連結器が外れた東北新幹線、前代未聞のトラブルに動揺広がる…乗客「ただならぬ事態」

 走行中の新幹線の連結部が突然外れ、車両が分離した。19日朝、盛岡・秋田発東京行き東北新幹線「はやぶさ・こまち6号」で前代未聞のトラブルが起きた。東北新幹線は全線で運転が止まり、車内で足止めされた乗客に動揺が広がった。

新幹線の改札口で運転の状況を確認する利用客ら(19日午前9時42分、JR仙台駅で)=小山太一撮影

 JR東日本によると、こまち6号は午前6時9分に秋田駅を出発し、盛岡駅に到着した後、はやぶさ6号と連結した。午前7時37分に同駅を出発し、古川駅を過ぎて6キロ南に進んだ場所で突然、車両が分離したという。

 この影響で東北新幹線は東京―新青森間の上下線で運転を見合わせ、連結器が外れた車両以外の車両も緊急停止した。

 現場近くで停車した東京発盛岡行き「やまびこ51号」に乗車している仙台市の40歳代男性は読売新聞の取材に、「列車が急停車し、すぐに車両故障と車内放送があった。すぐ隣に新幹線が停車していて、ただならぬ事態だと思った」。

 同じ列車に乗っている神奈川県大和市の男性(24)によると、車内では「乗客にJR社員がいれば車掌室に来てほしい」「運転再開までは時間がかかる見込み」などとアナウンスが繰り返し流れた。男性は「もう3時間以上も止まったままだ。子ども連れや仕事のある人には負担が大きいので、せめて古川駅まで徐行運転してほしい」と話した。

 JR仙台駅の新幹線改札口は、運転再開を待つ乗客らで混乱した。新幹線の運転見合わせを伝える電光掲示板の前で顔をしかめたり、駅員に最新の状況を確認したりする会社員や観光客の姿がみられた。

東北新幹線の運転見合わせを知らせる電光掲示板(19日午前9時58分、JR東京駅で)

 会社の行事で東京に向かう予定だった仙台市太白区の会社員男性(48)は「他に移動手段がない。会社からは仙台で待機するように言われた」と困惑した様子で話した。

 JR東京駅の丸の内南口改札口でも、運行状況を知らせる掲示板を見守ったり、窓口で駅員に問い合わせたりする人たちで混雑した。

 仙台市泉区の会社員男性(32)はこの日、約2週間の海外出張から帰国し、午前10時台の東北新幹線で仙台に帰る予定だった。羽田空港からモノレールで移動中の車内で同新幹線の車両トラブルを知ったといい、「振り替え輸送の在来線乗車券をもらったが、時差ぼけがあるので早く帰って休みたかった」とため息をついた。

 JR東日本の担当者も情報収集に追われた。駅から離れて停止している新幹線の状況は運転士を通じて確認するしかなく、担当者は現場の状況を映したテレビのニュース映像も確認するなど情報収集に当たった。広報担当者は「詳しい情報があまり入ってこない。乗客の安全を最優先に対応したい」と話した。

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