富士フイルム「X-T50」が魅せる新たな世界。フィルムシミュレーションダイヤルの効能とは
【趣味カメラの世界 #7】
「スマホ全盛時代になぜカメラで写真を撮るのか」という、答えのない問いを探るべく、前回に引き続き、フォトグラファーの田中さんとFUJIFILM(富士フイルム)「X-T50」を通して考えます。
田中利幸(たなかとしゆき)|ファッション誌などでブツ撮りやポートレートを中心に活動するフォトグラファー。カメラ・ガジェット好きで自身で運営するブログ「Tanaka Blog」において、カメラやガジェットに関するちょっとマニアックなことを書いている
* * *
さて、今回は「X-T50」に新たに搭載されたフィルムシミュレーション(※)ダイヤルを活用し、富士フイルムならではの多彩なカラーサイエンスを体験していきます。
※撮影意図に合わせてコントラストや色味などを、ボタンひとつで調節できる富士フイルム独自の機能
■写真の可能性を広げる「フィルムシミュレーション」
「X-T50」の軍艦部には、フィルムシミュレーションを変更するためのダイヤルが搭載されています。このダイヤルのおかげで、どのフィルムシミュレーションに設定しているかがひと目で分かります。
実は、筆者も富士フイルムの「GFX50S」というカメラを使用しているのですが、これほど手軽ではなかったので、フィルムシミュレーションはあまり活用していませんでした。
フィルムシミュレーションの変更はダイヤルを回転させるだけ。ゆえに、積極的に試したくなります。
さらに、変更時のエフェクトも凝っており、カメラ内で解説が見られます。撮影中でもダイヤルを回転させながらその都度フィルムシミュレーションの効果を確認できるので、いちいち覚えなくて大丈夫。
■撮影した写真は専用アプリと連携すれば即SNSにアップロード可能
「FUJIFILM XApp」を使ってカメラと接続すれば、スマホへ簡単に写真を取り込めます。
その際、明るさの調整をはじめとする画像の加工はできませんが、フィルムシミュレーションを駆使して撮影した「X-T50」の写真であれば、撮って出しでも十分に“SNS映え”することでしょう。
ちなみに、写真の取り込み以外にもカメラのリモート撮影や機材の状態確認ができます。シャッター回数など、カメラの細かな情報まで確認できる点も魅力的。直接撮影には関係ありませんが、カメラ好きとしてはこういった細部にもワクワクします。
ほかにも、カメラやレンズのファームウェアアップデートや設定の保存など、便利な機能が多数備わっています。
■“盛りすぎ感”は皆無。何気ないシーンに深みが増す「フィルムシミュレーション」を積極的に活用しよう
▲シャッタースピード1/500秒、F5.6、ISO800、焦点距離68mm(35mm換算)、フィルムシミュレーション:ASTIA、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ ▲シャッタースピード1/500秒、F5.6、ISO800、焦点距離68mm(35mm換算)、フィルムシミュレーション:PRO Neg. Hi、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ似たようなシチュエーションで、2種類のフィルムシミュレーションを試してみました。まったく同じ場面でも、フィルムシミュレーションによって違いが出ているのが見て取れると思います。
なお、設定で撮影効果が反映されるモードにしておけば、写りの違いをその場で確認できてより便利です。
▲シャッタースピード1/250秒、F5.2、ISO125、焦点距離58mm(35mm換算)、フィルムシミュレーション:CLASSIC Neg.、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ個人的に気に入ったこともあり、フィルムシミュレーションの中で多用したのが「CLASSIC Neg.」です。人の肌色にはやや癖のある色味ですが、嫌な印象はありません。
グリーンに偏ったシャドウとマゼンタ寄りのハイライトが、硬めのコントラストと相まって印象的な仕上がりに。富士フイルムが説明している“エイジングの魔法”という言葉が、まさにぴったりです。
▲シャッタースピード1/200秒、F4.4、ISO800、焦点距離40mm(35mm換算)、フィルムシミュレーション:CLASSIC Neg.、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZこちらも「CLASSIC Neg.」を使用した作例です。レトロ感のある少しアンバランスな色味の描写と、昭和を感じさせるウィンドウとの相性は抜群です。
