日本製鉄のUSスチール買収計画、米政府が審査再申請を承認…大統領選以降に判断か

 【ワシントン=田中宏幸】米主要メディアは17日、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を審査している米政府の対米外国投資委員会(CFIUS)が、日鉄が求めた審査の再申請を承認したと報じた。再申請により、買収計画を巡る米政権の判断は、11月の大統領選以降になる公算が大きくなった。

米鉄鋼大手USスチールの工場=AP

 報道によると、CFIUSは、日鉄が買収の審査申請を取り下げ、再び申請を行うことを認めたという。これにより、審査期限は現在の9月23日から新たに90日間延長されることになるとしている。米紙ニューヨーク・タイムズなどは関係者の話として、「CFIUSは、取引が国家安全保障に与える影響をより深く理解するために審査にさらに時間をかけ、両社との協議を継続する」と伝えた。

 買収計画を巡っては、全米鉄鋼労働組合(USW)が反対し、米大統領選で労組票を取り込みたい民主、共和両党の思惑も絡んで政治問題化している。複数の米欧メディアは今月4日、バイデン米大統領が国家安全保障上の不安を理由に、買収の阻止を近く発表する準備を進めていると報じた。

 大統領選の民主党候補カマラ・ハリス副大統領は、USスチールについて「米国が所有し、米国が運営する企業であり続けるべきだ」と主張し、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領は買収計画に反対している。

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