あれ、やっぱりProかも…「iPhone 16 Pro」にしかない機能と「Proにすべき人」をいま一度考える

9月中旬に「iPhone 16」シリーズが発売されて、3週間ほどが経ちました。基本的な仕様を眺めていると、「今年はiPhone 16/16 Plusで良いか」と感じるものの、いざ店頭で実機を触ってみて「やっぱりiPhone 16 Pro/16 Pro Maxが欲しい」と悩みだしてしまう方も少なくないはず。

そこで本稿では、実機に触れた筆者のインプレッションを混ぜつつ、あらためて上位モデルを選ぶべきメリットについて考えてみます。

井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。X

 

 

 

■基本的には「iPhone 16」で十分

とにもかくにも大前提としては、今年はスタンダードモデルの「iPhone 16」が狙い目。これは搭載するチップセットが前世台機での「A16 Binonic」からナンバリングを2つ増やした「A18」へと一気に進化し、ゲーミング性能や、機械学習に関連する処理性能が強化されているから。性能面を考えたときに、単純にコスパが良いのです。

もし今年購入する端末で、長期運用を前提にするなら、「併売の型落ちではなく、iPhone 16/16 Plusを選ぶべし」と思います。

iPhone 16とiPhone 16 Proの写真

▲iPhone 16(左、6.1型)とiPhone 16 Pro(右、6.3型)

App Storeでの互換性表記

▲iPhone 16シリーズは、昨年の上位モデルである「iPhone 15 Pro/15 Pro Max」と同様に、AAAタイトルのゲームアプリにも対応している

Apple Intelligenceのイメージ

▲2025年に日本向けの提供も予告されている「Apple Intelligence」関連の機能もサポート。ベンチマークのAI関連のスコアはわかりつつあるものの、実際の使用感としての恩恵はまだ未知数なところが多い

同様に、カメラの進化幅も大きいので、普段の写真撮影や、ホームビデオなどの撮影を楽しむためなら、十分満足できます。

(1)2倍望遠撮影はProしかできない
(2)マクロ撮影はProしかできない
(3)空間ビデオ撮影はProしかできない

…あたりはもう過去の話。全部スタンダードモデルで使えてしまうので、このあたりのカメラメリットをProシリーズのメリットだと感じて、過去の上位モデルを眺めていたことがある層は、iPhone 16/16 Plusを選んで問題なくなりました。

iPhone 16と16 Proのカメラ作例

▲iPhone 16で撮影して「スタイル」でエーテルを適用した写真(左)、iPhone 16 Proで撮影して「スタイル」でエーテルを適用した写真(右)。記事投稿用に小さくリサイズ済み。メインカメラのクオリティはiPhone 16でも十分だ

iPhone 16のカメラ作例

▲iPhone 16で2倍の倍率を選択して撮影したもの(リサイズ済み)。背面カメラシステムに望遠カメラはないものの、高解像度なメインカメラ(4800万画素)の中心部の1200万画素を使うことで、実質的に2倍の光学望遠撮影が可能だ。これは従来世代から踏襲した特徴であり、手元の料理や小物を陰がかからないくらいの構図で撮影したいならこれで十分だろう

iPhone 16のカメラ作例

▲iPhone 16で撮影したもの(リサイズ済み)。スタンダードモデルとしては初めてマクロ撮影に対応したので、撮影できる被写体や構図のバリエーションが増えているのが楽しい

カメラコントロールを使っている様子

▲一応、ハードウエア的には「アクションボタン」や「カメラコントロール」も増えているが、慣れが必要なので、これらを目当てに購入する必要はあまりないと思う。気に入ったら使えばいいし、誤動作が邪魔なら設定からオフにもできる

 

■とはいえ、カメラ好きならやっぱりPro

一方で、やっぱりiPhone 16 Pro/16 Pro Maxの方が良いな、と感じる部分も多々あります。例えば、16 Proも、16 Pro Maxも、望遠カメラがともに光学5倍になったことは見逃せません。昨年のモデルだと、15 Proが3倍望遠で15 Pro Maxが5倍望遠、のように差があったので「おっ、iPhone 16 Pro良いじゃん」と感じました。

やはり、スタンダードモデルに関して紹介したように、2倍望遠で対応できるのは、「料理を撮るときに撮影者自身の影が映り込まないようにする」や「ちょっと離れたところの花や人を撮るときに構図が自由になる」くらいです。一方で、やりたいことが「遠くから子どもやペットの表情を変えずに撮影を狙う」「散歩中に出会った野鳥や昆虫を撮影する」などになってくると、5倍、あった方が良いです。

iPhone 16とiPhone 16 Pro

▲iPhone 16(左)とiPhone 16 Pro(右)。本稿では割愛したが、iPhone 16 Proは超広角カメラが従来より高解像度な4800万画素になったこともトピックだ

iPhone 16とiPhone 16 Proのズーム作例

▲iPhone 16(左)とiPhone 16 Pro(右)で2〜3m離れてのズーム撮影を比較。iPhone 16 Proシリーズでは、5倍の望遠カメラが使える。なんだかんだ言って、遠くからの撮影のクオリティは、いまだにProシリーズの方が高い

スローモーションのイメージ

▲4K/120fpsのスローモーションが撮影できるなどは、動画クリエーターならメリットになるかも。撮影した動画の編集画面で右上から再生速度を選択できる

ちなみに、個人的にProシリーズのポテンシャルで期待していたのが録音用マイクの強化でした。iPhoen 16 Pro/16 Pro Maxでは、新たに「4つのスタジオ品質のマイク」を備えたからです。

オーディオミックスのイメージ

▲動画の編集画面で「オーディオミックス」の項目を選ぶと、(1)フレーム(ビデオフレームに表示されていない音源からの音や人の声を低減)、(2)スタジオ(周囲の音とリバーブを抑えて、プロ仕様のスタジオ内で録音した音声のように仕上げる)、(3)シネマティック(映画のオーディオのように、すべての声を前方のトラックに集め、周囲の環境音をサラウンドで残す)という3つの編集が行える。画像のイメージは「フレーム」を適用した場合

ただし、ビデオ撮影時に空間オーディオを適用したり、風切り音を低減したりする機能は、スタンダードモデルのiPhone 16でも使えます。ビデオ編集時の「オーディオミックス」も、iPhone 16シリーズならばどれを選んでも利用可能。Proシリーズのメリットとしては「マイクの品質」の差くらいに限られます。

しかし、両端末で撮影したビデオのオーディオを聴き比べてみても、録音のプロではない筆者では、差をあまり認識できない程度ではありました。一方で、今後のアップデートで音声からの文字起こし機能や、ボイスメモの音楽関連の録音機能などが充実してくると、マイク性能の差が体験の差に影響してくるかもしれません。このあたりは、長い目で注視してしておきたいところ。

*  *  *

もしこだわりがなければ「iPhone 16」のコスパが高いと感じます。一方、カメラが好きだったり、クリエイティブに使い倒す予定ならば「iPhone 16 Pro」一択といったところ。ここ数年は「もうスタンダードモデルで良いじゃん」と感じやすくなりましたが、比較検討時にはぜひProシリーズの魅力も見落とさずに。

ちなみに、従来からのProシリーズのメリットとしては、LiDARスキャナで正確なARが使えること、データ伝送速度の速いUSB Type-Cポートで柔軟な外部機器接続が行えること、常時表示ディスプレイでスタンバイモードを利用できること、などもあります。これらも忘れずにチェックしておきましょう。

>> Apple「iPhone 16 Pro」

<文/井上 晃

 

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