パンク町田「動物売買に反対の人」を否定しない訳
それでもやっぱり私は、動物に携わりたい
――具体的な仕事の内容は?
動物の世話をして、ULTIMATE ANIMAL CITY(編集部注:パンク町田氏がプロデューサーを務める動物の研究施設)の若い子たちに動物に関する技術的なことを指導したり、取材の対応をしたり……それぐらいですよ。
――若い頃から動物の輸入もされていますが、きっかけは?
21歳のときに勤めていたペットショップから独立し、本格的に輸入を始めたのですが、当時、本で見たことはあるけど、実物は見たことのない動物がいっぱいいたんですよ。どんなところで過ごしているのかも含めて見てみたくて現地に行ったとき、「何とか日本に輸入できないものだろうか」と思ったのが始まりです。
(自分以外にも)日本で見たいと思っている人はいっぱいいるだろうから、何とか見せてあげたいなと。
――生業にできると思ったタイミングは?
商売になるかなんて考えたことがないし、初めから損得でやっているわけじゃないので。自分が欲しいというのもあったけど、それ以上に「あいつに見せてやりたい」っていうことのほうが大きかったから。自分が今持っているお金で、それができるかどうかということ以外は考えていない。
明日自分がどうなっているかわからないというストレスに耐えられない人には、この仕事はできないと思う。それでもやっぱり私は、動物に携わりたいからこの仕事を続けているんです。
――動物を売り買いすることに批判的な人も一定数いますが。
その人たちの言ってることはわかる。言ってることだけ聞けば、確かにそのとおりです。だからその活動を続けてください、と思っている。
自分以外の生命に価格をつけて売買するのって、確かにすごく不思議なことだとは思っていますが、私自身は、販売するという活動は止めないつもりです。なぜかというと、すばらしいことだと思っているから。
この2つのやり方がせめぎ合って、(動物との共生において)正しい方向に導かれると思うので、(売買反対派の)彼らが「ダメだ」って言うんだったら、その活動を続けてもらって構わない。
日本が中心となって世界を救えるチャンス
――処分されそうになった猿など、動物の保護活動もされています。
あの猿は、人に危害を加え続けて殺処分されかけたんですけど、なぜ人を襲うようになったかというと、(人が)餌を与えるからなんですね。
餌を与えるというのは、「私はあなたの子分ですよ」と言っているようなものなんです。
猿の常識からいけば、自分より弱いやつが餌のそばにいれば、追い払うのが当たり前ですから。それをやったら突然、人間が目の敵にして、ワナを仕掛けてとっ捕まえてきたと。「人間と動物のどっちが悪いのか?」ということですよ。
動物愛護や保護活動は、動物の立場になって考えなければ解決できない。だって、人間のほうが圧倒的に頭がいいんですから、人間が器量を見せるしかないじゃないですか。
――人間と動物が共生するために必要なこととは?
これ以上、動物の環境を崩さないようにすることですね。これだけ科学技術が発達すれば、人間が壊した部分も修復していけるんじゃないかと。
実は、僕は日本にとってチャンスだと思ってるんですよ。日本が環境保全の分野で成功すれば、世界のリーダーになれる。動物と仲良くすることは、環境とも仲良くするということですから、そこに気づいて新しい技術を開発して、世界に広めていくことができれば、日本が中心となって世界を救えるチャンスでしょ?
――パンク町田さんにとって、仕事とは?
仕事とは……。仕事とは、動物と仲良くすることです。動物と仲良くするためには、人間とも仲良くしなければならないという矛盾した仕事をこなさなきゃならない。難しいですね。
(東洋経済オンライン編集部)
06/11 06:00
東洋経済オンライン