夏の疲労回復に「ゴーヤ炒め」家庭で絶品に作る技
ビールと合わせると格別のおいしさ
ゴーヤは夏野菜のなかでも突出して個性的な野菜。沖縄や九州を中心に食べられていた野菜ですが、1990年代以降に栽培が全国に広がりました。苦味が特徴で、どこまで苦味を残すか、あるいは生かすかという方向性で料理が分かれます。
ゴーヤチャンプルーは苦味を生かした沖縄の炒め物。夏の暑い時期にビールと合わせると格別のおいしさです。
ゴーヤ 1本
豚バラ薄切り肉 100g
木綿豆腐 1/2丁(150g〜175g)
ごま油 大さじ1/2
卵 2個
しょうゆ 大さじ1/2
かつお節 3〜4g
塩 適量
ゴーヤの魅力は苦味にありますが、ある程度の苦味対策はしたほうが多くの人に好まれる味わいになります。ゴーヤは緑色が濃いものよりも薄い緑色の品種のほうが苦味は弱いです。時折、売られている白いゴーヤは苦味が弱い品種なので、見かけたら買ってみてください。
まず鍋にたっぷりの湯(分量外)を沸かします。
豆腐はキッチンペーパーで包んで15分ほど室温に置き、水気を切っておきます。
ゴーヤの下処理です。先端と末端を切り落とし、縦半分に切ります。スプーンで種を取り除きましょう。種やワタはよく<苦い>とされますがそれは俗説。ゴーヤの苦味は外側ほど強いので、種を取り除く理由は食感をよくするためです。ちなみに苦味が気になる場合はピーラーで外側を一周削るとより苦
端から薄切りにしていきましょう。
湯でゴーヤを2分〜3分間、下ゆでします。ゴーヤの苦味成分は水溶性です。ゆでたり水にさらしたりすると弱くなりますし、事前に塩でもむことで細胞が壊れ、苦味成分がより溶出しやすくなります。一方、塩でもんだり、
炒め物の場合はゴーヤの食感をある程度残したいので、塩を振らずに下ゆでする方法をとります。
ザルにあげて冷水にとり、15〜30分間、水にさらします。蛇口から水を少しずつたらすか、途中で水をかえるといいでしょう。水の味を見ると苦味が溶け出しているのがわかります。時間に幅を持たせているのはゴーヤの苦味には個体差があるからで、一晩水にさらすと苦味がかなり和らぎます。どこまで苦味を残すか、という点は好みでしょう。
その間に豚バラ肉を5cm長さに、豆腐は1.5cm厚に切ります。
フッ素樹脂加工フライパンに豚バラ肉を並べ、中火にかけます。塩ひとつまみ(1g)を振って味付けしましょう。
うっすらと焦げ目がついたら裏返し、反対側をさっと焼いたら一度、皿に取り出します。
豆腐を並べ、ごま油を足し、豆腐を焼いていきます。豆腐にしっかりと焼き色をつけることでボリューム感が出ます。やはり塩ひとつまみ(1g)で味付け。
豆腐に焼き色がついたら水気を切ったゴーヤを加えて炒めていきます。ゴーヤにも塩ひとつまみ(1g)で味をつけ、水分を飛ばすように炒めていきます。
ゴーヤを加えることでフライパンの表面温度が下がるので焦げることはないと思いますが、もしも豆腐が焦げそうであればゴーヤの上に避難させてください。
豚肉を戻し、かつお節を加えます。カルシウムを含むかつお節はゴーヤの苦味成分を吸着し、感じにくくする働きがあるので、欠かすことができない食材です。
しょうゆで味と香りを整えます。
火を弱火に落とし、溶き卵を加えて、最後にさっと炒め合わせたら出来上がり。
少し冷めてもおいしいのがゴーヤチャンプルーという料理。塩としょうゆだけの味付けだからこそ、ゴーヤや豆腐の味わいが生きてきます。夏の暑い時期はこれくらいシンプルな味付けがおいしいもの。ソーメンと一緒に食べるのもオススメです。
(樋口 直哉 : 作家・料理家)
08/31 15:00
東洋経済オンライン