積水ハウスだけじゃない!日本が住宅産業の「世界再編」を主導へ

積水ハウス<1928>が18日、米国で戸建住宅メーカーのM.D.C. Holdings, Inc.(コロラド州)を約7324億円で完全子会社化すると発表した。同社だけではない。大和ハウス工業<1925>は2021年9月に米CastleRock Communities, L.P.(テキサス州ヒューストン)を、住友林業<1911>も2023年1月に米国子会社を通じて米Southern Impression Homesグループ(フロリダ州)を傘下に持つSI Holdco, LLC(フロリダ州)を、それぞれ子会社化。日本企業による海外ハウスメーカーの買収が加速している。

国内市場は頭打ち、海外で活路

その背景にあるのは、人口減少や家余りを受けた国内戸建住宅需要の低迷だ。国土交通省の2022(令和4)年「建築着工統計調査報告」によると、新設住宅着工戸数は前年比0.4%増の85万9529戸と増加したものの、主にハウスメーカーが手がける注文住宅に該当する「持家」は同11.3%減の25万3287戸と伸び悩んでいる。2008(平成20)年からの過去15年間では過去最低の水準に落ち込んだ。

ハウスメーカーが手がける「持家」の着工戸数は過去15年間で最低に(国土交通省 建設着工統計調査報告より)

2023(令和5)年1〜11月までの同調査でも「持家」は全月で前年割れが続いており、回復の兆しは見えない。それでなくても国内建築業界では人手不足で、「注文があっても建てられない」状態が続く。帝国データバンクによると、2023年に建設業で発生した倒産件数は前年比38.8%増の1671件となった。

小規模事業者の倒産がほとんどだが、ハウスメーカーの施工は主に小規模事業者が請け負っており、人手不足の影響は避けられない。持家の受注減という「需要」と人手不足という「供給」の問題から、国内大手ハウスメーカーは成長の余地があり労働力も豊富な海外市場で活路を見いだそうとしているのだ。


スケールで海外勢を圧倒する日本のハウスメーカー

日付 案件内容 取引価額(億円)
2013年9月27日 住友林業、豪住宅販売会社のHenley Propertiesグループを子会社化     1.65
2016年10月26日 大和ハウス工業、戸建住宅事業の米スタンレー・マーチンを子会社化  263
2017年1月31日 住友林業、分譲住宅事業の米エッジ・ホームズ・グループを取得    73
2017年2月22日 積水ハウス、住宅販売事業の米ウッドサイド・ホームズを子会社化  533
2017年4月28日 住友林業、米住宅会社のBloomfield Homesを子会社化    41
2017年11月28日 大和ハウス工業、戸建住宅建設の豪ローソングループを子会社化 非公表
2021年8月10日 大和ハウス工業、戸建住宅・宅地分譲の米CastleRockを子会社化  448
2022年6月9日 積水ハウス、米国の戸建住宅会社Chesmar Homesを子会社化  687
2022年12月27日 住友林業、戸建賃貸住宅事業の米国Southern Impression Homesを子会社化  112
2023年9月29日 住友林業、集合住宅開発の米国JPIグループを子会社化  235
2024年1月18日 積水ハウス、米国の戸建住宅事業を展開するM.D.C. Holdingsを子会社化 7324.34

しかし、積水ハウスのM.D.C. Holdings買収の7324億円は、過去の同社や同業他社による海外買収とは文字通り「ケタ外れ」の大型案件となる。それだけ国内ハウスメーカーの危機感が強いということだ。今後は国内ハウスメーカーによる大型クロスボーダー案件が続出する可能性がある。

海外では日本のような巨大ハウスメーカーは存在しない。日本企業が海外の住宅市場を舞台に「世界再編」を引き起こす主役になりそうだ。

文:M&A Online

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