【独自】三菱UFJとKDDI、証券・銀行の資本関係を見直しへ…「カブコム」「じぶん」完全子会社化
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)とKDDIは、共同出資しているインターネット専業の証券会社と銀行の資本関係を見直す方針を固めた。2024年度中にもMUFGが「auカブコム証券」を、KDDIが「auじぶん銀行」を完全子会社化する。それぞれ強化したい分野に資本を集中し、経営判断を迅速化する。国内で個人投資家や預金者の奪い合いが激しくなりそうだ。
複数の関係者によると、KDDIの金融持ち株会社「auフィナンシャルホールディングス」はauカブコム証券株の49%分をMUFG側に、MUFG傘下の三菱UFJ銀はauじぶん銀株の22%分をKDDI側に、それぞれ売却する。
MUFGとKDDIは資本関係の見直し後も協業関係を続ける。金融分野での生成AI(人工知能)の開発や活用で、新たに提携することも検討する。
MUFGはauカブコム証券の社名を「三菱UFJ」を冠した名称に変更し、三菱UFJカードなどグループ内のサービスとの連携を強化することで個人向け証券事業をてこ入れする。今年1月に新NISA(少額投資非課税制度)が始まり、投資に関心を持つ個人が増えている。
ネット証券では、1000万口座を超えるSBI証券と楽天証券が2強を形成し、割安な手数料や高いポイント還元率で人気を集めている。SBIは三井住友FGと、楽天はみずほFGと提携関係にある。
auカブコム証券の口座数は約170万にとどまる。MUFG傘下にはすでに米金融大手モルガン・スタンレーと共同出資する証券会社があるが、大企業や富裕層向け取引が中心で、一般顧客の取り込みが課題となっている。
KDDIが完全子会社化するauじぶん銀は、通信サービスとの併用による住宅ローン金利の優遇を強みに、4月末時点の口座数は600万超に上る。KDDIの厚い顧客基盤をもとに、さらなる拡大を目指す。
携帯大手ではソフトバンクや楽天モバイルもグループ内に銀行を保有しており、NTTドコモは銀行業への参入を検討している。日本銀行の利上げに伴う「金利ある世界」の到来で、国内の銀行は預金者の獲得に力を入れている。
10/19 13:30
読売新聞