日本仕様は「格上の高級感」 鈴木社長も成功に手応え!? スズキの“小さなSUV”新型「フロンクス」は驚異的ハイコスパが早くも話題

スズキは2024年10月16日、新しいコンパクトSUV「フロンクス」を正式発表しました。同社の新たな世界戦略車として開発されたこのモデルは、果たしてどのような魅力を備えているのでしょうか?

全長4m以下を切る「世界を見据えたコンパクトSUV」待望の上陸

 スズキは2024年10月16日、新しいコンパクトSUV「フロンクス」を正式に発表しました。

スズキ新型「フロンクス」

スズキ新型「フロンクス」

 新型「フロンクス」はスズキの新たな世界戦略車として開発されたモデル。2023年4月のインドでの発売を皮切りに、すでに中南米や中東など世界70か国以上で販売されています。

 生産拠点でもあるインドでは早くも人気モデルへと成長。SUV市場の中で最も早く累計販売台数20万台を突破するほどの成長を遂げています。

 そんな新型「フロンクス」が、今回、スズキが本拠を置く日本市場へと投入されました。

 発表会で登壇したスズキの代表取締役社長・鈴木俊宏氏は、「この夏に開催した先行展示会などを通じて、多くのお客さまから予想を超える反響をいただき、その期待の高さを実感しています。

『フロンクス』は他モデルにはない個性的なデザイン、取り回しのよさ、運転の楽しさ、そして、リアシートの優れた快適性など、多くの魅力を備えたクルマとなっています。ぜひ皆さんに触れて乗っていただければ、喜んでいただけると思います」と、日本市場での成功にも手応えを感じているようでした。

 鈴木社長が「魅力のひとつ」と胸を張る個性的なスタイリングは、流麗なクーペスタイルが印象的。その中に、SUVらしいタフさも兼ね備えています。

 そうした力強さを生むディテールが、大きく張り出したフロントフェンダーや個性的な2段式ヘッドライトを備えるフロントマスク、そしてリアフェンダーと一体化したリアバンパーです。

 グラマラスなボディスタイルのため、ひとクラス大きなSUVに映る新型「フロンクス」ですが、驚くべきはそのサイズ。なんとボディサイズは全長3995mm、全幅1765mm、全高1550mmと超コンパクトなのです。

 例えば全長は、コンパクトSUVカテゴリーで人気のダイハツ「ロッキー」&トヨタ「ライズ」と同等。さらに、都市部に多い機械式立体駐車場にも収まる全高も「フロンクス」の大きなアドバンテージとなるでしょう。

 対するインテリアは、力強さや上質さを重視したデザインが印象的。ダッシュボードには高輝度シルバー塗装やパールブラック塗装が採用されており、頼りがいある堅牢さを感じさせつつ、都市型SUVらしいおしゃれさも備えています。

 そして、これまでのスズキ車にはない新たな取り組みといえるのがインテリアカラー。ボルドー×ブラックの安らぎや温かみを感じさせる洗練されたコーディネートを採用しています。

 またインテリアトリムは、レザー調のソフトな表皮を広範囲にあしらっており、シートもレザー調生地とファブリックのコンビ素材となるなど、質感の高さを感じさせます。

●日本仕様だけの充実装備が満載

 先述したように、新型「フロンクス」はスズキの新しい世界戦略車ですが、海外と同じモデルをそのまま日本市場へ投入したと考えるのは早合点です。

 実は新型「フロンクス」、日本のユーザーニーズが使用シーンに最適化すべく、装備を見直しただけでなく、日本専用チューニングとなる足回りを採用するなど、しっかりと日本市場にローカライズされているのです。

 それもあって、充実した装備も新型「フロンクス」の大きな美点となっています。

 電動パーキングブレーキ、ブレーキホールド機能、前席シートヒーター、リアヒーターダクト、ドアミラーヒーター、スマートフォン連携ナビゲーションシステムなどの標準装備は、日本仕様専用のアイテム。

 加えて、先進の安全運転支援機能も、衝突被害軽減ブレーキや前後の誤発進抑制機能といった基本的な装備から、全車速追従機能つきアダクティブクルーズコントロール(ACC)、ブラインドスポットモニター、リアクロストラフィックアラート、ヘッドアップディスプレイ、全方位モニターなどなど、上級モデル顔負けの充実ぶりを誇ります。

 さらに日本仕様の新型「フロンクス」は、降雪地ユーザーのニーズを考慮し、他の国のモデルにはない4WD仕様もラインナップ。この4WD仕様はドライブモードセレクトを追加することで、さまざまな路面環境で快適かつ安全な走りを楽しめるよう配慮されています。

 ちなみに、日本仕様のパワートレインは1タイプのみ。マイルドハイブリッド機構を備えた1.5リッター直列4気筒DOHCエンジンに6速ATを組み合わせています。

 エンジンは、最高出力101ps(4WD仕様は99ps)、最大トルク135Nm(134Nm)で、そこに3.1ps/60Nmのモーターアシストが加わります。

 スペックは平均的なものですが、世界戦略車として磨き抜かれた基本性能を日本市場向けに最適化しただけあって、運転する楽しさや快適な乗り味はクラスを越えたものとなっています。

 そんな新型「フロンクス」で最大のサプライズはプライスタグ。これだけの充実装備を備えながら、2WD車が254万1000円、4WD車が273万9000円という、いかにもスズキらしい買い得感ある設定となっています。ここに、フロアカーペットやETC車載器、ドライブレコーダーを加えれば、必要十分以上の1台に仕上がるのは驚異的です。

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 スズキによると、新型「フロンクス」は月販目標台数1000台に対して、すでに9000台ものバックオーダーが入っているといいます。前身のモデルが存在しないブランニューモデルとしては、かなり好調なスタートといえるでしょう。そして、スズキがこれまで苦手としていた若いユーザーの獲得も新型「フロンクス」は貢献しているといいます。

 加えて、鈴木社長が「『エスクード』ファンの方々にも、小さなSUVが実用的で環境にいいことを実感いただき、乗り換えていただけたらうれしいです」と語るように、日本ではスズキの上級車として位置づけられていた「エスクード」がすでに販売終了となっていることから、その穴を埋める存在となることにも期待が高まります。

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