは個人的にはおもしろいですが、役立つかどうかは別の話。

キッチンにあったザクロのシロップ漬けの瓶を見て、醤油だと答えたこともありました。

プライバシーの問題も

MetaのLlama 3.2マルチモーダル モデルはまだ試していません。MetaのAI によると、Llama 3.1 70Bを使用していますが、LLMは日常的なクエリには適していない可能性があるようです。

またMetaのスマートグラスは、位置データにアクセスできないようです。プライバシー的にもそれが最善でしょう。

最新のアップデートを適用したにもかかわらず、QR コードのスキャンや新しいリマインダー機能にアクセスできませんでした。通知機能は便利そうですが、一方でナンバープレートの写真を撮ってスマートグラスに分析するように頼めば、Metaもそれを認識するということをお忘れなく。

ザッカーバーグ率いるソーシャルジャイアント軍団は今週、スマートグラスで撮った写真をAIに分析するよう頼めば、Metaがその写真を取得してAIをトレーニングするとTechCrunchに語っていました。

もちろんプライバシー保護は考慮されているとはいえ、それはあなた個人のプライバシーを守るということが約束されているわけではありません。

ある大学生グループがレイバンのスマートグラスをハッキングして、顔認識機能を追加したというニュースもありました。改造されたメガネは、名前、電話番号、電子メール、さらにはより機密性の高いデータなど、インターネットからさらに多くの情報を取得することができたようです。

これに対してMetaの広報担当者は、顔認識ソフトウェアはこのスマートグラスに搭載されているカメラだけでなく、技術的にはどのカメラでも機能すると指摘しました。

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