児童養護施設や里親家庭の子に大学受験補助…進学や就職時の生活支援給付も拡充、自立を後押し

 政府は、児童養護施設や里親家庭などで暮らす子どもたちが大学などを受験する際の費用を新たに補助する。今年度からの措置で、進学や就職の際の生活支援も給付を拡充し、自立への後押しを強化する。

こども家庭庁

 こども家庭庁によると、虐待や親の病気などを理由に親元を離れて児童養護施設や里親家庭などで暮らす子どもたちは全国で約4万2000人に上る。児童福祉法では原則18歳で施設や里親家庭を出ることになっている。

 政府が導入する新たな補助制度では、大学や短大などを受験する場合、受験料や交通費などを1人あたり最大15万8000円まで支給する。同庁調査では、高卒者の大学進学率57%に比べ、児童養護施設の出身者は20・9%(2023年5月現在)と低い。生活のために就職を選ばざるを得ない人が多いとみられ、補助創設で進学を促す。

 施設退所後に、虐待などの理由で親を頼れずに困窮に陥る人は多く、厚生労働省の20年度の調査では、退所者の約3割が生活費や学費の工面に悩み、約2割が「赤字」の生活だと答えている。

 そのため、退所して進学や就職する際の「支度費」の拡充にも取り組む。保護者から経済的援助を受けられない場合の上乗せ分を、19万8540円(23年度)から41万3340円に引き上げる。20歳まで入所できる自立援助ホームの生活費は、原則で1人あたり月1万1690円から5万5270円に増やす。

 いずれも国と自治体が半分ずつ費用を負担する。

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