2025年中に日本でも登場!? フォルクスワーゲンのEVミニバン新型「ID.バズ」の“心惹かれる”特徴とは

2017年3月に開催されたジュネーブモーターショーでコンセプトモデルが世界初公開されたフルEV(電気自動車)が「ID.バズ」です。2024年3月にはVWのミニバン史上最強の340馬力を発生する高性能モデル「ID.バズGTX」も欧州で登場、日本上陸が待ち遠しい1台ですが、どんな魅力を持つモデルなのでしょうか。ドイツで試乗しました。

見るのと乗るのとでは大違い

 フォルクスワーゲンのEVミニバン、ID.Buzz(ID.バズ)の魅力は乗ってみないとわかりません。

 そんな偉そうなことを言っている私ですが、正直、写真で見ているだけだったころは、ID.Buzzにあまり惹かれませんでした。

「タイプ2」の名前で親しまれていた往年のミニバンを現代に蘇らせたのは、なかなか火が付かないEV人気を加速するのが目的だったのだろうなんて邪推していたせいです。

 でも、見るのと乗るのとでは大違い。そのことを、今回ID.Buzzに試乗して改めて実感しました。

VWの電気自動車ミニバン「ID.バズ」プロ。2024年に日本でも登場する予定だ

VWの電気自動車ミニバン「ID.バズ」プロ。2024年に日本でも登場する予定だ

 もともとNWBという標準ホイールベースのみで発表されたID.Buzzですが、先ごろこれにロングホイールベース版(LWB)が追加されるとともに、高性能版の「GTX」も登場。このほかに本国では商用車版もラインナップされていますが、とりあえず乗用車版に限って説明すれば、スタンダードモデルのプロとGTXのそれぞれにNWBとLWBが設定されています。

 あわせて、既存のプロNWBもバッテリーやモーターがバージョンアップし、航続距離が伸びたり動力性能が向上したりしています。

 その概要を整理すると、プロは最高出力286psのモーター1基をリアに搭載。NWBは79kWhのバッテリーを積んで航続距離は最長461km、0-100㎞/h加速は7.6秒となります。

 同じプロのLWBは86kWhのバッテリーで最長487kmの航続距離(WLTP。以下同様)を実現。0-100km/h加速は7.9秒と発表されています。

 いっぽうのGTXは前後にモーターを搭載した4WDで、最高出力は340psに跳ね上がります。

 バッテリー容量、航続距離、0-100㎞/h加速は、こちらもホイールベースによって異なります。現時点ではまだ航続距離が発表されていませんが、NWBはそれぞれ順に79kWh/6.1秒、LWBは86kWh/6.5秒というデータが公開されています。

 今回はプロとGTXのLWBに試乗しましたが、その魅力は、なんといっても広々とした室内スペースにあります。

 しかも、ホイールベースをNWBから250mm延長したことで、3列シートでも余裕あるスペースを実現したといいます。ちなみに2列目シートは3人掛けのベンチシートと2人掛けのキャプテンシートの2タイプが用意されていますが、今回はプロ、GTXともにキャプテンシート仕様でした。

 先に試乗したプロLWBは、乗り心地がソフトで快適なのに、コーナーリングでもしっかりと踏ん張ってくれます。この辺は、低重心なEVらしいアドバンテージといっていいでしょう。

 もちろん、EVなので車内はとても静か。車重は間違いなく2.5トンを越えているはずなのに、強力なモーターのおかげで動き出しは軽快で、アウトバーンの速度無制限区間では150km/hオーバーのクルージングも無理なくこなす実力を備えていました。

VWらしからぬオシャレで明るいインテリア

 それでも、私にとって、もっとも魅力的なのはオシャレなデザインでした。

VW「ID.バズ プロ」の明るいインテリア

VW「ID.バズ プロ」の明るいインテリア

 キャンディ・ホワイトとスターライト・ブルー・メタリックの2トーンにペイントされたエクステリアもID.Buzzのオシャレ感を引き立てていましたが、それ以上に心を惹きつけられたのがホワイトとグレーで統一されたインテリア。

 正直、これまでフォルクスワーゲンのキャビンといえばブラックや濃いグレーが中心で、あまり明るい印象はありませでしたが、ID Buzzは開放的かつ清潔感溢れるインテリアで、見ているだけでもなんだか心がウキウキとしてきます。

 しかも、試乗車はパノラミックガラスルーフを装備。1.54m×0.93mの巨大なガラスエリアは、広々としたキャビンの隅々まで明るい光で満たしてくれるかのようです。

 しかも、このグラスルーフはスイッチひとつで透明な状態にも磨りガラス状にも切り替えられるので、日差しが強い日でも安心です。

 さらにいえば、ロングホイールベースだけあって2列目シートでも3列目シートでも足下は広々。シートスライドのポジションにもよりますが、うまくアジャストすればどちらのシートに腰掛けてもゴルフの後席なみの広々感が得られます。ちなみに、EV専用のMEBプラットフォームを用いたID Buzzは前後オーバーハングが極端に小さく、前輪の位置が車両前方に追いやられているので、1列目シートに腰掛けてもホイールハウスが足下を邪魔することなく、無理のない姿勢をとれます。

 続いて試乗したGTXは、プロよりもホンの少し足が硬めで、ホンの少しパワフルに感じますが、ID.Buzzというクルマのキャラクターには、オシャレなプロのほうがマッチしているように思いました。

ドイツの高速道路、アウトバーンを走行するVW「ID.バズGTX」

ドイツの高速道路、アウトバーンを走行するVW「ID.バズGTX」

 プロLWBの航続距離は前述のとおり最長で487km。充電なしで安心して走れるのは300km強でしょうが、これだけの航続距離があれば、都内から伊豆半島の伊東くらいまで無充電で往復できそうです。

 たくさんの家族や友人とともに、オシャレで広々としたインテリアのID Buzzで旅行したらさぞかし楽しいだろうなあなんてことを頭のなかで思い描いてしまいたくなるくらい、魅力的な1台でした。

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