新iPhone 16シリーズはどのモデルが"買い"か
日本時間の9月10日午前2時にアップルが新製品発表会を行いiPhone 16シリーズを発表した。では、このモデルがお買い得かどうか? 今買うとしたら、どれを買うのがいいのかを解説していきたい。
予算に応じた「購入作戦」を考えよう
まず、現在アップルのサイトで購入できるiPhoneの価格表はこちら。
新しいiPhoneは、6.1インチのスタンダードモデル「iPhone 16」、6.7インチの「iPhone 16 Plus」、チタンフレームを持ちより高性能な6.3インチモデル「iPhone 16 Pro」、そして最上位となる6.9インチの「iPhone 16 Pro Max」の計4機種となる。
日本での価格は、円安傾向が少し落ち着いたことを反映して去年のiPhone 15シリーズ発売時と同じになっている。
日本ではiPhoneは猛烈な勢いで値上がりしている印象があるが、アメリカではスタンダードモデルの最低ストレージモデルが799ドル、Proモデルの最低ストレージモデルが999ドルというのはここ数年来(iPhone Xの2017年から)ほぼ変わっていない。
つまり、“高いiPhone”というのは円安の影響であることが分かる。円安が落ち着けば、iPhoneの価格も落ち着くことだろう。とはいえ、現状は高値安定だが。
今年は、スタンダードモデルの価値が大きい
今年のiPhoneはスタンダードモデルであるiPhone 16/16 Plusを選ぶメリットが大きい。
昨年は、上位のProモデルがA17 Proというチップセットを搭載したのに、iPhone 15/15 Plusは、前年のモデルと同じA16 Bionicが搭載された。一般利用には十分ではあったが、やはりその年のアップデートが入っていたほうが嬉しい。
iPhone 16はCPUパフォーマンス(処理全般)において、iPhone 15より30%速く、GPUパフォーマンス(画像描画性能)において、40%速いとアップルは発表している。グラフにも出ている通り、過去のモデルチェンジより大幅なステップアップとなっているはずだ。
今年のiPhone 16/16 Plusは、A18という新世代のチップセットを搭載している。台湾のTSMCの工場での製造できる第2世代の3nmテクノロジーで作られたチップセットだ。iPhone 15/15 Plusが4nm世代であるのと比べると、2年分の差があるといえる。
それほど高負荷な作業をしないとしても、写真や動画の処理、ゲームなどにおいてパフォーマンスの差は出るだろう。後々、OSなど日常使用の負荷が増した時にも高性能なチップセットを積んでいたほうが長きにわたって使えるはず。省電力性能も高いので、バッテリーの傷みも少ないはずだ。
また、なんといっても昨年のiPhone 15/15 PlusはApple Intelligence非対応だが、iPhone 16/16 Plusはこれに対応している。まだ「何に使うか分からない」という方も多いと思うが、メモ書きからメールの文章を作成できるとか、お店にカメラを向けるだけでそのお店のサイトを表示できるとか、「デジタルに詳しくない」という人にこそ便利な機能に成長しそうなので、今買うならApple Intelligenceに対応しているメリットは大きい。
Proにはフラッグシップモデルの価値がある
では、iPhone 16 Pro/16 Pro Maxはどうだろうか?
もちろん、フラッグシップモデルとしての価値はあるし、最高の処理能力、最高のカメラ性能を持ってはいるが、例年と比べるならスタンダードモデルとの差は小さい。価格差は同じだが“Proならでは”の部分が少ないのがiPhone 16シリーズの特徴だといえるだろう。
現在のところ、iPhone 16シリーズに搭載されているA18と、iPhone 16 Proに搭載されているA18 Proの差は公開されていないので、その性能差によってはProモデルを手にするメリットも大きくなると思うのだが。
今回に限って言えば、スタンダードモデルにも、4800万画素のメインカメラ、×0.5、×1、×2倍の画角、Super Retina XDRディスプレイ、アクションボタン、カメラコントロールボタン……などのフィーチャーは搭載されているので、いつになく性能差は少ないといえるだろう。Apple Intelligence対応であることも変わらない。
3万5000円の価格差をどう考えるかだが、今回ばかりはスタンダードモデルを選ぶというのも賢いチョイスかもしれない。
逆に、どこにProモデルならではの性能の高さがあるかを洗い出しておこう。
Proモデルにしかない主なフィーチャーは、チタンボディ、5倍望遠レンズ、4800万画素の超広角レンズ、Apple ProRAW、Logビデオ撮影などプロ仕様の撮影性能、USB-Cポートの通信速度(Proモデルは最大10Gb/s対応で、Apple ProRAWを外部ストレージに録画できる)、ProMotion対応常時表示ディスプレイ、+αのバッテリー容量……といったところである。つまり、Apple ProRAWなどを使ったプロレベルの写真/動画撮影をしない限り、さほどの差はないのである。
もっとも、前述のようにまだA18とA18 Proの性能差に関する情報はないので、その部分は明白ではないが……いずれにしても、今年はスタンダードモデルがいつになくお買い得なのである。
コストを思い切り抑えるなら、古いモデル
では、併売を続けられるiPhone 15シリーズ、14シリーズ、SEなどのモデルを買うというのはどうだろうか?
前述のように、今年のiPhone 16シリーズのアップデート幅が大きいので、わずか1万2000円~1万5000円の価格差でiPhone 15シリーズを買うのは損だと思う。その差ならiPhone 16シリーズ一択だ。
ただ、どうしても全面がタッチパネルのモデルを新品で、しかも極力安く欲しい……というならiPhone 14シリーズもアリなのかもしれない。それでも2万9000円差ぐらいなら、今年のモデルを買ったほうがお得だろう。
なにしろ、旧モデルはOSのアップデートで使えなくなるのも早いわけで、極力新しいのを買って長く使う方が、結局はお得だと筆者は思うのだが……。
あと、iPhone SEはとても安いので、たとえばお子さんに買うとか、高齢者の方用にならアリだと思う。特に高齢者の方の場合はホームボタンがあったほうが扱いやすいとおっしゃるケースも多いので。次のiPhone SE4はホームボタンがなくなるという噂もあるので、なおのこと買っておいたほうがいいかもしれない(OSアップデート落ちが近いのはしょうがないとして)。
筆者のお勧めは、iPhone 16/16 Plus
というわけで、損得でいえば、今iPhoneを買うならiPhone 16、もしくはiPhone 16 Plusがお勧めである。
もちろん、損得だけで選ぶわけではないし、当然のことながら「3眼でチタンのフラッグシップモデルがカッコいい!」という価値観もあるわけで、そこはお好み次第。筆者もマニアのひとりとして、おそらくiPhone 16 Proを買うと思う。
ただ、損得だけを考えると、iPhone 16 / 16 Plusシリーズのお買い得感は高い!……ということである。
(村上 タクタ : 編集者・ライター)
09/11 10:00
東洋経済オンライン