「トライアンフ」は今なぜ人気? 英国の名門バイクメーカーが日本で過去最高の販売を更新 “バイク不況”の中 伸び続ける理由とは

イギリスのオートバイメーカーであるトライアンフの日本販売台数が2024年7月に過去最高を記録しました。人気の理由はどこにあるのでしょうか。

なぜ今トライアンフが人気なのか

 1902年の創業以来120年以上の歴史を誇るイギリスのオートバイメーカー、トライアンフ。

 その日本販売台数が2024年7月に過去最高を記録しましたが、なぜ今それほど人気なのでしょうか。

2024年9月17日に発表されたばかりのトライアンフ新型「スピードツイン1200」

2024年9月17日に発表されたばかりのトライアンフ新型「スピードツイン1200」

 トライアンフが最初に生産したオートバイは後に「ナンバー1」と称されるモデルです。それ以来第一次世界大戦での車両提供を経て事業を拡大し、1936年には自動車事業部門と分離され、モーターサイクルの生産に一本化しました。

 この頃にチーフデザイナーとして迎えられたのがエドワード・ターナー氏です。彼が手がけた「スピードツイン」は1937年の発表以来好評を博し、このタイプのエンジンはトライアンフの代名詞的存在となりました。

 第二次世界大戦では生産ラインを一般車から軍用車に変更。戦後は一般車生産を再開しつつもモデルはスピードツインのほか「タイガー」と「3T」に限定。その後生産が拡大され、1959年にはモダンクラシックタイプの「ボンネビル」などが販売開始されています。

 また『乱暴者』、『大脱走』などの映画で印象的な活躍をしたことや、レースで好成績を収めたこともあり人気は継続していました。

 しかし、1975年には当時の生産工場だったメリデンで労働組合が設立されたこともあって生産が停滞し、生産が終了。1987年から新型エンジンの開発が極秘裏に行われ、復活の機会をうかがっていました。

 そして1990年に新型エンジンを搭載した新型モデルを一斉発表し注目を集めました。

 以降は新型モデルの発表や往年の名車の復活など、話題を提供し続けています。創業110周年を迎えた2012年には世界の年間販売台数が5万台を記録しました。

 2023年にはトライアンフグローバルアンバサダーであるイヴァン・セルバンテス氏が「タイガー1200 GTエクスプローラー」に乗って挑戦した「バイクでの24時間以内最長走行距離(個人)」の4012kmがギネス世界記録として正式に認定されています。

 2024年にはファンから待望されていたモダンクラシックタイプの中型モデルとして「スピード400」と「スクランブラー400」を発売。同年にはスポーツタイプの新型である「デイトナ660」も発売されており、注目を集めています。

どんなモデルが人気? 販売店に聞いてみた

 そんななかで2024年7月に発表された2023年7月〜2024年6月の日本での年間販売台数が4553台を記録しました。

トライアンフ正規販売店も全国29店舗と拡充。2024年秋以降も多数の新型車・限定車を導入する予定だ

トライアンフ正規販売店も全国29店舗と拡充。2024年秋以降も多数の新型車・限定車を導入する予定だ

 これは2000年12月のトライアンフ モーターサイクルズ ジャパン株式会設立以来過去最高の台数です。

 現在これほどの人気を得ているのはどのような理由によるのでしょうか。関東圏のトライアンフ販売店担当者は次のように話します。

「現在の人気の要因はやはり400ccモデルの発売のようです。大型免許を持っていないお客様にも間口が広がるのはもちろんのこと、そこから認知度が上がり大型に乗られるお客様の需要にも繋がっていっている印象です。

 人気車種は2001年から生産されているクラシックタイプの『ボンネビル』やオンロードタイプの『ストリートトリプル』などですね」

 関西圏のトライアンフ販売店担当者は次のように話します。

「トライアンフにはスポーツタイプ、クルーザータイプなどもありますが、特に人気なのはクラシックスタイルのモデルです。

 これは国内・海外問わず他社がクラシックスタイルの大型車を縮小させていったことが背景にあります。そのため『400ccのクラシックスタイルに乗りたいが他に選択肢がない』と消去法でトライアンフを選ばれるお客様が多い印象です。

 実際、他社からの乗り換えで選ばれるお客様が多くいらっしゃいます」

※ ※ ※

 現在のトライアンフ人気は、ここ数年での同社の勢いの他にも他社の縮小が理由にあるようです。

 バイカーのクラシックスタイル需要を満たす貴重なメーカーとして今後も注目されるのではないでしょうか。

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