大気圏で燃え尽きることが任務の人工衛星。宇宙ゴミ削減につながるか

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Image: ESA/D. Ducros

欧州宇宙機関(ESA)が準備中の洗濯機ほどのサイズの人工衛星。この人工衛星は、人類のために、燃えて燃えて、燃え尽きる運命にあります。

ミッションDARCO、地球大気圏の再突入による機体燃焼、分解を記録するのが目的です。

崩れていく機体のデータを収集

Destructive Reentry Assessment Container Object、通称ミッションDRACOは、打ち上げられた機体がやがて大気圏に再突入し、燃え、最終的には分解されるデータを収集するのが目的です。

打ち上げられる機体は重さ200kgほど。推進システムやナビゲーション、通信システムは搭載されておらず、あくまでも大気圏再突入時のデータを収集するだけが狙い。

データを収集、研究することで、宇宙船の大気圏再突入時の技術をあげ、ひいては地球軌道上にただよう宇宙ゴミ増加にはどめをかけたい考え。

ミッションに必要なもの

DRACOミッションで必要なのは、大気圏再突入でバラバラに分解される機体と、その様子を一部始終記録し、壊れずに生き残ることができるデータ収集用のカプセル。また、通常の人工衛星と同じく、地球の低軌道上に到達してから再突入する必要もあります。

DRACOが宇宙空間に滞在するのはほんのわずか、たったの12時間。到達高度は1,000kmほど。機体には4つのカメラと200のセンサーを搭載。再突入に耐えられるようデザイン設計されたカプセルが、機体(人工衛星)そのものが壊れてバラバラになると、パラシュートを展開。カプセルが海にスプラッシュダウンする前、降下していく約20分の間に、収集したデータを静止衛星へと送信する計画です。

ESAのプロジェクト担当者Holger Krag氏は、プレスリリースにてこう語っています。

「機体崩壊への対抗策として、再突入時の科学力は必須条件です。大気圏で人工衛星が燃えると何が起きるのかのインサイトをより収集し、再突入のモデルを検討する必要があります。だかららこそ、DRACOが収集する独自データは、2030年までにより分解しやすい衛星を開発する新たなテクノロジーの進化の手助けになると思います」

ミッションDRACOの打ち上げは2027年を予定。

Source: ESA

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