株暴落が直撃!公的年金運用のGPIF、1年ぶりの赤字転落か?

過去最大の下落幅となった東京株式市場。その影響は年金にも及びそうだ。公的年金の積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は3四半期連続で黒字だったが、総額の約4分の1を国内株式で運用しており、株安の影響は避けられそうにない。

わずか1カ月足らずで13兆円の損失を出した可能性が…

GPIFによると2024年6月末時点での国内株式残高は62兆8664円。この時点でのTOPIX(東証株価指数)は2809.63、8月5日時点では2227.15と、20.7%も下落した。GPIFが買い付けた銘柄や買い増しを考慮に入れなければ、GPIFの国内株式残高は49兆8300億円と13兆円ほど目減りした計算だ。

さらに急激な円高で外貨建て資産の評価額が縮小することや、国内株式と同じく総額の約4分の1を占める米国株など外国株式の下落、米国の利下げ後ずれ懸念や日銀の利上げに伴う国内債券、外国債券の下落も予想され、GPIFの全てのポートフォーリオが下落する可能性が高い。

GPIFの6月末時点での運用資産額は254兆7027億円で、運用をスタートした2001年度からの累積では162兆7708億円の黒字が積み上がっている。今四半期が赤字に陥っても、年金財政に大きな影響があるわけではない。とはいえ、株安や債券安が長期化すれば影響は無視できない。

さらにGPIFが日本の株式相場を政策的に支えてきた経緯もあり、運用戦略上の「損切り」も簡単ではない。むしろ株安で日本株の比率が下がると、買いを入れて調整する運用をするスタビライザー(安定装置)の役割を果たしいる。

こうした「足かせ」がかかっている中で株価の下落局面をどう乗り切るのか。それとも運用方針を変えずに突っ切るのか。その行方が注目される。

文:糸永正行編集委員

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