「選択肢が増えるのは嬉しいこと」間もなく登場するヤマハの新型ATスポーツバイク「MT-09 Y-AMT」に期待大! ネットでの反響とは

ヤマハが新型のオートマチックトランスミッション「Y-AMT」を搭載した「MT-09」を、2024年9月30日に発売します。SNSではどのような反響があるのでしょうか。

トランスミッション自体は従来式で最小限の付加装置

 バイクもクラッチレス機構が進化しています。

発進・変速操作などを高度な制御で自動化する新たな機構「Y-AMT」を初搭載して間もなく登場するヤマハ「MT-09 Y-AMT」

発進・変速操作などを高度な制御で自動化する新たな機構「Y-AMT」を初搭載して間もなく登場するヤマハ「MT-09 Y-AMT」

 スクーターが採用している無段変速機(CVT)はさておき、日本国内の代表的な存在は本田技研工業(ホンダ)の「デュアル・クラッチ・トランスミッション」でしょう。

 欧州の四輪で積極的に採用される「DCT」のバイク版で、クラッチの操作はもちろん変速も自動化されています。

 さらにホンダは、クラッチ操作のみを自動化した「E-Clutch」を2023年11月に発表し、これを搭載した「CB650R」と「CBR650R」を2024年4月11日に国内発売しました。

 ちなみに発進・停車時以外にクラッチ操作がいらない「クイックシフター」は、世界中のメーカーに浸透しています。

 バイクはまだまだ従来型のMTが主流ですが、セミAT・クラッチレスMT・デュアルクラッチ式ATのようにシフト操作の簡略化が進んでいます。

 そんななかヤマハ発動機(ヤマハ)は2024年7月、新機構のAT「Y-AMT」を発表。それを搭載した「MT-09 Y-AMT」が9月30日に発売されます。

 「Y-AMT」はクラッチ操作もシフト操作も自動化された新型のオートマチックトランスミッション(AT)です。

 ATとはいえども、トランスミッション本体は手を加えず従来型を使用しているのが大きな特徴です。

 クラッチ操作とシフト操作を自動化するための「アクチュエータ」をそれぞれ一基ずつ合計二基、「付加装置」として取り付けられています。

 クラッチは完全になくなりましたが、MTモードの選択は可能。左手グリップでAT/MTの切り替えを行い、シフト操作も左手グリップのスイッチで行います。従来のようなシフトペダルはありません。

 また、従来のトランスミッションの機構を生かしているため、重量増は2.8kgに抑えられているのも注目点です。

 大元のバイクの機敏性を損なわずに、シフト操作から解放してくれます。

 ヤマハもこのトランスミッションを「スポーツ」と捉えています。

 人間よりも素早く確実、そしてスムーズな変速が実現することで、適性の向上よりも、バイクを意のままに操る喜びと人機一体感を向上させることを目的に据えています。

 Y-AMT搭載の第1号にMT-09を選んだことに、その姿勢が現れています。

SNSなどではさまざまな意見が

 MT-09は、2014年から販売が続いているネイキッドモデルです。

クラッチレバーおよびシフトペダルを廃した新開発の自動変速トランスミッション「Y-AMT」

クラッチレバーおよびシフトペダルを廃した新開発の自動変速トランスミッション「Y-AMT」

 直列3気筒エンジンをはじめ、すべてが新設計のブランニューモデルとして登場しました。

 現在はこのプラットフォームを使用した派生モデル「トレーサー9」や「XSR900」も作られています。

 現行型のMT-09は、2024年3月に新型になりました。鉄仮面のようなヘッドライトが特徴的。この型にY-AMTが搭載されます。

 スペックは公開されています。

 エンジンは888ccの水冷直列3気筒DOHCで、最高出力88kW(120PS)/1万rpm・最大トルク93Nm(9.5kgm)/7000rpmを発揮します。

 ボディサイズは全長2090mm×全幅820mm×全高1145mmで、ホイールベースは1430mm、シート高は825mm。車重は196kgと、Y-AMTを搭載しても200kgを切る軽量さです。

 価格は136万4000円で、突拍子もないようなプライスがつけられているわけではありません。最小限の付加装置で実現したATなので、その分コスト減にも成功していると考えられます。

 MT-09 Y-AMTの登場については、SNSでも話題になっています。

「シフト操作に対応したバイク用ブーツを履かなくても良くなる。今後はミドルクラスにも導入してほしい」「SP(走行性能を高めた上級仕様)にも搭載してほしい」「トレーサー9といったツーリング指向のモデルにもほしい」

 といった展開を希望する声のほか、「関節炎に苦しんでいるライダーにとって、これは朗報だ」といった身体に問題を抱えているライダーからの声もあります。

 一方、「変速操作が楽しいからバイクに乗っているのに」「やっぱりクラッチ操作がないと寂しい」「クラッチがないなら左グリップにブレーキレバーを装備しても良いのに」といったネガティブな声もあります。

 しかし、「個人的にはMT派だけど、AT車に乗るとラクだなと思うのは事実。MT車が廃止されるわけではないので、これまでのAT/MTとは違った選択肢が増えるのは喜ばしいことだと思う」と応援のコメントも見られます。

※ ※ ※

 従来のMT自体が廃止されるわけではなく、ヤマハは新たなトランスミッションの提案という形でMT-09 Y-AMTをラインアップするのでしょう。

 MT-09はスポーツバイクなので、ATとはいえども「TMAX」といったスクーターとは違った乗り味や世界が見えるのではないでしょうか。

 次はどこがどんなトランスミッションを出してくるのかも楽しみです。

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