キャンピングカーでペットと快適に旅する選択肢

ペットと旅するキャンピングカーとして人気を博しているソラン・シリーズの最新作「レクヴィ・ソランSL」

ペットと旅するキャンピングカーとして人気を博しているソラン・シリーズの最新作「レクビィ・ソランSL」(写真:レクビィ)

キャンピングカーのユーザーには昔から愛犬家なども多いが、昨今のペットブームに呼応するかのように、ペットと一緒にクルマ旅を楽しみたいといったニーズはますます高まっている。そんな中、老舗キャンピングメーカーのレクビィ(愛知県瀬戸市)が、ペット対応キャンピングカーの新作「レクビィ・ソランSL」を発表した。

トヨタの商用バン「ハイエース」をベースに、愛犬などペットとの車中泊やクルマ旅を快適に過ごせる装備が好評な同社のソラン・シリーズ。その最新作となるソランSLは、ハイエースのスーパーロングをベースとし、全長5m超の車体を持つことが大きな特徴だ。従来モデルがハイエースの標準ボディやワイドボディをベースとするのに対し、より広い室内などを実現したロングボディバージョンとなっている。

ここでは、近年のペット人気とリンクした新型モデルを「東京キャンピングカーショー2024」(2024年7月20~21日・東京ビッグサイト)で取材。その特徴や魅力などに迫ってみた。

【写真】ペットと旅するキャンピングカーがテーマの「レクビィ・ソランSL」。その外装や注目の室内空間をチェック(59枚)

ソラン・シリーズの特徴

ソラン・シリーズは、トヨタ・ハイエースをベースとしたバンコン(バンコンバージョン)と呼ばれるモデル。ベース車の外装変更を最小限に抑え、通勤・通学や買い物など、普段使いしやすい車体サイズなども人気となっている。

2023年1月に発表した「ソラン」

2023年1月に発表した「ソラン」(写真:レクビィ)

また、ソラン・シリーズは、ペットとのクルマ旅を考慮した数々の装備が魅力のキャンピングカー。従来モデルは、標準ボディの標準ルーフとハイルーフ、ワイドボディの3タイプを用意。いずれも引っ掻き傷に強い生地のベッド、ペットがかじっても有害性の少ない素材を使った家具、夏の日中などにペットを室内で留守番させても安心な家庭用エアコンなどを装備。

製造・販売を手がけるレクビィによれば、同シリーズは、2023年の発売以来、多くのペット愛好家の支持を獲得。現在では、同社キャンピングカー全受注数のうち、3割強を占めるほどの人気シリーズになっているという。

最新作となるソランSLの特徴

東京キャンピングカーショー2024に出展されていたレクビィ「ソランSL」

東京キャンピングカーショー2024に出展されていたレクビィ「ソランSL」(筆者撮影)

そんなシリーズの最新作となるのがソランSLだ。ボディサイズは、全長5380mm×全幅1880mm×全高2400mm。従来のソラン・シリーズは、全長が4695~4840mmなので、最新作のソランSLはシリーズ中で最長となるロングボディモデルと言える。

ちなみに、ベースとなるハイエース・スーパーロングボディのノーマル車と比べると、全高は115mm高くなっているが、全長や全幅は同じ。そのため、外観はノーマル車とほぼ変わらない。前述のとおり、普段使いや仕事などで街中を走行する際も、運転しやすく、見た目の違和感もほぼないことも特徴だ。

新しくロングボディモデルを開発した背景について、レクビィの担当者によれば、「もっと広い室内のモデルがほしい」といったユーザーからの要望が多かったためだという。ペットと家族などと、よりゆったりとした旅や車中泊を楽しめる上級モデルのニーズが高かったのだ。ちなみに車体の大型化により、乗車定員は従来モデルの5名に対し、新型では6名へ拡大。就寝定員は従来モデルと同じ3名だ。

後ろから見たソランSLの室内

後ろから見たソランSLの室内(筆者撮影)

車体のロングボディ化による恩恵は、とくにベッドサイズに反映されている。ベッドの最大展開時のサイズは、長さ265cm×幅170cm。全長が伸び、より広くなったベッドによって、室内で活発に動くペットのストレスを軽減させるとともに、ペットと人が、より自由なスタイルで就寝できるようになっている。

さらにベッドは、テールゲート側の最後部をリクライニングできるが、垂直に立てた状態でも、ベッド長は180cmを確保。これにより就寝スペースを確保しながら、最後部を荷物積載スペースとして活用することもできる。ほかにも、室内左側の中央部をテーブル付きダイニングにし、反対側をコの字型ソファにすることで、ゆったりと会話などを楽しめるベッドアレンジも可能だ。

充実した装備で人もペットも快適に過ごす

水まわりやキッチンキャビネットなどの装備

水まわりやキッチンキャビネットなどの装備(筆者撮影)

また、新型ソランSLは、キャンピングカーとしての装備が充実していることも特徴になっている。助手席側スライドドアから入るエントランスのすぐ近くには、シャワーヘッドやシンク、給排水タンク(各13L)を備える水道設備を設定。通路を挟んで室内右側には、キッチンキャビネットを備えるほか、容量49Lの冷蔵庫や電子レンジ、室内後部には家庭用エアコンなども装備する。

また、キャンプ場などでエンジン停止中に家電を使う際の電源となるサブバッテリーには、300Ahのリチウムイオン電池を採用。エアコンを6時間稼働させられるほどの電力を確保することで、これも先述のとおり、夏の日中などにペットを室内へ留守番させる場合も安心だ。また、人も熱帯夜でも安眠できるなど、快適なクルマ旅やキャンプなどを楽しめるという。

ベッドをアレンジすることでダイニング空間としても使用可能

ベッドをアレンジすることでダイニング空間としても使用可能(筆者撮影)

ほかにも、運転席の上部にはアッパーヘッドシェルフ、室内上部にはオーバーヘッドシェルフ(木製のフタ付き収納家具)を備えることで、荷物の収納スペースも充実。冬場に室内を暖めるFFヒーターなど、さまざまな充実装備が搭載されている。

価格アップも最小限、選択肢が増えた

後ろから見たソランSL

後ろから見たソランSL(写真:レクビィ)

新型ソランSLの価格(税込み)は、オプション未装着の場合で、ガソリン車2WDで838万2000円、4WDで869万円だ。従来モデルの価格(税込み)は、標準ボディで763万4000円~882万2000円、ワイドボディで789万8000円~820万6000円だから、価格差はさほどない。

そのぶん、ユーザーは、使い方や同乗する人数などに応じて、モデルを選びやすくなっていることにも注目してもらいたい。

ともあれ、ペットとのクルマ旅を楽しむためのモデルという、時代のニーズにマッチしたキャンピングカーが、今後、市場からどれほど多くの支持を得て、需要の伸びを見せるのかに注目だ。

(平塚 直樹 : ライター&エディター)

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