▲シャッタースピード1/125秒、F3.6、ISO160、焦点距離25mm(35mm換算)、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZこちらは、自然な色再現で幅広く活用できる「PROVIA」。つい個性的なフィルムシミュレーションに目が行きがちですが、スタンダードな「PROVIA」も非常に魅力的です。特に肌の色味や滑らかさは、「PROVIA」が一番良い印象を持ちました。
▲シャッタースピード1/400秒、F5.0、ISO640、焦点距離41mm(35mm換算)、フィルムシミュレーション:REALA ACE、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ「REALA ACE」も汎用性の高いフィルムシミュレーションです。ナチュラルな色味が特徴で、やや持ち上がったシャドウと硬めのハイライトが相まって、スッキリとした印象を与えます。
▲シャッタースピード1/2500秒、F4.2、ISO800、焦点距離31mm(35mm換算)、フィルムシミュレーション:ETERNA、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ動画に最適化されたルックの「ETERNA」。抑えられた彩度とコントラストは、状況によってはフラットになり過ぎることもありますが、淡く儚い雰囲気はまるで夢の中のよう。夏の終わりのとある一瞬を幻想的に切り取ってくれました。
▲シャッタースピード1/2500秒、F3.5、ISO160、焦点距離23mm(35mm換算)、フィルムシミュレーション:ACROS、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZモノクロで撮影するだけで、見慣れた日常がどこかドラマチックに。長年フィルムを作ってきた富士フイルムならではの、銀塩写真を思わせる豊かな階調性が特徴です。
▲シャッタースピード1/125秒、F5.6、ISO800、焦点距離67mm(35mm換算)、フィルムシミュレーション:ACROS、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZX-T50には内蔵フラッシュが搭載されているため、手軽にフラッシュ撮影を楽しめます。硬いフラッシュの光とモノクロを組み合わせることで、モードな雰囲気を演出できます。
▲シャッタースピード1/2500秒、F3.5、ISO160、焦点距離23mm(35mm換算)、フィルムシミュレーション:NOSTALGIC Neg.、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ「NOSTALGIC Neg.」のアンバーな雰囲気には、どこか懐かしさを感じます。ゆえに、初めて見る風景でも、どこか記憶の奥底にあるような不思議な気持ちにさせられます。
▲シャッタースピード1/1600秒、F3.8、ISO200、焦点距離26mm(35mm換算)、フィルムシミュレーション:NOSTALGIC Neg.、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZノスタルジックな風景には「NOSTALGIC Neg.」がぴったり。安直ではありますが、やはり良く合います。
▲シャッタースピード1/1600秒、F3.8、ISO200、焦点距離26mm(35mm換算)、フィルムシミュレーション:ETERNA BLEACH BYPASS、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ低い彩度と高いコントラストが特徴の「ETERNA BLEACH BYPASS」。モノクロとは異なる個性的でクールなカラーが、写真に独自の個性を与えてくれます。
■多彩なフィルムシミュレーションと約4020万画素の高画質で、スマホでは表現しきれない写真が撮れる!
富士フイルム「X-T50」は、そのクラシカルなデザインに加え、写真表現の幅を広げる多彩なフィルムシミュレーション機能が魅力のカメラ。新たに搭載されたフィルムシミュレーションダイヤルにより、富士フイルムの多彩なカラーサイエンスを直感的に楽しむことができ、日常のシーンを印象的に切り取れます。特に、画質にこだわる人にとっては富士フイルム独自の色再現性と最新世代のセンサーおよびプロセッサーが満足感を与えてくれるでしょう。
さらに、スマートフォンとの連携機能も充実。撮影した写真はFUJIFILM XAppを使って手軽にSNSにアップロードできます。撮って出しでも“映える”写真をシェアでき、SNSユーザーにも最適です。高画質とクリエイティブな表現を両立させながら、自分だけの特別な一枚を探求してみてください。
>> FUJIFILM
>> 趣味カメラの世界
<取材・文/田中利幸 モデル/田淵瑚都(@tako_ism) 取材協力/FUJIFILM>
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