「適時開示」担当の東証社員、TOB公表前に親族に株取引勧めた疑い…監視委が強制調査

 東京証券取引所(東京)で企業の情報開示に関わる部署に所属する社員が、企業の株式公開買い付け(TOB)に関する情報が公表される前に株取引を親族に勧めたとして、証券取引等監視委員会から金融商品取引法違反(取引推奨)容疑で強制調査を受けていたことがわかった。調査を受け、東証は社員を公表前の情報を扱う業務から外したという。

東京証券取引所

 関係者によると、監視委の強制調査を受けた社員は、経営に重大な影響を与える出来事があった際に行う「適時開示」などを担当する部署に所属。上場企業はTOBや合併・買収などを行う際、東証に対して事前に情報を伝えるが、社員は業務で上場会社のTOBに関する非公表情報を知った上で、親族にそうした会社の株取引を勧めていた疑いがあるという。

 監視委は社員による不審な取引を把握し、今秋に社員や親族の関係先の強制調査を実施。取引状況などの分析を進めている。

 東証は株や債券を売買する国内最大の取引所で、企業の上場審査や重要事実の公表などを行っている。プライム、スタンダード、グロースの各市場があり、10月現在で約4000社が上場している。

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